東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

感染症対策・一斉休校で見えた学校の人権問題 2

2020年12月22日 | 日記

オンライン教育への警戒    

 超多忙として社会問題となっている学校現場にも、今コロナ禍による更なる困難が押し寄せています。消毒、健康観察、密を避ける、校外学習や運動会などの代替行事の模索、など様々な課題がありますが、今回は「オンライン教育」の問題をご報告します。

  休校中のオンライン教育の推進は、今現在の段階では各家庭のネット環境に大きく左右されてしまうため大きな誤りでした。「オンライン教育」と言っても様々ですが、単純なHPからのプリントのダウンロードができない環境の子も大勢いました。動画配信であっても、日中子どもが一人では見ることができない、きょうだいが同時に見る環境まではない、親が帰ってきてからやっとスマホで見る、など大きな格差が生まれました。「ハードの不足」よりも「インフラとしてのネット環境不足」なのであって、「一人一台」だけで解決する問題ではないのです。

 さらに大きな問題は「オンライン授業」が、一方向の授業を加速させ、教員がそれで満足してしまうことです。もちろんオンライン授業で、子どもの側からの質問が可能なツールもたくさんあります。しかしカメラへ向かって質問するハードルは、通常のそれより明らかに高くなります。そもそも質問できなくて困っている子を見つけてフォローしながら進めたり、質問までいかない「つぶやき」を拾っていったりするのが「良い授業」ではないでしょうか。にもかかわらず、一方的な配信で「授業をした気」になる教員の増加が心配です。

 まして「GIGAスクール構想」で聞こえてくる「個別最適化」という言葉は、これまで特別支援教育での子どもの差別・選別を正当化してきたキーワードそのものです。点数学力による子どもの集団の輪切りが「個別最適化」の正体でしょう。

 「教員が新しい技術を身に付ける大変さ」以上に教育の本質を問われるのが、今のICT教育・オンライン教育だと感じています。


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