東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

女大学

2013年06月28日 | インポート
Photo 男尊女卑のバイブル「女大学」に「子なき女は去るべし。これ妻をめとるは子孫相続のためなればなり。(七去)」と「生家では父に従い、嫁しては夫に従い、夫の死後は子供に従え(三従)」がある。これに抗し、福沢諭吉は「新女大学」を著すが、その中に「小児養育は婦人の専任なれば…自から乳を授く可し。…朝夕の注意は決して怠る可らず。既に哺乳の時を過ぎて後も、子供の飲食衣服に心を用いて些細の事までも見遁(みのが)しにせざるは、即ち婦人の天職を奉ずる所以にして、其代理人はなき筈なり。」とある。
 政府が配布しようとしている「女性手帳」も、こんな内容だったらイヤだなぁ。
 晩婚、晩産を防ぐ目的で女性に配られるという「女性手帳」は、「元気な卵子をムダにせず、子どもが3歳になるまで保育園に頼らず自分で子育てに専念してネ」と国家が囁く内容かと思うとゾッとする。
 すべてのカップルと個人が、自分たちの子どもの数、出産間隔、出産する時期を自由にかつ責任をもって決定できること、妊娠・出産、子育ての最善の機会を得られるよう適切なヘルスケア・サービスを利用できる権利(リプロダクティブ・ヘルス・ライツ)を保障するのが国家の役割だ。「家族は、互いに助け合わなければならない。(自民党憲法草案)」などと、国民に責任を押し付けるのも御免だ。
サボテン



子どもの言語体験

2013年06月27日 | インポート

Photo
 アメリカで生後4歳までの子どもの言語体験研究が行われた。
 それによると、子どもに対して発せられた言葉の数は、親が専門職で5000万語、労働者で3000万語、貧困層で1200万語。しかも、専門職は、肯定的な言葉かけが70万回、否定的な言葉が8万回、一方貧困層は、肯定6万回、否定12万回と逆転。
 このことから、子どもの言語習得や感情形成が、親の努力や能力、心がけの問題ではない、生活の厳しさやストレスが背景にあることがわかった。生活に追われ、子どもにゆとりを持って接することのできない現実と親自身が育ってきた環境の不利(世代間連鎖)が「うるさい」「黙ってなさい」「早くしなさい」という言葉を子どもに発してしまうのではないか。幼少期の生育環境のハンディキャップがものすごく大きいことがわかる。ここに、保育所、学校などによる社会的なサポートの必要性があり、決して自己責任にしてはならない。
 貧困が社会問題になるのと並行して、学校では「学力のふたこぶラクダ」が大きな問題になっていた。「平均点」にしてしまうと霧消してしまう学力問題に多くの教員は気づきとりくんできた。家庭の不利が学校につながり、学校の不利が仕事(雇用)に、仕事の不利が家庭の不利にとつながっていく。排除の悪循環、貧困の連鎖。その一角を学校が占めている。
 生活の困難な子どもの低学力層がかたまりとして拡大している。とるべき施策は、学校間を競わせて学力を上げていくのではなく、困難な層の子どもたちにどう手厚くサポートするかだ。
 教師も排除の担い手になっていないかが問われている。
(エノコログサ)


教え子が再び戦場にかり出されようとしている

2013年06月26日 | インポート
Photo
 昨日のブログ子は、「慰安婦」をなかったことにする歴史の修正、抹殺をはかることで世界から孤立する政府の動きを伝えた。
 教育の場でも、この問題は深刻だ。
 昨年、都教委は、「慰安婦」について詳細に記述がされている実教出版の新教育課程『高校日本史A』を、「都教委の考え方とは相容れない」として、学校長に採択させないよう圧力をかけたことが明らかになった。その結果、前年に6校が使用していた実教出版の『高校日本史A』は現場からの「希望がなく」、採択ゼロという結果になった。
 昨年、都知事になった猪瀬氏は歴史認識についての発言は控えているが、副知事時代に「兵役」などはインフラが足りないが、「学校の先生と体育館があれば(できる)」「クーラーの効かない体育館に泊まらせればいい」と発言。それを受けて都教委は「宿泊防災訓練」を計画し、内容の例示として「自衛隊との連携」や戦前の「教練」並の「集団訓練」を示した。
 生徒たちの日常に、自衛隊や集団訓練が入り込んできているのはなぜか?まるで、将来の戦争国家への準備が動き出しているかのようだ。
 安倍首相の教育再生は戦争国家体制に突き進んでいるが、「慰安婦」強制否定論と戦争国家への準備は、軌を一にしている。
ミヤコワスレ



