東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

教員も「生活者」としての権利を大切にしよう

2016年11月28日 | 日記

日教組の女性参画推進担当者会議に参加しました。各都道府県の支部からの担当者が集まり、支部の取り組みを発表したり、女性参画を進めるためのグループ討議を行ったりしました。

ジャーナリストの治部れんげさんの講演もありました。その一部をご紹介します。

思い込みは「無理解」の表れでは?

 日本には「男は24時間365日働ける、働きたがっている」という思い込みがあると、治部さんは指摘します。例えば、子どもを病院に連れて行くために休暇を取る父親は、かなり高い確率で「奥さん(子どもの母親)はどうしたの?」と聞かれるとか。家事育児を担いたくても、周囲は無意識に配慮のない言葉をかけているのです。 また、「子どものいる女性は第一線ではなく、すぐに帰れる仕事がいいだろう」という考えも思い込みであったと、治部さんは『資生堂ショック』を例に挙げました。『資生堂ショック』とは、女性社員が全体の83%を占める化粧品メーカー・資生堂が、育児中の時短社員にも夜間・休日勤務をしてもらうとした人材戦略のこと。育児中=時短勤務」を強制するのではなく、多様な家庭事情やキャリアアップへの意思に対応するというものでした。活躍の機会は公平であるとしたこの方策は、ママ社員のキャリア意識を刺激したとのことです。アメリカは男女平等に厳しい国 1年間、アメリカに留学した治部さんは、アメリカの家事育児事情を学びました。そこで知ったのは、夫にとっての家事育児は「手伝い」ではなく「家庭内で自分が果たすべき責任」であること、妻にとっての有償労働もまた「自己実現」ではなく「収入の責任を負う」ということだったそうです。男女平等を厳しく追究し、家事育児も有償労働も男女平等であるべきという考えに基づいているとのことでした。そんなお話を聞いているうちに、インターネットで目に触れた、こんな小話を思い出しました。 
外国人「イクメンって何?」 日本人「育児をする(手伝う)男の人だよ」 外国人「?『father』じゃないの?」 日本人「……」
 幸いなことに、20~30代の若い男性に「家庭を優先したい」「家庭と仕事、両立させたい」という多様な考えが増えてきているそうです。つまり子どもへの語りかけはとても大切だということ。先生や親の価値観は子どもに大きな影響与えます。私たちも、家庭のために帰宅するその背中を、子どもたちに見せていきましょう。

 


トランプショック

2016年11月25日 | 日記

 アメリカ大統領選の結果に、世界中がショックを受けているという。差別感情を隠さない発言・政治経験ゼロなどこれから大丈夫かという不安や、選挙予測をメディアが外したということなどがショックだという。確かに、彼に核のボタンを預けるのは危険だと思うし、これからの影響に対し対応していかなければいけないこともあるだろう。

 しかし、日本のメディアが一斉に「なぜアメリカはあのような差別発言を繰り返す人物を選んだのか」と、アメリカ人は大丈夫か?みたいな論調で分析を始めたことに違和感を覚える。なぜなら、日本は排他的発言・差別発言を繰り返す人物を選挙で選ぶことにかけては大先輩だからだ。

 ここでもう一度振り返っておきたい。

 元東京都知事石原サンは、平気で中国を蔑称で呼び、朝鮮半島出身者が想定される文脈で「三国人」という言葉を使う発言、「障害者」への「人格があるのかね」発言、同性愛者への「野放図、気の毒、遺伝でしょ」発言など、数多くの暴言があった。多くの人を傷つけているのに、謝罪もせずに常に居丈高であり続け、都知事に4度も当選した。

 元大阪府知事橋下サン。彼には独裁容認発言や、従軍慰安婦必用論、朝日新聞なくなれ発言など、より品のない発言が多かったのに、かえって「歯に衣着せぬ発言」「既成勢力への対抗者」みたいなプラスのイメージがついていった。彼の作った大阪維新の会は、今年の参院選でも相変わらず圧倒的な人気を見せつけた。

