東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

取り戻そう教職員の「生活時間」

2017年04月04日 | 日記

やわらかな木漏れ日が教室の窓に揺れ、穏やかな春の香りとともに新しい出会いが感じられる頃となりました。窓際から校庭を眺めていると、期待と不安が交差し、胸のざわめきが少し大きくなります。間もなく校舎は、子どもたちの賑やかなおしゃべりと笑い声にあふれ新年度の活気に包まれることでしょう。

大手広告代理店である電通の新入社員が、わずか9か月で過労自死に追い込まれた事件をきっかけに、過酷な長時間労働が大きな問題となっています。政府による「働き方改革」の論議がすすむ中、学校現場の多忙化も社会問題となっています。

1月14日には、『小中教諭の7割、週60時間超勤務 医師や製造業上回る』の見出しが新聞の一面に躍り、多くのメディアが教員の長時間労働の問題を取り上げました。連合のシンクタンク「連合総研」の調査結果です。

それによれば、小学校教員で週60時間以上働いている人の割合は73%、中学校は87%。小中とも50時間未満の教員はいませんでした。特に運動部顧問の教員は出勤が早く、午前7時前に出勤する人が15%、午後9時以降に退勤する人は22%にも上っています。週60時間以上働いているということは、月の残業時間が80時間を超えますから、過労死ラインとされている水準を超えているということです。家族と一緒に夕食をとれている教員は、小学校39%、中学校33%で、民間企業労働者の52%を大きく下回りました。

東京教組が行った「東京都で働く若い教職員の方々へ」と題したアンケートの集計(回答243名)でも似たような結果が出ています。平均勤務時間は12時間17分で、実際にはとれていない休憩時間を差し引いても、毎日の超過勤務が4時間近くになっており、毎日11時間以上勤務している人が91%にもなっています。労働安全衛生法に基づき医師による面接指導が必要な月80時間以上の超過勤務の人が75%、医師による面接指導が義務付けられている月100時間以上の人は50%に達しており、2日分近い勤務時間となる15時間以上の人が7%(3%)もいました。こうした過酷な職場状況の中で、アンケートに回答してくれた青年教職員は次のようにつぶやいています。私たちは、こうした「つぶやき」を真正面から受け止めなければならないと思うのです。

 

*近いうちに結婚を考えている。ただ、結婚して出産し、子育てをしながら同じようには働くことはできないであろう。自分の仕事だけで精一杯、しかも年齢が上がるにつれて分掌は増える一方。世間一般からすると、それでも良い労働条件なのかもしれないが、不安でいっぱい。

*雑務に追われ、教材研究の時間がとれません。今は初任で、比較的分掌は少ないですが、来年度以降、授業数も増え分掌も重くなることを考えると、教員を続けていこうという意欲が下がるばかりです。

*管理職は、全くダメです。「忙しいのは、みんな同じ」と言われました。自宅への持ち帰り仕事が、多いです。(週3~4回、約2時間、また土日のうち1日は、まる1日仕事をしている状況です。)体調が悪く、体重が4月から4か月間で3kg減りました。

*授業の空き時間が全くない。休み時間も児童につきっきりにならなくてはならず、トイレに行く時間もない。勤務時間内に教材研究ができない。

*一度職場に入ると、1分たりとも休憩時間がない。設定されている休憩時間に、委員会や給食指導。

*時間外の労働が当たり前になっていることに疑問を感じるが、目の前の生徒のためと思うと休めない。自分のプライベートをもっと大事にできる環境で働きたい。不安や不満がつのると、生徒のためにも気持ちよく対応ができなくなりそうでこわい。

*夕方、18:30ごろには家に着いて、家族と会話しながら夕食をとる……というようなごく普通の暮らしがしたいなあと思います。放課後は日々会議で、丸つけをする暇もないのが現状です。

*残業代がないため、教員の良心で教育は保たれていることが驚きです。

 

希望に胸を膨らませてスタートした青年教職員に、都教委はいつまでこのような「つぶやき」をさせ続けるつもりなのでしょう。

 

2015年度の東京都の精神疾患による病気休職者の数は528名、病気休職者(694名)に占める割合は76%(全国63%)にも及んでいます。いつまでもこんな「ブラック企業」のような状態を許しておいてはなりません。力を合わせて教職員の「生活時間」を取り戻して行きましょう。