孤立の道

2013年06月25日 | インポート
Photo
 5月17日、国連の社会権規約委員会は、「主要な懸念事項および勧告26.」で、「委員会は、『慰安婦』が受けてきた搾取により、彼女たちによる経済的、社会的および文化的権利の享受ならびに彼女たちの賠償請求権に対する悪影響が永続していることを懸念する。(第11条第3項)委員会は、搾取の永続的影響に対応し、かつ『慰安婦』による経済的、社会的および文化的権利の享受を保障するため、締約国があらゆる必要な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、『慰安婦』にスティグマ(恥辱)を付与するヘイトスピーチその他の示威行動を防止するため、締約国が『慰安婦』の搾取について公衆を教育するよう勧告する。」との勧告を日本政府に行った。
 また、5月31日、国連の拷問禁止委員会は、「本委員会は締約国に対し、即時かつ効果的な立法的および行政的措置をとり、「慰安婦」の諸問題について被害者中心の解決策をとるよう強く求める。特に:e)本条約の下での締約国の責務に対するさらなる侵害がなされないよう予防する手段として、この問題について公衆を教育し、あらゆる歴史教科書にこれらの事件を含めること。」(抜粋)の勧告を日本政府に行った。
 あろうことか、日本政府は6月18日、「慰安婦」問題に関する国連拷問禁止委員会の勧告について、「法的拘束力はない」「従う義務なし」という答弁書を閣議で決定した。これは、「慰安婦」問題に限らず、人権条約機関からのあらゆる勧告に対して、「従う義務はない」とする暴挙で、国際社会から孤立の道だ。
ミツマタ


都議会議員選挙

2013年06月24日 | インポート

Photo
 都議会議員選挙は、東京教組の組織内候補、馬場裕子さんが落選するなど残念な結果に終わった。民主党の大勝と政権交代から4年、自民党と公明党の候補者全員が当選するなど、都民の民意が大きく振れることを痛感した選挙でもあった。
 女性都議は、改選前25人(20%)から24人に減ったが、127人の都議に占める割合は、わずか19%である。会派別にみると、自民8%から3%、公明13%→13%、共産63%→65%、民主19%→0%、みんな100%→57%、無所属50%→100%。ネット100%、維新0%、と変わらず。会派のばらつきが目立つのも選挙結果の特徴だ。
 ちなみに、東京都の職員は、女性の管理職の割合が都道府県でトップだ。しかし、副知事を含む局長級40人の中に女性は一人もいない。
 馬場裕子さんの落選で、品川の女性都議がいなくなったのも残念だが、議員や管理職としてもっと女性が活躍できる社会にしないと、安倍首相の女性手帳や育休延長のように「産めよ、増やせよ、育てろ」と女性を「産む機械」のような政策が大手を振るってしまうのではないか。


いじめ防止対策推進法に思う

2013年06月22日 | インポート

Dscf1211
 いじめ防止対策推進法が成立した。大津市のいじめによって自殺した中学生の父親は、「息子が命がけで作った法律」と語る。品川の事件の父親は、「本質は、教師の能力や気概」と語る。法律ができたからと言って「いじめ」がなくなるわけではない。学校の責務は、当事者として当然であるが、家庭や教員の責任や努力義務を課すだけではいじめを防止することはできない。文科大臣も会見で「子どもと向かい合える環境作りを進めたい」とのべているとおり、教職員のゆとりと教育環境の改善は急務である。
 ましてや、職員室でパワーハラスメントなど教職員のいじめがあっては、学校のいじめを防止することはできない。先日も、先輩教員に「朝は、6時半に出勤してお茶を入れておきなさい、ほかの先生が帰るまでは帰宅してはならない」などと理不尽ないじめを受けている若い教員の訴えがあった。教職員のパワハラ、セクハラについても相談窓口の整備が急がれる。
コクチナス
 


未来を占う選挙

2013年06月21日 | インポート

38
 6月23日投票の都議会議員選挙が目前に迫った。史上最低の投票率になるとの心配がマスコミをにぎわしている。争点がないともささやかれているが、医療・介護・子育て・教育・防災などに格差の拡大が押し寄せている。改憲・原発政策も大きな争点である。東京の民主主義を壊さないためにも、すべての教職員が投票に行くことを呼びかけたい。子どもたちにも、選挙の意義を話すべきだろう。

 都議選投票日は、沖縄の慰霊の日でもある。20日発表された自民党の公約には「普天間基地の辺野古移設の推進」が掲げられている。これ以上、沖縄を差別する基地負担は許されない。参議院選挙と連動する都議会議員選挙は、日本の未来を占う選挙でもある。

