東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

その本面白いですよ

2015年01月30日 | 日記

 先日,本の修理をしていた。
 表紙の破れたところを簡単に補修し,仕上げに専用のビニールコートを表紙ごとかけて長持ちするようにしただけの作業である。
 半ヴァンパイアの少年が主人公の話の本で人気が高い。その分本の傷みも早かった。図書の修理は本来学校司書の作業なのだが,勤務校では司書教諭の役割になっている。自分もライブラリアンとしてかけだしの頃「修理3年。選書8年。分類一生。」と恩師からたたき込まれ,気がついたら,そこそこ修理できるようになっていた。学校図書館の図書を修理する際に心がけていることがある。できるだけ修理しているのを,生徒から見えるところで修理するようにしていることである。今回もその信条にのっとって修理した。修理が完了した本は完璧とまではいかないものの,ある程度復活した。
 きれいになった本を見ていた生徒の中で一人「先生,その本,本当に面白いですよ」と声をかけてきた。面白い本だからこそ,たくさん読まれて本が傷んだのだが,そのことよりも直った本をうれしそうに見つめる生徒の表情を見てうれしく思った。その意味で声をかけてくれた生徒から元気をもらいつつ,また,修理する楽しみが一つふえた。


葛飾区がヘイト禁止の意見書

2015年01月26日 | 日記

 ヘイトスピーチによる人権侵害は、日本で深刻な被害をもたらしているが、ヘイトスピーチに反対し、国に法整備を求める意見書が現在24の地方議会で可決されている。
 12月には、23区で初めて葛飾区議会が「ヘイトスピーチを含む人種及び社会的マイノリティーへの差別を禁止する法整備を求める意見書」を採択した。
 その内容は、 

国連人種差別撤廃委員会は8月29日、日本政府に対して、ヘイトスピーチ(憎悪表現)問題に「毅然と対処」し、法律で規制するよう勧告する「最終見解」を公表した。 日本が平成7年に加入した「人種差別撤廃条約」では、参加国で差別が行われていないか、一定の期間を置きながら、国連人種差別撤廃委員会が審査を実施してきており、今回の最終見解は、日本への審査の総括として同委員会が8月29日に採択したものである。  この中では、日本のヘイトスピーチの状況にも言及しており、特に人種差別的デモ・集会をする団体によるヘイトスピーチの蔓延や、政治家・公人によるヘイトスピーチが報告されたこと、またメディアでのヘイトスピーチの広がりなどについて、懸念が表明されている。さらに、そうした行為が適切に捜査・起訴されていないことも、懸念点だとしている。 こうした状況に対して、最終見解では、ヘイトスピーチを規制するための措置が、抗議する権利を奪う口実になってはならないと指摘するとともに、「弱者がヘイトスピーチやヘイトクライムから身を守る権利」を再認識するよう指摘している。 また、人種及び社会的マイノリティーへの差別的な表明や暴力に断固として取り組むことや、ヘイトスピーチに対しては適切な手段をとること、そうした行為に責任のある個人・団体を訴追したり、ヘイトスピーチをする政治家・公人に制裁を科すことなどを政府に勧告している。 よって、本区議会は国会及び政府に対し、人種差別撤廃委員会の31項目の勧告を重く受けとめ、一刻も早くヘイトスピーチを含む人種及び社会的マイノリティーへの差別を禁止する新たな法整備を行うことを強く求めるものである。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 というもので、衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、法務大臣に提出された。
 このような決議をしなければならない我が国の現状を憂うとともに、この決議を誇らしく思う。国会でもヘイトスピーチ被害がこれ以上拡大する前に決議と法整備を行ってほしい。 


イスラム国の人質となった2人の解放を求める緊急アピール

2015年01月23日 | 日記

 シリア・イラクなど中東地域を中心に活動する武装組織「イスラム国」が、20日、日本人2人の殺害を警告する映像をインターネット上に公開した。脅しと暴力によって自らの主張を押し通すことは許されざる行為である。
 「イスラム国」は、安倍首相が「イスラム国」対策として2億ドルの拠出を表明したことを理由に、72時間以内に2億ドル(約236億円)の身代金を支払うことを要求している。
 欧米による中東への軍事的介入が、いまの状況を作り出した要因であり、そのことを抜きに「対テロ」戦争を支援することは、いっそう中東地域の民衆を戦火へ叩き込むことにつながる危険のあることを日本政府は知るべきである。
 「積極的平和主義」などを主張し、憲法の平和主義のもとでの外交努力や国際協力を軽視してはならない。
 一刻を争う時期、平和フォーラムは、反戦運動にとりくんできた諸団体と、2人の解放を求める緊急のアピールを発表した。以下が、そのアピールだ。

