すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

羽化

2022-09-08 21:18:29 | つぶやき

朝早く
まだ薄暗い巣の中で
また意識を取り戻す
また
羽化の時を耐えねばならない

あたりは白い靄に閉ざされている
体はだるく
記憶は途切れたまま
どろりとした緑色の液体が詰まっただけの
白い袋の残骸を
体にくっつけたまま

もう少しこのまま待てば
きっと 体に力が戻り
頭もはっきりするだろう
それまで 反転しながら
待たねばならない

光が甦り
靄が晴れ
鳥が囀り
新鮮な風が吹くだろう

風こそが救いだ

そう思って幾度
目覚めたことか
幾度
朝を繰り返したか

皮膚がねばねばと
白い糸を引いている
その糸に逆らって
上体を起こそうとする
そしてまた崩れる

もうとっくの昔に
繭は褐変し
縮んで乾涸びているのに

コメント
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