コオニユリ


自ら学び考え行動する力

2013年06月20日 | インポート

27
 昨日のブログで第3次教育ビジョンの基本理念にふれたが、各教育委員が取り組みたいことが、教育委員会の広報誌「とうきょうの教育」に掲載されている。
 教育委員長の木村孟さんは、基本的生活習慣を身に着けるための家庭の役割。
 内館牧子さんは、「学びの基礎」「規範意識」「家庭の教育力」。
 竹花豊さんは、大人社会の責任を果たし、子どもの目指すべき大人のモデルになる。
 新たに教育委員に就任した、
 乙武洋匡さんは、人権教育の推進。
 山口香さんは、子どもが「やりたいこと」を実現するためための助けになる教育。
を、それぞれ強調している。
 どれも大切な取り組みだが、各教育委員の考え方や人柄がよく表れている。
新教育委員の乙武さん、山口さんの切り口は、「自ら学び考え行動する力を培う」ためにも注目したい。
ウスユキソウ


東京都教育ビジョン

2013年06月19日 | インポート

32
第3次の東京都教育ビジョンが策定された。基本理念は、「社会全体で『知』『徳』『体』を育み、グローバル化の進展など変化の激しい時代における、自ら学び考え行動する力や社会の発展に主体的に貢献する力を培う」だが、教職員が「自ら学び考え教育を司る」環境から整えてほしいと思う。ある新採用教員は、「僕、セブンイレブンです。」と苦笑しながら「朝7時から夜11時まで働いて考える余裕もありません」と訴えていたが、先月、とうとう病気休暇になってしまった。過酷な長時間労働と教職員管理は何も改善されないままでは、ほど遠い東京の学校の現状を変えることが先決ではないか。ちなみに、ビジョンの主要施策12~19は、「教員の資質・能力を高める」「質の高い教育環境を整える」だが、教職員が自ら学び考える、ゆとりある学校環境づくりはない。子どもは、社会の鏡、大人の背中を見て育つ。教職員や大人たちがが「自ら学び考え行動する力」がないのに、子どもにだけそれを求めるのは理不尽ではないか。

ヤナギランマツムシソウ、ウスユキソウ)


国民をしばる改憲

2013年06月18日 | インポート

 6月6日木曜日、一橋大学名誉教授の山内敏弘さんをお迎えして、東京教組憲法学習会が開かれました。参議院選挙の争点に安倍内閣が「憲法改正」を打ち出していることもあり、7時の開会を待たずに会場は一杯になり、組合員の「憲法改正」に対する意識の高さを感じました。山内さんは安倍内閣が憲法改正でまず96条を取り上げているのは、世論が9条改正には反対論がまだ多いこと。96条の改正なら民主党の一部の議員も取り込め、みんなの党の支持も得られると踏んだからではないかと述べました。そして、改正が主権者である国民の意思を反映することになるという昨今の改憲論者の意見に対して、様々な諸外国の例から、必ずしも日本だけが3分の2の賛成というわけではないこと。天皇を元首化するなど国民主権を形骸化する改憲案を出しながら、国民の意思を尊重するような言い方をするとは国民を欺く28
議論であると明確にのべました。自民党憲法草案の問題点については日本国憲法の基本原理を形骸化する時代逆行的な改憲案であり、憲法が国家権力を縛ることにより国民の人権を保障するという立憲主義の基本をないがしろにするものだということで、いくつかの例をあげて説明しました。特に天皇の元首化や国旗国歌の尊重義務が、国民主権の章でなく天皇の章にあることは、まさにこの憲法の性格を明確にあらわしていると説明しました。そして、人権の大幅な制限と義務規定の導入は、「権利の章典」から「義務の章典」にしているとし、人権軽視の方向が著しいとしました。特に「公の秩序」のためにはというくだりが多く、社会秩序が人権に優先するという大きな問題があると指摘しました。1時間の講演では、本当に短すぎて、山内さんも全部は説明できず心残りのようでしたが、講演後も多くの質問があり、憲法の学習をしっかりふかめられた一日でした。とりあえずは、都議選、参議院選に何としても勝利し、「憲法改正」を踏みとどめましょう。
マツムシソウコバギボウシ


『愛国』?!

