東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

モスル解放から一月

2017年08月28日 | 日記

7月9日、新聞各紙は、イラクのアバディ首相が「ISに支配されていたイラク北部のモスルを解放した」と表明したことを大きく報道しました。しかし、それで問題が解決したわけではありません。あれから1ヶ月後の8月13日の朝日新聞には、ISに襲撃され、2014年6月に日本に逃れたイラク人女性、リカア・アルカザイルさん(47)が約3年ぶりに故郷モスルを訪ねた記事が掲載されました。「アルサラーム病院は破壊し尽くされ、自宅の窓はすべて割られていたという。IS支配下の3年間で少なくとも知り合いの医師10人が死亡し、その家族も行方不明になっているという。」と記事は伝えています。

「解放されても、私たちはまだ、ISに支配されたままなの。だって毎日、戻らない家族たちのことを考えて生きているのですから」・・これは、東京教組が学習会の講師としてお呼びした写真家安田菜津紀(サンデーモーニングなどのゲストコメンテーターとしても活躍中)さんが、キャンプで出会った少女の言葉です。イラク北部に暮らすヤズディ教徒は、「異教徒」としてISから非人道的な迫害を受け、過酷な避難生活を送っています。日本ではほとんど報道されない彼らの実情を、安田さんは現地を訪れ、写真と言葉によってそれを伝え続けてきました。日本の暑さもかなり厳しかったですが、キャンプの暑さは想像を超える事と思います。今、イラクの国内避難民の数は300万人を超えています。紛争や戦争によって、最も傷つき、悲しい思いをするのはいつでも子どもたちです。大きな報道の影には、こうしたたくさんの小さな思いが隠れている事を、私たちは忘れないようにしたいと思います。


「働き方改革」なんて言われても

2017年08月25日 | 日記

 文科省は7月11日に一橋大学内で第1回の「学校における働き方改革特別部会」開催し、その資料が7月24日に公開された。どんな資料を見て話し合ったのか興味があったのでPCでダウンロードして読んでみました。内容は相変わらずなもので「学校が担うべき業務のうち、教員が担うべき業務はどのような業務か。また、それを具体化するためには、どのように学校や社会に示していくか。さらに教員が負担に感じる業務と実際に時間を要する業務のギャップをどのように考えるか。」とか「教職員が担うべき業務に関し、ICTの活用や教職員が作成すべき書類の精査等を通じて業務改善を図るため、どのような方策が考えられるか。また、学校では、どのような業務改善を実施していく必要があるか。」など職場で何とかせいみたいな話ばかりでいやはやこれじゃあ有効な方針なんて出せないなあと思いました。しかし、最後の資料は面白かったのです。資料名は「子どもたちも、教職員も元気な学校づくりに向けた提案」。作成者は妹尾昌俊さん。(教育研究家、学校マネジメントコンサルタント 文部科学省学校業務改善アドバイザー NPO まちと学校のみらい理事)

 資料は長時間労働の実態だけでなく過労死の報道などについて触れた後、「働き方改革なんて言われても」というテーマで教員の本音をいくつか紹介しています。

 「働き方改革???オレの働き方が悪いって言うんですか?ほっといてください」。「教員定数増えないのにこれ以上現場で工夫しろ、頑張れ言われてもムリでしょ?」「新しい学習指導要領?英語が増えるやつですね。社会に開かれた教育課程?なんですか、それ?」

 私たちが文科省に言いたいようなことが書かれているので驚きました。その後、「小学校は、1人の担任が10~11教科教え、生活指導や家庭へのケアまで行うのは、授業の質の向上の点でも、限界。せめて複数教科の担任制(2~3人で学級担任)としては?」とか「小中では、各教員がもつ授業コマ数の実態調査を(特別活動等も含め)⇒ 授業準備ができるコマ数へ上限規制を。」「小中高とも、教科指導を行わない、生活指導(生徒指導)専任と進路指導・キャリア教育専任を拡充できないか? 今は一人があらゆることをやっている。」「文科省は厚労省等とも連携して、30年度予算要求へ」など面白い提案をいくつも出しています。

 「“指導文化”(指導という名のもとに実に多くのことが教員、とりわけ学級担任)の仕事になっている。⇒たとえば、給食、清掃、昼休みの見守りどこまで必要か?毎日掃除やれ、とは学習指導要領のどこにも書いていない」「学校の責任範囲をどこまで求めるか」

例:給食中の事故、下校途中で万引き 聖域なく、見直し・改善を」。私たちが当たり前に行ってきた仕事も「これは教員の仕事なの?」と妹尾さんは問いかけます。

 こうした資料を有効に活用し教職員の超過勤務問題に対して実効性のある提案を文科省は今度こそしっかりと行ってほしいものです。


性暴力「女性に非なし」偏見一喝、大絶賛

2017年08月04日 | 日記

『「最後まで抵抗しなかったのが悪い」、と娘や妻に言えるのか-。』

性暴力を扱ったNHK情報番組「あさイチ」で、死ぬ気で抵抗すれば被害を防げたなどとする視聴者の声をゲストが明快に否定し、話題となっている(7/2の毎日新聞)』とあり、よくぞ言ってくれた!と心の中で叫びました。

ネットでもそのゲストの発言が大絶賛されています。ゲストとはタレントでDJのジョンカビラさんです。

男性が明確に「女性に非なし」と一喝されたことを心強く思いました。

性暴力では被害者にも非があるという偏見が根強いです。女性の服装が悪いとか、お酒を飲み過ぎるのが悪いとか、暗い道を歩くのが悪いとか言われますが、どんな状況であれ、性暴力を振るう側に問題があります。しかも加害者の75%は被害者と知り合いで、抵抗できず声を発することができない現実があるといわれます。

女性部でも、これまでにデートDVやスクールハラスメントなど女性や子どもの立場に立った学習をしてきました。人権侵害としての性暴力、また戦争における究極の女性への人権侵害「軍隊慰安婦」の問題も認めることはできないという立場です。様々な性暴力事件について支援を行うことも活動の柱としていますので、何かあればいつでも女性部に相談してください。

 

性犯罪を厳罰化 7月から施行 大規模改正は110年ぶり

性犯罪を厳罰化する改正刑法が6月16日に可決成立しました。性犯罪については1907(明治40)年の刑法制定以来、初めての大規模改正です。

改正法の骨子の一部を紹介します。

①強姦罪の名称を「強制性交等罪」に変更し、加害者と被害者の性差をなくしました。「加害者は男性、被害者は女性」といった性差が解消されます。

②強姦罪、強制わいせつ罪などを「非親告罪」化し、施行前の事件にも原則適用にしました。他の犯罪と同様に、事件が起これば同じように捜査されます。

③法定刑の下限が、懲役3年から懲役5年に引き上げられます。

④「監督者わいせつ罪」「監督者性交等罪」も新設しました。家庭内での性的虐待を念頭に、親や養護施設などの「監護者」が立場を利用して18歳未満の子にわいせつな行為や性交などに及んだ場合は、暴行や脅迫が伴わなくても罰せられます。

しかし、④以外では「抵抗を著しく困難にする程度」の「暴行又は脅迫」があったことを立証しなければならない点が残っており、女性団体等は更にこの撤廃などを求めています。