   イスラム国の人質となった2人の解放を求める緊急アピール
                                         2015年1月21日
 私たちは、米英によるイラク攻撃に反対し、それを支持して攻撃に加担した日本政府に抗議する広範な運動を行ってきた者(people)として、また、現在の安倍政権による『海外で戦争する国づくり』とそのための日米の軍事協力を強める政策に強い反対運動を進めている者(people)として、世界で実現されるべき正義と人道の名において、今回の日本人2人のシリア入国の経緯と立場の評価は留保したうえで、2人の日本人の生命を奪うことなく、無事に解放するよう求めます。そして、日本政府が2人の生命を救うために、最大限の交渉の努力を行うことを要請します。
 私たちは一貫して、「集団的自衛権」の行使容認をはじめとした日本を戦争へと引き込む一切の政策に反対するとともに、米国の戦争にグローバルな規模で加担するという危険で、誤った道を進むのではなく、平和憲法の下でこそできる日本の国際協力のあり方を求めて、とりくんできました。私たちがとりくむなかで、航空自衛隊による中東地域での米軍への協力は、日本の憲法に違反するとの判決も出されています。
 2人の日本人を拘束した人びとは、日本の民衆のこうした願いと努力を理解し、かけがえのない生命を奪って失望させないよう賢明に対処することを切望します。
フォーラム平和・人権・環境(peace-forum@jca.apc.org
戦争をさせない1000人委員会(info@anti-war.info、)
憲法を生かす会(hico@ma.kitanet.ne.jp )、
平和を実現するキリスト者ネット(cpnet@mica.dti.ne.jp
許すな!憲法改悪・市民連絡会(kenpou@annie.ne.jp )     以上


「頑張れ!」ではなく、気持ちを届けよう

2015年01月21日 | 日記

あの3.11から間もなく4年が過ぎようとしています。あの衝撃もその年月とともに私たちの記憶から少しずつ薄れていくようにも思えます。

 私たち東京教組は、「東北を忘れない、忘れさせない!」を合い言葉に、様々なとりくみを続けてきました。福島については、脱原発に向けた学習会をくり返し行い、さらに福島県教組の角田書記長(現委員長)においでいただき、福島県内の子ども達の状況についても報告を頂きました。また、福島県民集会には、毎年貸し切りバスで多くの組合員が参加しています。

 今年度は、7月23日にフォトジャーナリストの安田菜津紀さんをお呼びして、「3.11後の岩手から考えること、考えなければいけないこと」をテーマに学習会を行いました。安田さんは、岩手県陸前高田市について自分が撮った写真をスクリーンに映し出しながらお話をされました。お母さんを津波で亡くされた安田さんは、ただ一本だけ残った一本松を希望の象徴として写真にとり、それが多くの新聞に掲載されましたが、安田さんにとって希望の象徴としてみえたこの写真が、被災者にとっては波の威力を思い出させるだけのものだったこともお話しくださいました。当時日本では「がんばれ、がんばれ」という言葉が氾濫していましが、これは被災した人々を追い詰める言葉でもあったのだそうです。

 もう、ギリギリまで頑張っている方たちに対して、「がんばれ!」ではなく、私たち一人ひとりの被災地を思う気持ちを届けたいと思うのです。今年も昨年に引き続き東京都学校生協のご協力で、「東北支援企画」を行うこととなりました。東北の商品を購入することで、東北の復興を支援する。売り上げの一部を、東北の子ども達のために使う。そして、今年は、昨年の秋に学校生協として実施した際に大変好評で、仮設住宅の方たちからも非常に喜ばれた「お米券」のとりくみも加えて実施します。

 組合員の皆さん、「私たちは東北を忘れない、忘れさせない!」という思いを、この企画に参加することでかたちにしましょう。来週には、職場にチラシと申込書が届きます。〆切は2月27日までに、東京都学校生協にFAXして下さい。すべての組合員の積極的な購入を心よりお願いします。

