東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

科学者の倫理

2014年02月28日 | インポート

Photo雨降れば
雨に放射能
雪積めば
雪にもありといふ
世をいかに
 この歌はフクシマの歌人のものではない。米国の水爆実験(1954年3月1日)の後に湯川秀樹さんが詠んだものだ。ビキニ環礁の実験により、マグロ漁の操業中の「第五福竜丸」の乗組員二十三人が「死の灰」を浴びた。日本は広島、長崎に続いて三たび被曝を経験した。島民は未だに故郷の島に帰ることはできていない。そして、28種類のサンゴが原水爆実験で絶滅した。負の遺産として世界遺産にも登録されている。その後この日をビキニデーとし、核兵器廃絶運動も高揚した。しかし、2011年3月11日、福島原発事故により四度の被曝を経験することになる。
 「原爆をつくった科学者たち」(岩波書店)には、戦時中、マンハッタン計画(原爆開発)に参加した科学者の回想がつづられている。そこには、巨額の資金を使い刺激的な先端研究ができた喜びと、世界初の核実験を成功させた興奮がつづられている。日本への原爆投下手順表を作った科学者は「当時の最大の心配は、手順表を実行した時の深刻な影響ではなかった」と語っている。
 ここに科学者の限界を見てはいけない、科学者には研究の結果が人類に及ぼす影響まで責任を持つ倫理と哲学が求められている。
 ビキニデーは、明日3月1日、60周年を迎える。
(精子発見の蘇鉄・小石川植物園)


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