東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

東京大学工学部原子力工学科の1期生

2013年04月30日 | インポート

Photo
 東京でオリンピックが開催された1964年、東京大学工学部原子力工学科の1期生が卒業した。同期生の一人、安斎育郎さんに、2011年4月15日に東京で同期会をやる案内がきた。安斎さんは、「3月末時点でなお見定めのつかない福島原発事故の実態に照らして『楽しく語らう気にはなれない』旨を伝え、会を延期するよう提案するとともに、『皆さん、事故収拾に知恵を貸して下さい』と訴えた。その理由は、『(皆さんは)保安院や政府に対しても私などよりずっと影響力があり、チャンネルもお持ちだろうと思うからです。私は政策批判の側に身を置いたので、所詮は犬の遠吠えのようなことしか出来ません。それはそれで続けるつもりですが、皆さんのお力でこの国の災厄を解決するために可能なチャンネルを活用して思うところをご提起いただきたく、不遜にも呼びかけた次第』と説明」した。
 やがて、原子力安全委員会委員長代理を務めた同期生から、原子力政策に関わってきた重要な人々16名の名において、3月30日付で政府に『福島原発事故についての緊急建言』を提出したことが伝えられた。原子力安全委員長、日本原子力学会会長、放射線影響研究所理事長などを経験した錚々たる面々である。その「建言」は、「原子力の平和利用を先頭だって進めて来た者として、今回の事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝いたします。」ではじまり、「特に懸念されることは、溶融炉心が時間とともに、圧力容器を溶かし、格納容器に移り、さらに格納容器の放射能の閉じ込め機能を破壊することや、圧力容器内で生成された大量の水素ガスの火災・爆発による格納容器の破壊などによる広範で深刻な放射能汚染の可能性を排除できないことである。」として、次のように結んでいる。「私達は、国を挙げた福島原発事故に対処する強力な体制を緊急に構築することを強く政府に求めるものである。」この16名の中には、現在、原子力規制委員会委員長の田中俊一さんも含まれてる。原子力推進の中心にいた人々には、少なくとも、この「建言」の精神だけは守ってほしい。
        (ヨモギ


「核の不使用」声明、日本は賛同せず

2013年04月26日 | インポート

Photo
 新聞・テレビの報道によると、ジュネーブで開催されているNPT=核拡散防止条約再検討会議のための準備委員会で、核の不使用をうたった共同声明が発表されましたが、驚くべきことに、唯一の被爆国である日本が、この声明に賛同しないことが明らかになった。
 共同声明は24日、南アフリカが提出したもので、「いかなる状況下でも核兵器が再び使用されないことが人類の共存のためになる」という当然の声明だ。70か国以上がこの声明に賛同したが、唯一の被爆国である日本は、賛同しなかった。
 日本に対し、スイスが賛同を求めましたが、日本は回答を留保する一方で、「いかなる状況下でも」の文言を削るよう求めたという、被爆国とは思えぬ対応。
 菅義偉官房長官は、「今回この部分が日本の安全保障の状況を考えたときにふさわしい表現かどうか、慎重に検討した結果、賛同することを見送った」と説明、未だに「核抑止力」にしがみつく核廃絶後進国ぶりを露わにした。
 政府の対応に対し、松井広島市長は、「核兵器は『絶対悪』であると訴え続けてきた広島とすれば、到底納得できるものではない」とのコメントを出し、長崎の被爆者団体は、 「(声明に)書いてある内容は至極もっともなことだけなんです。ちょっと理解できない、政府の対応というのは。本当に腹が立ちました」(長崎被災協 山田拓民事務局長)と述べた上で、日本政府の今後の動きについても懸念を示した。
(桜の盆栽)


