今年の日本推理作家協会賞の長編および連作短編集部門に高野和明さんの「ジェノサイド」が決まりました。(4/23)息つく間もない展開に引き込まれます。まるでハリウッド映画を見ているような感覚で一気に読んでしまいます。
アフリカの森深くに暮らすピグミー族から、突然変異によって「新人類」が誕生する、というのが物語の始まり。壮大なスケールで描かれた「ホラばなし」なのだが、読み進めるうちに荒唐無稽なホラ話が、ぐいぐいとリアルに迫ってくる。プロローグから登場するアメリカ大統領バーンズは、ジョージ・ブッシュその人であり、副大統領のチェンバレンは、ブッシュ政権でのチェイニー副大統領であることに読者は容易に気付く。ルワンダの虐殺、アフリカの内戦や戦争、少年兵士の問題等、現代の国際問題があちこちにちりばめられながら、アメリカ、特にネオコンと呼ばれる上層部の策略が緻密に描かれていく。
「ブッシュの戦争」への怒りや「日本の過去の犯罪」も描かれ、共感するところも多く、読み応え抜群。週末や連休に一読をお勧めします。
(もくれん)
「年越し派遣村」村長から内閣府参与になった湯浅誠さんのお話を新聞で読んだ。湯浅さんは、内閣に入り、政権が複雑な調整の現場であることを経験した。「参与になって、『あっち側』が複雑な調整の現場であることがわかりました。政治家、官僚、マスコミ、圧力団体など利害関係者が複雑に絡み合い、限られた財源の中で何かを増やすためには何かを削らざるを得ないというルールの中で、みんな必死に働きかけている」「『こっち側』と『あっち側』は現実には地続きで、私たちももともと調整の当事者だった」と言う。
内閣府参与を辞した今、彼は、原理原則も政権批判も大切だが、「言いっぱなし」の社会運動では何も実現しない。「おまかせ民主主義」ではダメ、主権者の力を示し、一つずつ変えたい。「主権者をやめられないのが民主主義」と語っている。
「1を取って9を捨てる強いリーダー。切り捨てられるのは、私たちではないか」と、橋本徹「現象」に危機感を抱き、「おまかせ」の回路を変える社会運動に意欲を燃やしている。私たち、教職員組合の運動もこうありたい。
(花大根)
(やまぶき)
行方不明の小中学生が全国で1191人(東京200人)もいることが分かりました。(朝日新聞:4月20日)
多くは、夜逃げ、DVからの避難、事件に巻き込まれるなど、大人の事情に子どもが巻き込まれる事態が進んでいます。練馬区でも、昨秋、入学予定で連絡の取れない児童が10人近くいました。
東京教組は、スクールソーシャルワーカーを全区市町村に配置することを都に要求しています。都は、昨年度、29区市町でスクールソーシャルワーカーを実施したと回答しています。国が委託事業(全額国負担)から補助事業(1/3国補助)にしたが、経済的に厳しい家庭が増えている中、教育と福祉のネットワークが喫緊の課題であることは間違いありません。
また、日教組は、教育(Education)と福祉(Welfare)を一体的にとらえた教育福祉(エデュフェアー:Edufare)の実現を新たな「復興」の理念として提唱しています。
(オダマキ)
以前、このコラムに「学力テストはおとながやったらいい」と書いた。本気で言ったわけでは
ない。文科省がおこなう全国一斉学力テストの意味のなさを知るには、こういうことでもしなければわからないと思ったからだ。年齢別とか、職業別とか、都道府県別とかで平均点を発表して、たとえばこの職業の人は、1年間仕事をやめて学校へ行き直しなさい、なんてやったら、多くの人はとんでもないと思うだろう。たとえ点数で表される「学力」が低くても、みんなそれぞれに一生懸命生きているのだから。
そんな程度の意味しかない「学力」がついているかいないかで、子どもを留年させるようなことを言い出した人がいてびっくりしている。そういえばこの人は、平均点の高い低いをやたら気にしていた。
計算ができる、できない、文字が書ける、書けない、は確かに人として大切なことかも知れない。しかしそれは絶対的なものではない。
かつて、差別を受けてきた多くの人たちは、文字や数を学ぶことすらできなかった。そのことでさらに差別された。そのことから、その人たちに「学力」をと、取り組みが始まった。私は、このような取り組みをしている人たちに敬意をもつし、自分もできる限りのお手伝いをしたいと思ってきた。学校という現場の中でもそのことは大切なことと思って子どもたちと取り組んできた。
しかし、そこに「留年」という発想はない。本人が「留年」してもっと学びたいと言うなら、それは否定しない。しかし、本人が望まない「留年」は、できない者への差別でしかない。子どもたちの関係を奪い、子どもの心を傷つける。いくらがんばっても1年生程度の読み書きしかできないと判断された子はずっと1年生でいることになってしまう。
一生懸命教えることは大事であるが、できないからといってその子を切り捨てることはあってはいけない。そして、できる、できないで子どもたちの関係を切ってはいけない。
「学力」も大事だが、できなくてもお互いに助け合い、支え合う関係の方がもっと大事なのだ。できないことがあれば、誰かに助けてもらえばいい。助けたり、助けられたり、そういう生き方を学んでほしい。
6年生で繰り下がりの引き算のできない子がいた。「おれ、算数苦手だよう」が彼の口癖だった。私も心配だったが、今、彼はしっかり生きている。人それぞれの生き方があるのだ。その生き方、関係を、狭い「学力」という考え方のおしつけで奪ってはいけない。
不安定な世の中で、強力なリーダーを求める風潮がある。誰かに引っ張られることで安心しようとするそういう大衆の心理は、中味よりも雰囲気でリーダーについていこうとする。よく考えないと、「留年」もそうだが、もっと恐ろしいことがおこりそうで、正直、心配している。(K)
(画像:レンギョウ)
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町田教組・東京教組青年部共催 新歓授業講座
日 時 5月12日(土) 午前10:15集合 10:30~12:30
場 所 町田ゼルビア・フットサル・パーク(町田市小野路町1701 TEL.042-734-0377)
市立陸上競技場のすぐそば
鶴川駅・多摩センター駅から鶴32系統「五反田」バス停下車1分
講 師 守屋(もりや) 実(みのる)さん(元小山田小学校教員・「FC町田ゼルビア」代表)
※ 動きやすい服装、運動靴でご参加ください。(現地に更衣室があります。)
問い合わせは、東京教組まで。03-5276-1311
東京都公立学校教職員組合(東京教組)です。
私たちは、東京の公立学校(幼稚園・小学校・中学校)に働く教職員の組合です。
教職員の生活や権利(子育て、勤務時間、人事異動、教育研究、給与)をサポートします。
また、東京の子どもたちが生き生きと育つ環境づくりと教育研究をすすめています。
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TEL 03-5276-1311 FAX 03-5276-1312
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東京教組 明日に向ってあなたとともに
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教職員の良心宣言(07年・定期大会)
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①子どもの最善の利益のために働く(子どもの権利条約)
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