国家戦略特区が発表され、教育について特区で「公設民営学校」を導入するというのがあった。
簡単に言えば、公立学校の民営化することで、民間団体・企業が公立学校を経営するチャータースクールが日本でも導入されるということだ。
一足早くチャータースクールを導入しているアメリカをレポートしている「(株)貧困大国アメリカ(堤未果著)」を読むとその実態がわかり、背筋が寒くなる。
ブッシュ政権が導入した「落ちこぼれゼロ法」により各州や自治体、学校は教育予算をめぐってテストの点数を競うことになりった。低所得層の多い地域の教育を支えるのは公立学校だが、そこに市場原理を持ち込んだ〈落ちこぼれゼロ法〉では、生徒たちの点数が上がらなければ国からの予算が出ないだけでなく、その責任が学校と教師たちにかかるしくみだ。貧困家庭の生徒を多く抱える公立学校では平均点が上がらず、教員は解雇され、学校は廃校になる。そこに、銀行家や企業が経営するチャータースクール(営利学校)が建てられる。チャータースクールは、七年で元が取れることから、投資家にとって魅力的な「商品」だ。あくまでも教育ビジネスなので、学力も経済力も要求される。その結果、デトロイトでは教育難民となった子どもたらが路上にあふれ、失業した教師たちは州を出るか、食べていかれずにフードスタンプ(生活保護の食品券)を申請するという恐ろしい光景が現実になった。
結局、教育の民営化、市場化は公教育を破壊して教育格差を作り出し、自治体の財政負担をさらに拡大させた。恩恵を受けたのは教育ビジネスで利益を得た投資家と大企業」という結果を招いた。
ウィスコンシン州では「学校の選択制」「親に選択の自由を」というスローガンのもとに自由に学校を設立できる教育の民営化法案がだされた。子どもに教育券(バウチャー)が国・自治体から配布され、学校を選択して入学するという仕組みだ。
このアメリカの悲惨な現実が、明日の日本にならぬよう、『公設民営学校』特区には十分な警戒が必要だ。
(オブコニカ)