東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

神保町古本まつり

2014年10月31日 | 日記

 昨日のブログ「絶望は虚妄だ、希望がそうであるように!」に出てくる孫文、魯迅、内山書店は、神田神保町ともゆかりのある人物であるが、東京教組書記局のあるその神保町界隈は、今、恒例の古本まつりで賑わっている。(3日まで)

 本の街だけあって、多くの作家が、足跡を残している。

 神田小川町に下宿していた森鴎外。錦華小学校(現お茶の水小学校)に通った夏目漱石。一ツ橋に下宿していた正岡子規。表神保町に住んでいた樋口一葉。出世作「破戒」を荷車で神保町まで運んだ島崎藤村。ほかにも、永井荷風、斎藤茂吉、谷崎潤一郎、芥川龍之介、宮澤賢治、太宰治、武田泰淳など、錚々たる文人たちが神保町をその作品に描いていることを小冊子「神保町が好きだ!第8号」で知ることができた。
 「或人は、電車で神田神保町のとおりを走っているところへ、がたがたと来て、電車はどかんととまる、びっくりしてとび下りると同時に、片がわの雑貨店の洋館がずしんと目のまえにたおれる、そちこちで、はりさけるような女のさけび声がする、・・・」
 これは、鈴木三重吉が関東大震災のすぐ後の「赤い鳥」に書いた神保町のレポート。この時、三省堂も全焼したという。
 のどかな古本市を楽しみながら、いつ来るかもしれない巨大地震が心配になった。

 


絶望は虚妄だ、希望がそうであるように!

2014年10月30日 | 日記

上海と南京を訪れる機会をいただいた。孫文の故居、宗慶齢の故居、魯迅の故居、内山書店跡、魯迅記念館、そして南京総統府など、社会科の教員としてはまさに感激、感無量の行程でした。そして、何と言っても南京大虐殺記念館には、ことばもありませんでした。

残虐な犠牲者のパネル写真は非常に迫力がありました。犠牲者の顔写真と名前が書かれている延々と続くパネルには、ことばもありません。また、大虐殺当時、南京に住んでいた外国人の写真や証言もたくさん展示されていました。見学しながら、いたたまれない気持ちでいっぱいでした。中国の方たちは、飽きることもなく、スマホで写真を撮ったり、長い時間をかけて丁寧に資料を読み込んでいる姿が印象的でした。彼らがどのような感想を抱いたのかはわかりませんが、私は重い気持ちで記念館の外に出ました。犠牲者の数や細かい出来事の信憑性はともかくとして、戦時中に日本がこの地でしたことは事実であり、辛くても日本人として真摯に受け止めなければいけないとの思いを強くしました。

 

 最近は、「南京大虐殺はなかった」など、歴史を歪曲し、都合よく改ざんしようとする動きが強まっています。しかし、歴史は未来を写す鏡であり、鏡が歪んでいれば未来への指針を誤ることとなります。どんなにそれが辛いことであったとしても、歴史の真実を曲げてはならないと思いました。そして、それこそが日中の不幸な過去をお互いが乗り越える道だろうとも思えます。

「絶望は虚妄だ、希望がそうであるように!」、孫文による辛亥革命に期待し、裏切られた魯迅は、独立戦争で死んだハンガリーの詩人ペテーフィ・シャンドルのこの言葉を、「希望」という文章で引用しています。ここには「薄っぺらな希望はしりぞけよ。絶望の底から拾ってきた希望こそがほんものだ」という魯迅の信念が語られています。何度も希望を抱いては、かなわず悲嘆にくれた魯迅は、また、絶望の底にあってさえも希望の芽はあることを知っている人でもありました。絶望の底からの希望を語った魯迅は、その代表作である「故郷」においては、「それ(希望)は地上の道のようなものである。もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」と結んでいます。

 

集団的自衛権行使容認が閣議決定され、特定秘密保護法も施行されました。教科書検定基準の改悪、教育委員会制度の改悪、道徳の教科化など、日中の友好を危うくし、平和と民主主義を破壊する政策が急速にすすむ中、ともすればうつむいてしまいがちな私たちですが、絶望の中にあってもなを希望を失わなかった魯迅のように、子ども達の未来に向けて一層頑張っていかなければとの思いを新たにすることが出来た素敵な訪中でした。