はだしのゲン わたしの遺書

2013年04月25日 | インポート
0408 どこの学校の図書館にもある  「はだしのゲン」。子どもたちにも人気のある漫画であり、被爆体験をリアルに語り継ぐことのできる教材でもある。
 かつて中沢さんを教育研究集会でお呼びしたとき、リアルな被爆体験と共に核心に満ちた天皇制批判に驚き、共感した記憶がある。
 昨年12月19日に亡くなった翌日に発行された著書(はだしのゲン わたしの遺書、中沢啓治著、朝日学生出版)は、中沢さんに取材し構成したものだが、まさに遺書である。
 「はだしのゲン」は、教育評論で第2部が発表され続けていたことを憶えている。少年ジャンプ(第一部:被曝から妹の死までの「原爆編」)の連載がオイルショックで連載できなくなり、第二部(看板屋での修業を経て東京に旅立つ「戦後編」)は、「市民」で1年、「文化評論」で3年半、そして「教育評論」3年半、連載を続けて完結したことを初めて知った。そして、第三部は、被曝者として差別を受けたり、東京大空襲の孤児たちとであって仲間になったりして、戦争の実態に迫っていき、漫画家のアシスタントになって本格的に絵の勉強をするためフランスに旅立つ。原発のたくさんあるフランスで絵描き仲間と原発問題を考える。というストーリーを構想していたが09年から視力が衰えて断念したことも、この遺書により知った。まだまだ、「はだしのゲン」を続けたかった中沢さんの無念を想う。
 DVDになっている、山田典吾監督の実写版、真崎衛監督のアニメ版、紀伊国屋書店がつくったドキュメンタリーなどの映像も、優れた教材になる。岩波ブックレットでも簡潔に中沢さんのメッセージが書かれていて子どもたちに読んでほしい作品だ。是非、授業でとりあげてほしい。
 中沢さんは、頼まれた色紙に「人類にとって最高の宝は平和です」と書き、座右の銘は「一寸先は、闇」だったそうだ。このギャップが彼の人生そのものを語っている。
 ふまれても、ふまれても、たくましく芽を出す麦が、もう一つのテーマであった「はだしのゲン」を、私の遺書と中沢さん言う。伝えたいことのすべてを込めたと言い切り、これからも読みつがれていくことを願って、この遺書は終わっている。



安倍政権 教育政策NO 平和と人権の教育を!ネットワーク

2013年04月24日 | インポート
Photo安倍政権の教育政策と憲法改悪に反対する運動を広げるためのネットワークが設立される。
その呼びかけ文を紹介する。
 2006年、第一次安倍内閣は教育基本法を変えました。
 2013年、第二次安倍内閣は憲法を変えることを大きな目標にしています。
 既に安倍内閣は、日本が世界に向けて宣言してきた武器輸出三原則も非核三原則も反故にし、原発事故は今も多くの人を苦しめているのに原発の再稼働や輸出を進めようとしています。
 ここに人の生命や人権を守るという視点はありません。
 安倍首相は、史実を認めず、河野談話・村山談話さえも否定し、日本の歴史を書き換えたいということを堂々と主張しています。
 このままでは、日本国内では日本軍「慰安婦」も米軍機墜落事故も放射能汚染もなかったことにされてしまいます。
 安倍首相は、「強い日本を取り戻すためには、教育の再生が不可欠」と主張し、教育によって「国の型」をかえようとしています。
 安倍首相直属の教育再生実行会議は、教育委員会や教科書、学校の教育内容に直接国が介入・統制できるようにすることをめざしています。
 2月26日にいじめ問題の第一次提言を出しましたが、ここには、厳罰主義と上意下達を徹底すること、「道徳」を教科にして、国が決めた規範を子どもや教職員に押し付けることが盛り込まれています。
 学校現場を締め付けたり、競争をあおることでいじめや体罰や暴力をなくせるのでしょうか。
 提言には、上から言われたことには疑問を持たぬ人間、黙って滅私奉公する人間、すべては「自己責任」で済ませてしまう人間を育てる、という考え方が貫かれています。
 平和や人権はないがしろにして憲法改悪へ進むための教育を目指しているとも言えるでしょう。
 また、安倍内閣は軍事費や大企業減税のための予算は増額し、35人学級実現のための予算を削りました。
 一人ひとりに目が行き届く学校はまた遠のきました。
 子どもが大事にされる環境作りは先送りして、家庭に子どもの問題の責任をおわせることで何か解決するのでしょうか。
 主権は国民にあることをしっかりと自覚して、広い視野で物事を見、相手のいうことにも耳を傾け、歴史に学び、自分で考え判断できる人が育たなければ、日本は進むべき道を誤ることになるでしょう。
 山積する問題を武力で解決しようとする愚かな人を私たちは望みません。
 憲法を変え戦争のできる国をめざすのではなく、戦争をなくすにはどうしたらいいか真剣に考えられる人、世界の人々と対等に話合い、建設的な議論ができる人に次代を託したいのです。
そのためには、安倍政権のめざす「教育再生」すなわち、教育を「国のため」のものにし、戦前型の教育に維新=復古することを許してはいけません。
 私たちは、子どもを権利をもった人間として大切にする教育を求めています。
 安倍首相のやりたい放題を許していいのですか?
 教育を「国策」のための道具として使わせないためにも、不幸な歴史を繰り返さないためにも、「安倍教育政策NO・平和と人権の教育を!ネットワーク」を立ち上げることにいたしました。
 大きな連帯をつくりましょう。
 どうか皆さんも私たちともに声をあげ、行動してくださることを、心から呼びかけます。
◆日時 ⇒ 4月26日(金)午後6時(開場)6時30分(開演)
◆会場 ⇒ 文京区民センター3A会議室<都営三田線・大江戸線「春日駅 A2出口」徒歩2分、 丸ノ内線「後楽園駅4b出口」徒歩5分、南北線「 後楽園駅6番出口」徒歩5分 JR水道橋駅東口徒歩15分>
◆発言予定者:
・俵 義文さん (子どもと教科書全国ネット21事務局長)・上原公子さん(元国立市長)・中嶋哲彦さん(名古屋大学教授・元教育委員)・勝野正章さん(東京大学准教授)・小笠原彩子さん(弁護士)・安藤総彦(埼玉大学教授・元教育委員)・堀尾輝久さん(東京大学名誉教授)☆教育現場からの発言:教員/保護者
◆資料代:700円
■主催:安倍政権 教育政策NO 平和と人権の教育を!ネットワーク
連絡先⇒子どもと教科書全国ネット21(℡:03-3265-7606)許すな!憲法改悪・市民連絡会(℡:03-3221-4668)
◇呼びかけ人◇
青木 悦(教育ジャーナリスト)、有馬理恵(俳優)、安藤聡彦(埼玉大学教授・元国立教育委員)、池田香代子(翻訳家)、石井小夜子(弁護士)、井出孫六(作家)上原公子(元国立市長)、内田 樹(神戸女学院大学名誉教授)、宇都宮健児(前日弁連会長)、大田 堯(教育研究者)、岡本厚(前『世界』編集長)、小笠原彩子(弁護士)、勝野正章(東京大学准教授)、加藤彰彦(沖縄大学教員)、小森陽一(東京大学教授)、斎藤貴男(ジャーナリスト)、佐藤学(学習院大学教授)、里見実(教育研究者)、髙嶋伸欣(琉球大学名誉教授)、田代美江子(埼玉大学教授)、中嶋哲彦(名古屋大学教授)、堀尾輝久(東京大学名誉教授)、山本由美(和光大学教授)、(2013年3月29日現在)
      (オオシマザクラ


