文三郎道の急斜面の道の傍らにハイマツが赤い花を咲かせていた。
すぐ後を下りてきた単独行の若い女性が「何かあるのですか?」と訊くから指し示したら、「あら可愛い」。ちょっと間があって、「これが実になって、小さい生き物たちがそれを食べて栄養を蓄えて冬を越すんですね」。
山に来る若者の感性は良いなあ。おじいさんは目を細めた。
山は
そこに生きて死ぬ
植物や動物たちと
悠然と時を過ごしていて
人間なんか来なくてもいいと
思っているかもしれない
赤岳文三郎道の
あの無惨に続く
階段や鎖を見ると
いつもそう思う
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