マタハラ判決とパワハラ

2014年10月27日 | インポート

 妊娠を理由に降格させたのは違法であるとPhotoする最高裁判決がでた。マタニティーハラスメントを禁じる当然の判断だろう。
 一方、職場のパワーハラスメントについては、一向に改善する気配が見えない。東京教組にも、パワハラの相談が数多く寄せられている。先日は、青森県の教員から管理職に人格否定のパワハラを受けて悩んでいるとの相談があったほどである。
 
パワハラは、イジメである。いじめる者とそれを支えるもの、傍観する者によって成り立っている。その意味で、パワハラをなくすためには、働くもの同士が支えあう恊働の関係(同僚性)が不可欠である。その職場の同僚性が、成果主義、成績主義、人事考課などによって学校現場から失われつつある。
 
元朝日新聞記者の竹信三恵子さんは、自著「しあわせに働ける社会へ」(岩波ジュニア新書)で

私たちが働くことの意味は、①モノやサービスをつくり出し、これを提供して周囲をしあわせにすること、②職場での同僚との協力で互いを楽にし、一緒に成し遂げた喜びを味わうこと、③こうした労働の対価によって、まじめに働けばなんとか生活できるだけの対価を提供されること、④その対価で、家族が安心して暮らしていけること、⑤その対価から払った税金や保険料で、に高齢で働けなくなったときの保障や、障害を持ったときの安全ネットを整えること、⑥こうした安全ネットによって、働けなくなった時期をしのぎ、また働ける力を取り戻す循環を生み出すことです。


と述べているが、まさに②は、その同僚性を表している。
 
東京教組をはじめ労働組合の存在意義は、①~⑥の実現のためにある。

   (ハボタン


公教育解体元年

2014年10月24日 | インポート
Photo 来年度の予算編成にあたって、財務省が学校統廃合を進めれば教員を18,000人減らせると機械的に試算し、文科省に教員定数削減を迫るという。また、政府は、東京など国家戦略特区に指定されている自治体で公設民営学校を解禁する法案の今国会成立をめざすという。まさに、公教育解体元年になりそうだ。
 教員定数改善は、35人学級が小学校1年生からスタートしたが、安倍政権になってからストップしたまま。TTや少人数指導などの加配があるものの少子化で教職員数は減り続けている。少子化は定数改善のチャンス、35人学級の全学年実施にこそ踏み来るべきだろう。
 公設民営学校は、中高一貫校と高校を対象にしているが、学校法人など非営利団体が運営し、教員の身分は民間人、カリキュラムは指導要領に準拠しつつ柔軟にできる。つまり、国・自治体が土地や校舎、教員の給与の一部を提供し、民間が学校を運営できる仕組みだ。公設エリート校をめざしているようだが、自治体の責任放棄、倒産のリスクなどを危惧する声がある一方、宗教団体や政治団体などの参入も心配される。
  (スズメの蛇口)



世界は笑いあなたは泣く

2014年10月20日 | インポート

Img_0436  「あなたがこの世に生まれたとき、世界は笑いあなたは泣く。あなたがこの世を去るとき、世界は泣きあなたは笑う」は、インドらしい含蓄のある諺である。
 この諺を知ったのは、COTTON100%(杉山明AKIRA、現代書林)という本だが、なかなか痛快な世界漫遊記だった。
 その中に、アメリカ先住民ホピ族の若者との次のような会話がある。

「君は今、高校生くらい?」
 乾いた風が種を運ぶ。
「うん、来年の春卒業したら、アーミーにはいります」
 若い潅木はハイウェイのよこに芽を出す。
「アメリカのために戦うのかい?」
 排気ガスと砂ぼこりを吸ってのびていく。
「そりゃ、ぽくだってホピの伝統を踏みにじった白人が憎いです。でも、飼育係と仲良くしなきや、エサだってもらえないから」
 車が通り過ぎるたび、潅木はひっこぬかれそうになびく。
 「その檻だって、そろそろガタがきているぜ」
 太陽に祝福されて、踊りはじめる。
 「わかってますよ。アーミー終えたら大学へ行って、檻の鍵を盗んできますよ」

 アメリカに徴兵制はないが、高校生対象に大学進学を条件に志願兵を募集し、貧困層の若者の多くが軍に志願する。しかし、貧困という檻の鍵を手に入れるどころか戦争で命を落としたり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ若者も多い。アメリカの戦争に日本も参加する(集団的自衛)ことになれば、日本の若者も同様の苦境に陥る。教え子を戦場に送る教職員の苦悩は、すでに現実になっている。
   (ネギボウズ)


自ら崩壊を始めた日本のマスコミ!