2013年06月13日 | インポート

Okinawa 写真は、「平和な空を取り戻そう、普天間基地即時閉鎖、辺野古やめろ、海兵隊は撤退を!東アジアの平和のために、『日米安保』はいりません。オスプレイNO!沖縄意見広告」だ。6月9日(日)の「毎日新聞」「東京新聞」「琉球新報」「沖縄タイムズ」に掲載されたものだ。
 
政府が「主権回復の日」の式典を開いた4月28日、沖縄ではそれに抗議する1万人集会が行われた。1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約発効で日本は主権を回復したが、沖縄は、アメリカの占領下に取り残された「屈辱の日」である。日本本土が平和を享受し、経済成長へ走り始めたとき、米軍統治下の沖縄では「銃剣とブルドーザー」で土地が奪われ、本土の米軍基地が次々と沖縄に移駐していった。
 式典で、安倍首相は「沖縄が経てきた辛苦に思いを寄せる努力をなすべきだ」と沖縄への一定の配慮を示した。しかし今でも広大な米軍基地が置かれ、日米合意を無視してオスプレイが市街地を飛ぶ沖縄の現状は、とても主権が回復されたとは言えない。
 オスプレイ配備反対集会が東京で行われたとき、「日本を取り戻すと言うが、その中に沖縄は含まれているのか」という問いかけがあった。日本の米軍基地がゼロになって初めて主権が回復したと言えるのではないか。沖縄にオスプレイを配備し、辺野古に新基地を建設しようとする首相の沖縄への配慮の言葉は何の意味もなさない。
 オスプレイ反対のデモをする沖縄県民を「非国民」呼ばわりする右翼や、日本国憲法を押し付けられた憲法だと改憲を主張しつつ、基地やTPPではアメリカの言いなりになっている安倍政権は、「愛国」ではなく「売国」である。


後悔、先に立たず

2013年06月12日 | インポート

Photo
朝日新聞から二つの対照的な記事を紹介する。

 安倍晋三首相の妻昭恵さんがNPO法人主催の講演で、安倍政権が推進する原発輸出について「私は原発反対なので非常に心が痛む」と語った。
 原発輸出を成長戦略の柱に位置づけ、次々とトップセールスでまとめていく夫の姿勢に、妻が疑問を投げかけた。
 地域活性化に取り組むNPO法人「ふるさとテレビ」が6日に国会内で開いたセミナーで語った。同法人のホームページに掲載された動画では、昭恵さんは「(原発は)日本の大事な技術だ」と前置きしたうえで、「原発に使っているお金の一部を新しいエネルギーの開発に使い、日本発のクリーンエネルギーを海外に売り込んだらもっといい」と提案。「私は家庭内野党。周りの人は嫌なことは(首相が)権力を持つとだんだん言えなくなってくる。少しは嫌なことも言ってあげたほうがいい」とも語った。
 首相は原発の輸出に向けて中東諸国やインドとの原子力協定交渉を加速。7日の日仏首脳会談では核燃料サイクルなどで協力することを確認している。

 もう一つ
 訪米中の民主党の菅直人元首相はサンディエゴで4日、インドやトルコ、ベトナムなどへの日本の原発輸出について、「私も3・11前は『原発は安全』と(考えて)導入をお願いしてきたが、今はそのことを恥じている」と語った。
(それぞれ朝日新聞6/10,6/5)

家庭内野党にも頑張ってほしい。「後悔、先に立たず」にならないように。
   (アマリリス


戦争してる場合じゃない

2013年06月11日 | インポート

Photo
 「暮らしの手帖」の編集者であった花森安治さんが、全共闘世代が世直しに夢中になっていたころ「国をまもるということ」(1969)という文章を書いた。

 「このへんで、ぼくら、もう頭を切りかえないと、とんでもない手おくれになってしまいそうなのだ。もう〈国をまもる〉なんてことは、ナンセンスなのだ。
 〈地球〉をまもらねばならないのだ。
 どっかの国が攻めてきたら、どうする。
 この祖国の山河をどうする。
 なんて、あいつは、ぶつくさ言っているようだが、それも言おうなら、この〈母なる地球〉をどうする、じゃないのか。
 まして、反戦だ戦争反対だ、と絶叫しながら、火炎ビンや爆弾で、戦争をやったつもりでいる、奇妙な細胞構造の生物よ。
 もう、そんな革命理論は19世紀のものだ。古い。通用しない。ナーンセンスだ。
 どうしても〈戦いたい〉のなら、ぼくらの空を青くするために戦え。
 ぼくらの川と湖と海を澄みとおらせるために戦え。
 地球をまもるために、戦え。
●責任はぼくらにある。
 じつをいうと、ぼくは、地球が崩壊するよりまえに、死ぬだろう。この目で、21世紀を見とどけることは、不可能なのだ。
 それだから、あいつのように、ずるい奴は、直接じぶんにどうってことはないとおもって、それで、あたまから、できない相談だ、などといって、逃げるのだ。
 しかし、ぼくより、ずっと若い人たち。
 おそらく、君たちは、世界中がこんなことをしていたら、地球といっしょに、亡んでゆくかもしれないのだ。その日に、立ち会わなければならないのだ。
 そういう目に、君たちを会わせる、その責任は、はっきりぼくらにある。それだから、この相談が、できない相談であろうと何であろうと、できる相談にしなければならないのだ。なんとしてでも、そうしなければならないのだ。」