 そして現職の総理大臣である安倍サン。日本の場合首相を直接選挙で選ぶわけではないが、彼の「人気」が自民党の選挙を支えていることは間違いない。安倍サン本人は、品のないヤジで知られるが、女性議員の質問に対するヤジがとりわけ多いと言われる。ニュースの街頭インタビュー報道が偏っていると圧力をかけ、しかもそれを「私にも表現の自由があるから」と言い放つ。「戦争を憎み、ひたぶるに、ただひたぶるに平和を追求する道を、日本は一度としてぶれることなく何世代にもわたって歩んできました。」とまるで過去の侵略戦争がなかったかのような発言は、かつてアジアを侵略したという意識が極めて薄く、日本の戦争がアジア解放だったという極めてゆがんだ思想からきているものと思われる。これほどの思想の持ち主の総裁の下でも選挙に勝ち続け、今や国会は改憲勢力が2/3を占めるようになった。

 また当選はしなかったが、南京虐殺はなかった、日本も核武装すべし、と言った田母神サンが都知事選で60万票も獲得したのも記憶に新しい。

 今振り返ってみてもトランプ氏もびっくりの発言・思想ばかりではないか。冷静に考えれば、日本人は大丈夫か?だ。トランプ氏支持への疑問が日本で沸き起こっている今こそチャンスではないか。「人のふり見て我がふり直せ」の。


夏の講座

2016年11月22日 | 日記

7月18日、女性部教職員のための夏の講座が開かれました。
前半は職場の実態アンケートをもとに、職場交流が行われました。
内容は深刻なものが増えて、アンケートに協力するゆとりすらなく働きにくくなっていることがうかがえます。休憩が取れないという人が83.2%、勤務時間オーバーは87.8%という結果から、超過勤務実態が明らかになりました。
振替なしの土曜授業の弊害、時間外の会議や研修、職員会議の形骸化、権利に関する管理職の無理解、○○スタンダードと銘打った管理主義的な教育の進行、パワハラ・セクハラ、さらにマタハラなど多くの問題が各職場からあがりました。男性の育児関連の権利はまだまだ取得者が少なく、性別にかかわず自分らしく働き続けるためには、組合が勝ち取ってきた諸権利について知らせ、労働時間やジェンダー平等教育についての職場での意識を高めていくことが大切だと確認しました。 

両性研
8月3,4日には両性の自立と平等をめざす教育研究会が「ジェンダー平等教育を進めよう~知る・気づく・動く~」というテーマで開かれました。水無田気流さん(立教大学講師)講演で、男性を含めた長時間労働のしくみを改善しなければ、女性活躍推進法は実現されないと話されていました。男性が家計を支える中心になることが当然と捉えられてきたこれまでの労働形態を改善することが、女性の活躍と深く関わっているということでした。権利アンケートで明らかになっている現場の長時間勤務について、改善していく手立てを具体的に考えていかなければならないと感じました。


「子どもの権利条約」に根ざした教育を

2016年11月14日 | 日記

 2016年4月、国連ユニセフのイノチェンティ研究所がOECD等の加盟41か国中、日本は所得格差が大きいほうから8番目であり、所得分布の底辺から10%の子どもの世帯所得は、中央値の40%の所得しかないという報告書を公表しました。

 子どもの貧困は、16.3%、6人に一人といわれていますが、数の問題だけでなく、日本における貧困の深さがどれほど深刻なものであるかをこの数値は示しています。また、経済的理由での高校中退者は1200人を超え(文科省2015)高校奨学金の滞納額も2014年度末時点で約159億円であると報道されています。教育への公的財政支出がOECD諸国の最下位に近く、私費負担が大きい日本では有効な貧困対策が打ち出されない中、保護者の経済格差が教育格差となり、子どもの貧困の連鎖へとつながっていきます。