2014年10月10日 | インポート
Img_7679地下鉄に乗って車内広告を見たらセンショーナルな広告が目に入ってきた。
週刊文集、週刊新潮の朝日新聞への憎悪に満ちた広告である。
慰安婦問題に関して8月に証言内容の訂正を行ったことについてである。

その内容はあたかも朝日新聞がこの間一貫してデタラメな報道をして、日本の国際的な地位を落とし込めた。
慰安婦問題で誤ったことを日本の中に植え付けていった。
そんなことを言葉汚く罵っている。

まあ文春や新潮はさもあらん、そんな雑誌であるから。
しかし、そんな雑誌だけでなく新聞までもがその論調に加わっているのである。
産経新聞は当然として、読売新聞も誤った報道を自分の新聞の拡大につなげるような論調である。
ネット右翼がこれ幸いに朝日新聞を攻撃するのはある意味当然としても、同じマスコミの一員としての姿としては、極めて歪んだものと言わざるをえない。

あたかも慰安婦そのものが捏造されたみたいな論調すらある。

こうした流れに乗っかって、朝日新聞の元記者が勤めている大学にやめさせるように脅迫文を送りつける事態まで起こっているのである。

朝日新聞が左翼的だとも思わないし、先進的だとも思わない。
大新聞の限界も抱えている。
されど安倍の腰巾着である読売や産経とは少し離れた感覚で当たり前の報道をすることは評価していいと思う。

だから、安倍を筆頭とする右翼的な輩にとってはそんな朝日すら煙たくなるのであろう。

しかし、そうした自らの首を絞める行為はやがて自分自身のみに降りかかってくることは確実であろう。
それは新聞の死であり、ジャーナリズムの崩壊でもある。

現在、そんな新聞も読まない人々が増えている中、香港のデモを見た。
日本にあのような民主主義を守ろうとする人々、それも若い人々がいるだろうか?
彼らの武器は新聞ではなくスマホであり、ブログであり、フェイスブックであり、ツイッター等のSNSなのである。

その現実を見落としてはならない。<T.O>
江戸川教育文化センターのブログより転載)
ヘラオオバコ



憲法9条を持ち続ける日本国民にノーベル平和賞を

2014年10月06日 | インポート
Pa120182
 ノーベル賞が大好きな日本。今年注目を集めているのは、物理学賞の、磁石の性質を持つ特殊な物質を研究した十倉好紀さん。青色発光ダイオード(LED)を開発した中村修二さん、赤崎勇さん。医学生理学賞の、コレステロール値を下げる物質「スタチン」を見つけた遠藤章さん。細胞の中にある小器官を研究する森和俊さん。
物理学賞か化学賞の、リチウムイオン電池を開発した吉野彰さん。文学賞の村上春樹さんは今年も有力視されている。 さて、米軍基地の7割以上を沖縄に押付ける結果になった佐藤栄作さん、核廃絶宣言もどこえやら戦争を続けるオバマさんが受賞した平和賞だが、「憲法9条を持ち続ける日本国民」が有力受賞候補になっている。
 毎年、平和賞の予想をしているノルウェーの国際平和研究所が3日、発表した平和賞候補には、女性が教育を受ける権利などを訴えるパキスタンのマララ・ユスフザイさん、プーチン政権に批判的なロシアのメディアなどとともに、戦争の放棄などをうたった憲法9条を持ち続ける日本国民をことしの最有力候補に選んでいる。
 NHKの報道によると、平和研究所のハルプビケン所長は、『ウクライナや東アジアなど各地で緊張が高まっている今こそ、日本の憲法9条の価値が国際的に認識されるべきだ』と話していて、紛争の予防を目指すノーベル平和賞の趣旨に立ち返る意味でもふさわしいとしている。憲法9条をノーベル平和賞にする活動は、神奈川県の主婦らの呼びかけで、の署名活動が始まり、趣旨に賛同した国内の大学教授らが、ノーベル平和賞の選考委員会に推薦していた。
すでに41万人の署名が集っている。(日本語版ネット署名 )
 平和賞は10日、ノルウェーの首都オスロで発表される。巷では、もし平和賞を受賞したら憲法9条を葬りたい安倍首相が国民を代表してオセロに行くのかなぁ~見ものだとささやかれている。