えっ これがぼく?
この醜悪な刺々しい骸骨と
奇病に曲げられた根っこのような血管 これがぼく?
信じられない…
ぼくが死んだら これはしばらく残って
これはたちまち腐るのか
(もっとも 石油をかけられて焼かれてしまえば
腐るなんてこともないのだが)
それにしてもこんなややこしいもの
しかもこれが無数の細胞とやらでできていて
さらにそれが原子とやらでできていて
さらにそれが…
こんなややこしいもの 神様が作るわけがないよな
神は全能なんだから
泥を捏ねて息を吹きかけさえすればいいのだから
いくらでもシンプルで美しいものが作れたはずだ
こんな奇怪なもの作る必要は全くない
だからこれは 神の不在の証拠だ
(もっとも 「造物主というのは 腕の良し悪しはともかく
云わば職人みたいなもので
最高神は別に存在する」 という主張のほうに
ぼくはよりシンパシーを感じるけどな)
神が存在しないとなったら
人間は二千年来の
いや 何千年来の
権威やら統制やら弾圧やら洗脳やら殺戮やらの
宗教という軛から解放されるわけだ
そういう意味では このおぞましい写真は
自由への手がかりでもあるのだな