 被災地では、「桜ライン3.11」というプロジェクトがたちあがり、津波の到達点に桜の木を植えていくという運動が進められているそうです。桜の花が咲く頃には、私たちの思いを届けられたらと思っています。


税金の話

2015年01月19日 | 日記

 所得税が累進課税であることは誰もが知っていると思うが、実はそうではない。
 国税庁の調査では、実際の所得税は、所得が1億円までは税率が上がって行くが、それ以上になると下がっていくのだ。
 所得200万円は税率2.6%だが、1000万円10.6%、1億円28.3%、5億円24.9%、50億円15.8%、100億円13.5%という調査結果だ。これでは格差が広がり、貧困世帯が増大するのは当然と言える。

 近代国家は、冨を再分配することで社会福祉を実現してきた。
 その考え方の基本が、一部の階層へ冨を集中させずに国民全体に広く分配する累進課税だ。
 その逆に、所得が少ない人ほど税の負担率が高くなるのが逆進税で、消費税やタバコ税、酒税などがその代表であるが、所得税まで逆進税になってしまっているのだ。
 そもそも累進課税は、世襲によって身分や階級を固定化する封建社会から平等な民主国家をめざすための基本の税制でもある。そこが、崩されようとしているのは封建社会に逆戻りする由々しき事態と言える。


大変なことになっている!奨学金

2015年01月16日 | 日記

 このままでは大学生の将来が危ないと政府も来年度予算に無利子の奨学金の増額計上したが、今や奨学金は貧困ビジネス化している。
 この1 0年で世帯収入が100万円以上も減少する中で、実家の仕送りもままならず、大学生の5 3%が奨学金を借りてしのいでいる。
 「奨学金は、教員を勤めれば、返さなくていい」と思っている方もいるようですが、返還免除の制度は1998年に廃止され、2004年には日本育英会もなくなり、日本学生支援機構(独立行政法人)に移行した。
 その結果、1998年度無利子奨学金39万人・有利子奨学金11万人計50万人が、2012年度には無利子奨学金38万人・有利子奨学金96万人計134万人と有利子だけが増えている。
 無利子奨学金の枠は狭いままなので、2009年には無利子希望者の78%が切り捨てられた。
 有利子を毎月10万円借りると、4年間の貸与総額は480万円。貸与利率1.08%で、返還総額は536万4513円にもなる。毎月22, 351円を20年、すぐに返し続けても43歳。返済が困難になれば年利10%の延滞金。 480万円だと年48万円にもなる。それを元武富士の社員などが厳しく催促する。まさに、貧困ビジネスとしての奨学金といえる。
 アメリカでは経済的徴兵制が横行している。軍隊に入れば大学に行けると高校で入隊勧誘を行い、貧困層の若者が押し寄せているという。
 「自衛隊に入ったら奨学金の返還を免除する特例措置」など笑えない冗談が現実になる惧れすらある。

 東京教組も都高教と下記の集会を開催し、若い教職員へのアンケート調査も実施する予定だ。

大変なことになっている!奨学金問題
 「知らないで」進学指導することはできない奨学金の「明と暗」
日時:1月30日(金)18:30~20:00
場所:日本教育会館9階901号室
講師:大内裕和さん(中京大学教授)


「性同一性障害」から「性別違和」へ

2015年01月14日 | 日記

今から25年ほど前、まだ性同一性障害という言葉が教育現場ではあまり聞かれなかった頃、組合の当時の婦人部は「男女混合名簿」に盛んに取り組んでいました。その頃は「いつも男が先なのはおかしい。」「男らしく、女らしくと押し付けられることは変だ。」といった社会に根強く残る古い男女の固定化された状況を打破する第一歩だったように感じます。名簿の順番を変えるだけのことがとても難しく、思うように進まなかったことを覚えています。

今女性部では「男女混合名簿」を「性別で分けない名簿」と呼び方を変えていますが、これは性別が男女だけではなく、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)といわれる様な多様な性の在り方があることを意識しているからです。 

自分の性別に違和感を覚える人たちは人口の5%程度いるといわれています。自分の性を意識するのは大人になってからではなく、小中学生のころから、あるいはもっと早くからではないでしょうか。つまり私たちが日々対している学校の子どもたちの中にもいておかしくないのです。