今、戦争の準備に夢中になっている安倍・橋下・石原の各氏に、この言葉を贈りたい。
   (カサブランカ


日本とドイツ

2013年06月10日 | インポート

Img_20130609__2
 福島県白河市のアウシュビッツ平和博物館に、市民がつくった「原発災害情報センター」ができた。「原発事故を後世に語り継ぐ」「ヒロシマ、ナガサキそしてフクシマの真実を伝える情報提供」するために設立を呼びかけてオープンしたものだ。
 オープンの日、来賓の佐藤栄佐久前福島県知事は「アウシュビッツに学んだドイツは原発を止めたのに、なぜ、日本は事故後もトルコに原発を売り込むのか、ドイツから見ると理解できなかった」と指摘。脱原発を決めたドイツに学ぶべきとして、「(アウシュビッツを作ったヒトラーの情報統制の反省から)ドイツでは一つの情報に偏らないように、たとえば放送法は各州によって異なる」と日本の中央集権的な情報管理の問題点を挙げ、市民の立場から情報管理の問題点を挙げ、市民の立場から情報を発信しようとするこのセンターの門出にあいさつした。
 ドイツと日本は、戦争の反省をその後の歴史で生かす点で大きく違うことが「従軍慰安婦」「原発」「地方自治」などではっきりした。最後の砦は、憲法しか残っていない。
 佐藤前知事は、MOX導入に反対し原発の危険性に警鐘を鳴らし続けたが、汚職事件で失脚させられた知事である。地域住民のいのちを守るのは、中央政府でなく地方自治である。沖縄をはじめ地方自治をないがしろにする安倍政権に危機を感じる知事たちも多い。
(写真は、平和な空を取り戻そう、普天間基地即時閉鎖、辺野古やめろ、海兵隊は撤退を!東アジアの平和のために、「日米安保」はいりません。オスプレイNO!沖縄意見広告運動。掲載日:2013年6月9日(日)朝刊、「毎日新聞」「東京新聞」「琉球新報」「沖縄タイムズ」)<wbr></wbr>


再生か、破壊か!?

2013年06月07日 | インポート

2 政府の教育再生実行会議は自治体の首長が教育長を任命、罷免できるようにし、教育長に地方教育行政の権限と責任を集中して担わせることなどを柱にした教育委員会改革の提言をまとめた。かつての、東京の教科書採択、大量処分、品川で区長と教育長、マスコミの世論づくりによって教育委員会を無視した「学校選択制」の導入、大阪で教育条例を強行した事例を思い出す。
 教育委員会制度は、戦前の国家主義教育が、戦争への道を突き進む原動力の一つとなった反省から出発している。このため教育行政が政治に左右されないよう首長から独立させた。それでも、東京や大阪のようなことが起こる。
 今回の提言は、地方分権、民主化、安定性、中立性の確保とい現行の教育委員会制度を実質的に否定し、首長の思い着きで教育が左右される危険がある。
 むしろ、地域の教育施策に権限を持つ教育委員会が、非常勤が中心の委員が月1~2回会合を開くに程度で、実務を担っている事務局の追認機関にすぎないことの方が問題だ。
 文部科学省は教委制度の意義について「政治的中立性の確保」「継続性、安定性の確保」「地域住民の意向の反映」を掲げている。今回の提言は、文科省の意義ともかけ離れている。
 教育再生実行会議は今年1月、教育改革に強い意欲を示す安倍晋三首相の意向を受けて政府が設置した。参加する有識者は作家の曽野綾子さんや「新しい歴史教科書をつくる会」元会長の八木秀次高崎経済大教授ら保守色が強い、偏った編成になっている。
 提言ではこのほか、自治体に法令違反があった場合、国が是正を指示できるよう国の権限を強化することも盛り込まれた。明らかに、地方分権時代の教育の在り方に反するものである。
 提言を受けて具体的な制度づくりをするのは中央教育審議会である。偏らない、冷静な議論と、教育への政治介入の道を開く教育再生会議提言の教育破壊を避けることを求める。
   (東京駅のドーム)