五十年前に渡った橋は
流されて付け替えられ
新しい橋がすでに錆びて
板が腐り始めている
古いほうの残骸が
下流側に打ち捨てられたままだ
登山道はえぐれ
石の間を大量の水が流れ
沢歩きのようだ
それでもこの道をまた歩ける
トレッキングポールを頼りにゆっくり歩く
水が美しいからといって
手に掬って飲んではいけない
この上流には確か
赤い染料を流したような水が
流れ込んでいる場所があった
腐った卵の匂いのする場所もあった
さらに登って行けば前方に
爆裂火口が現れるだろう
今夜の泊りは
あの火口の傍らだ