宝塚大学看護学部の日高康晴准教授らが、ゲイ・バイセクシュアル男性約6000人を対象として行ったアンケート調査(2005年)によると、およそ半数がいじめを経験したことがあるという結果が出ています。また、性同一性障害(トランスジェンダー)の総合的診療を行う拠点となっている岡山大学病院ジェンダークリニックでは、1999年の開設から2009年までの間に診療を行った1154人のうち、およそ6割が自殺を考えた経験があり、その発生時期のピークは思春期であると報告しています。

二次性徴を迎える多感な時期にいる子ども達に、私たち教員の示す言葉は大きな影響を与えます。何気ない一言が子どもを勇気づけもするし、傷つけもすることにもっと敏感にならなければいけないと思います。また、男女別の名簿や整列、色分け、服装、仕事分担等々、学校で当たり前に行われていることがどんな意味を持つのか、きちんと検証していかなければなりません。どのクラスにも自分の性別に違和を覚える子どもがいるという前提で接し、授業を行うことが必要です。 

2010年に文部科学省が「性同一性障害の児童・生徒への配慮・対応を学校に求める」と全国の教育委員会に通達をしたことで、整備する学校が増えてきています。また、同性愛なども含めた多様な性のあり方を教育の中で肯定的に伝えたり、自分のセクシュアリティに悩む子どもたちが相談しやすい環境を作ったりしようという試みも全国で始まっています。

奈良県では、現場の教職員、セクシュアル・マイノリティ当事者を含む有志が集まり、「教職員のためのセクシュアル・マイノリティサポートブック」を共同で制作しています。また神奈川県では、「SHIPにじいろキャビン」というセクシャルマイノリティ(同性愛者・性同一性障害)の支援を行うNPO法人が活動しています。セクシャルマイノリティのためのコミュニティースペースで、周囲の目を気にせず、同じ仲間たちが集まることができる施設です。 

今年5月に日本精神学会は「性同一性障害」を「性別違和」と名称を変更しました。「障害」という言葉がもつ抵抗感や差別観を払しょくすることがひとつのねらいのようです。呼び方だけでなく、その現状に関心をもって取り組んでいきたいと思います。


ホッ!身も心もほぐれたビギナーズヨガ

2015年01月09日 | 日記

ワーキングホリデー中のカナダで、腰を痛めてヨガに出会い心身ともに健康を取り戻し、インストラクターの資格をとった講師のRitsukoさん。彼女から呼吸法、ヨガの基本ポーズから誰でもできるヨガの基本を教えてもらいました。

 いつもは組合の会議や学習会で使う東京教組の会議室ですが、この日はジムに変身!体の固い人もやわらかい人も、年齢に関係なく楽しく身も心もほぐれました。

「そこらじゅうの関節が軽くなった感じ」「身体がほぐれていく…これからも続けたい!」「今日は、ぐっすり眠れそう」「デトックス(体内から毒素や老廃物を取り除く)できそう!」などなど、20代から60代までの参加者からも好評のビギナーズヨガでした。

 次回は未定ですが、また企画してホームページなどでお知らせします。乞うご期待!


「サザンオールスターズ」がみせたこと

2015年01月07日 | 日記

 大晦日から新年にかけて、次から次と友人から驚きのメッセージが届いた。どうせいつもの新年メッセージだと思っていたが、読んでみると、全てが紅白の話題。それもサザンオールスターズの話題だった。

 今回、サザンが紅白で歌ったのは「ピースとハイライト」「東京ビクトリー」

「ピースとハイライト」は、2013年の夏、久しぶりにサザンが出した新曲で、当時もサザンらしからぬ社会風刺のきいた歌詞に話題は集まったが、一部の話題で終わってしまい、私もすっかり忘れていた。確かに今回紅白で聞いた時、いい歌やるねえとは思ったが、2曲目は2020年東京オリンピックにむけての歌?のような「東京ビクトリー」だったこともあり、私の中ではそこまでピピッとはこなかった。そして、あらためて、もう一度紅白をビデオで確認し、サザンのしたたかさに気がついた。

 

