東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

2022年度 年頭にあたって

2022年04月01日 | 日記

 今年の冬は、ここ数年の中では寒い日が多かったようです。それでも、だんだん暖かい日々が増え、新年度を迎えました。今年度の入学式もCOVID-19感染症対策を取りながらの式となったのではないでしょうか。

 昨年度も一昨年のような全国一斉の臨時休校こそありませんでしたが、COVID-19対策に追われた一年となりました。毎日の検温チェックや消毒作業に加え、地区・学校によっては、感染症対策として、オンライン授業に取り組まざるをえなくなり、その準備に時間を取られたところもあったのではないでしょうか。子どもたちにとっても、遊びが制限されたり行事が縮小されたり楽しみにしていることに対して規制がなされました。その結果、学校生活が息苦しいと感じた子どもたちも少なくないのではないでしょうか。

 その一方で、一年延期された東京オリンピック・パラリンピック2020大会は、多くの反対の声を押し切って開催が強行されました。学校連携観戦については、オリンピックについては全区市町村で中止が決定されましたが、パラリンピックについては4つの区市で観戦が強行されました。COVID-19の感染が拡大して、子どもたちの日常生活に規制が加えられ、さらに、一部の地区では休校や分散登校が行われている中での観戦強行は学校連携観戦が子どもたちのことを考えて取り組まれてきたのではないことを如実に表しています。

 2021年の小・中・高校生の自殺者は473人で、2020年よりも減少したものの、過去2番目の多さでした。自ら死を選ばざるを得なかった子どもたちの痛みや苦しみを思うといたたまれない気持ちになります。そして、やっとのことで自死することを踏みとどまっている子どもたちもたくさんいると思います。こうした子どもたちに対して、おとなは何ができるのか、真剣に考え、行動するべき時が来ています。さらにおとなの独りよがりではなく、子どもたちと一緒に考える必要があると思います。

 ロシアがウクライナを侵略しました。どのような理由があっても、武力で他国を侵略することは許されません。戦争で傷つくのは、子どもたちをはじめとした弱い立場の者です。即時停戦を求めましょう。また、これを機に憲法改正や核の共有に言及する人たちが現れました。全くもって許せないことです。

 教員の「働き方改革」に対して、世間の関心が向けられ、法的な整備も進められてきました。「在校等時間」の上限は月45時間、年間360時間と法的根拠のある指針として定められましたが、実態はどうでしょうか。上限に収まっていない方はまだまだ多いのではないでしょうか。確かに、かつてよりは年間の余剰時数を少なめにしている地区・学校、COVID-19感染拡大の影響と相まって行事の簡素化が行われた地区・学校も見られます。しかし、大幅な改善には至っていないのではないでしょうか。いくら時間外労働をしても残業代が出ない教員の仕事量を大幅に減らしていく必要があります。今後、小学校においては順次35人学級が進められていきます。これは、長い間、組合が要求してきたもので、喜ばしいことではありますが、教員の働き方を本当に改善していくためには、小学校においては専科教員増による持ち時間の削減、中学校においては部活動の負担軽減等の抜本的改善が不可欠です。これらの施策が行われてはじめて、教員の仕事量が勤務時間内に収まるようになるのだと思います。これでこそ、本当の意味の「働き方改革」です。

 子どもたちが楽しく学び、教職員が楽しく安心して働ける、そんな学校現場をめざしていきましょう。