 ようやく政府は解消をめざしてとりくみ始めましたが、その内容は政府として資金を投与するのではなく「子供の未来応援運動」をたちあげ、民間資金で基金を作り、支援団体に助成金や総理大臣表彰をおこなうなど、名ばかりの対策となっています。給付型奨学金の支給など「子どもの貧困対策法」を実効あるものにしていくために、子どもの権利条約、国際人権規約の具現化を早急に進めていかなければなりません。

 また、いじめ、虐待、不登校の件数は依然として高い数値を示しています。過度の競争的な環境が子どもを追い詰め、いじめや不登校につながっていると「子どもの権利委員会」から指摘されているにもかかわらず、全国学力調査や各種の学力テストの結果公表などの競争主義が学校に持ち込まれているのが実情です。そして、そのいじめ対策としての「道徳の教科化」は、決して子どもの気持ちに寄り添ったものにはなりえません。子どものおかれている状況を子どもの人権の視点から捉えなおしていくことが必要です。それは、憲法の理念の実現につながり、平和・人権・環境・共生を尊重する社会を主体的に築いていく力となるものです。これは「子どもの権利条約」のもとで学校現場を含む教育の場でおとなによって保障されることが大切です。今こそ私たちは子ども達の「ゆたかな学び」の必要性を地域・保護者に訴えていかなければなりません。

☆東京教組は、1月27日(金)18時~20時で日本教育会館7階会議室において、教育対話集会「『学力』とはなんだろう」を開催します。是非、多くの方にお集まりいただければと思います。


第63回関東ブロック母と女性教職員の会平和の誓い新たに 

2016年11月07日 | 日記

8月7~8日、9年ぶりに東京で関ブロ母女の会が開催されました。「子どもたちに平和で平等な未来を! ~生かそう憲法・子どもの権利条約を~」をテーマに、一日目は分科会、二日目は全体会が行われました。分科会は、【こどもと人権】【幼児と小学生】【中・高校生】【インクルーシブな教育】【平和・環境】【自立と共生の教育】の6つに分かれ、様々な体験や実践の報告、提案があり活発な話し合いが行われていました。

記念講演では、「東京大空襲を伝えていくこと」と題し、山本唯人さん(東京大空襲・戦災資料センター主任研究員)と竹内静代さん(東京大空襲を体験者)のお話をお聞きしました。 山本さんのお話から、空襲が歴史的にどのように推移し、東京大空襲へと至ったのか、その後の朝鮮戦争やベトナム戦争、アフガニスタンやイラクへの空爆につながっていったのかが分かり、東京大空襲は一つの点ではないことがはっきりしました。東京大空襲を考える視点として、山本さんは次の3つを挙げていました。①多くの列強諸国が被害国であると同時に加害国であること。②被害の実態を明らかにすると同時に、加害責任について問う必要があること。③被害国にも加害国にもならないためにはどうすべきか考えること。そして体験の継承をどのように作り上げていくべきかについても話されました。戦争の体験世代が減少していくことで、東京大空襲を含む先の戦争は、直接的な「記憶」から間接的な資料や文字によってしか知りえない「歴史」になっていくこと。そうした中で、私たちは過去の体験とどのように「出会い直す」ことができるかが重要であること。体験者の声や実物の資料、芸術作品、新し
い研究などに触れてリアリティをもって過去を想像し、体験を引き継いでいくことが求められているとのことでした。
 東京大空襲を体験された竹内さんのお話で印象的だったのは、焼け落ちた自宅に戻り、大切にしていた英語の辞書が灰になって風に飛んでしまったときの喪失感は忘れられないというものでした。戦後2時間半かけて学校へ通ったが、明日が分からず生きていた戦時中より、何もなくなってしまったけれど、明日も学校に来ていいんだということが嬉しくて仕方がなかったそうです。戦時中の教育の重さ、教育の力の大きさについても語られ、「71年間、明日のある生活をしてきた。明日のことを考えられる世の中であってほしい。そういう世の中をつくっていきたい。あと29年続けば戦争のない100年になる。」という言葉に、明日をつくる子どもたちとしっかり向き合っていかなければいけないと思いました。危険な安保法制が進んでいこうとしている今、改めて平和の大切さを考える2日間となりました。