1、事前に演奏する曲を発表しなかったこと

2、司会の中居君に呼ばれてから、ヒットラーを予測させるチョビヒゲを付けたこと

3、「ピースとハイライト」の間奏で新大久保のような風景が写ったこと

4、「東京ビクトリー」の間奏では福島原発が大きく映し出されていたこと

サザンなかなかやるじゃない。年末に「紫綬褒章」もらった時は、やっぱりねえ、なあんだとがっかりしたけれど、勲章もらったのは、これへの伏線だったかもしれない。 

私たちはとかく、1つの観点のみで物を見がちになってしまう。でも、この、「勲章もらったしね、だからこれぐらいやっていいでしょう」というサザンの姿勢は見習うべきかも知れない。紅白後、ネットはすごい状態になって、サザンに対してひどい書き込みもたくさんあったけど、大方の大衆はサザンを支持している。「ピースとハイライト」も急激に売れ出したらしい。

 でも、1つだけサザンに言いたいことがある。「ピースとハイライト」の歌詞の一部に 

    教科書は現代史をやる前に時間切れ

    そこが一番しりたいのに 

    なんでそうなっちゃうの

とあるけど、今はちゃんと現代史も教えています。というか、教科書をしっかり終わらなければ大変な時代になっているんだけど・・・・・

 

 とはいえ、年初めからちょっと明るい気持ちになった。


あけましておめでとうございます。

2015年01月01日 | 日記

 羽生結弦の爽やかな笑顔と安倍首相の醜悪な笑顔が際立った年の瀬でしたが、2015年、新しい年がスタートしました。
 既視感ではないですが、一昨年も同じような思いで元旦を迎えたことを思い出しました。年末の総選挙で安倍政権が復活し、元旦を迎えたのが2年前でした。この2年間、安倍政権は暴走に次ぐ暴走を繰り返して国民の不安を招いてきました。
 2年前の総選挙で安倍総裁は「原発依存を低下させる」と言いながら、総理になると原発再稼働や輸出に力を入れ始めました。「アベノミクスは景気を良くする」と言ってきましたが、この2年間株価は上がりましたが、実質賃金は下がり、景気は低迷しています。アベノミクスの失敗は明らかです。それでもさらに「日本を企業が最も活動しやすい国にする」として労働者保護ルールを破壊しようとさえしています。「一億総中流」といわれた日本は、今や貧困と格差の国となっています。
 そして、安倍首相がもっとも力を入れているのが「戦後レジームからの脱却」です。強行採決による特定秘密保護法の制定や国会論議さえほとんど無いままに行われた集団的自衛権行使容認の閣議決定、教育委員会制度の改悪と道徳の教科化など、「戦争の出来る国」へと強引に引っ張っていこうとしています。
 しかし、残念ながら、結果は戦後最低の投票率とはいえ、自民、公明両党の大勝でした。安倍政権が信任された事実を私たちはしっかりと受け止めなければなりません。おそらく安倍首相は「国民の信を得た」とばかりに、安全保障問題もエネルギー政策もスピードを上げて突き進むことでしょう。選挙中は主張してこなかった「憲法改正」についても、投・開票日の記者会見の席で自らの手ですすめることを公言しています。
 正義と知性が欺瞞と暴力に敗れた歴史は、それほど昔の出来事ではありません。勢いにのみ込まれ、国民が気付いたときには遅かったと言うことも、歴史には多々あります。くり返さないためには、正義と真理だけでは足りません。私たちは、それを「伝えることば」を持たなくてはなりません。紡ぎ出すことばで、一人でも多くの方たちに思いを伝えていきましょう。
 また、子ども達の未来に責任を持つ私たち教職員組合は、安倍首相の言う「この道」を子ども達に歩かせるわけにはいきません。私たちは、どのような状況であっても、子どもの実態に向き合い、その心に寄り添い、一人ひとりの子どもの尊厳に基づく教育をすすめていかなくてはなりません。
 東京教組は、日教組に結集する全国の仲間とともに本年も全力でとりくむ決意です。そして、そのためにも、最大・最優先の課題である組織拡大に引き続き組織の総力をあげてとりくみます。
 秘密保護法の撤廃や集団的自衛権行使容認閣議決定の撤廃、「原発ゼロ」、貧困と格差の解消などのたたかいは、新年に引き継がれました。下を向いてはいられません。組合員の皆さん。職場で働くすべての仲間と手を携えて、東京教組の旗の下で、ともに頑張りましょう。