「立憲フォーラム」発足

2013年04月23日 | インポート

Photo 改憲手続きを定めた憲法96条を改正に反対する超党派の議員連盟「立憲フォーラム」が25日に設立総会を開くと報道された。(東京新聞4/18
 民主党の辻元清美、近藤昭一両衆院議員が発起人となり、社民党やみどりの風の議員も参加する予定。立憲主義の観点から、権力を縛る憲法を、権力側が変えやすくすることの問題点を訴えていく。
 自民党や維新の会は両院の過半数の賛成で発議できるよう憲法96条の改正を狙い、夏の参院選で争点に掲げようとしている、一方、与党の公明党は慎重姿勢を示している。すでに、自民党を中心とした超党派の「憲法96条改正を目指す議員連盟」や、民主、維新、みんな、などの野党有志による「96条研究会」が改憲を主張し、それぞれ活動している中で「立憲主義」をかかげる議員連盟が立ち上がることの意義は大きい。

立憲フォーラム設立趣旨書 (2013年4月16日決定)
 いま、時代は大きな転換期に入っており、新しい世界の協調・共生関係の構築が求められています。そうしたなかで、日本はどういう立ち位置をとるのかが問われています。
 私たちは「人権の保障を宣言し、権力分立を原理とする統治機構を定めた憲法」を基礎にすえた立憲主義の立場をいま一度確認すべきだと考えます。
 憲法とはそもそもどのようなものであるのか、戦後、現憲法がどのような役割を果たしてきたのか、はたして現憲法に追加されるべきことはあるのか、現在語られている96条を抜き出して憲法を「改正」するということの意味するものは何か、といったことを闊達に論議し、立法府の構成員たる議員としての責任を果たしたいと、ここに立憲フォーラムを立ち上げるものです。
 既に明らかにされた自民党の憲法改正案は天皇を元首とし、自衛隊を国防軍にするなど、戦後日本社会の規範・枠組みを根本から変える内容となっています。憲法は政府を縛るのではなく、国民を拘束するものだという考え方は根本的に主権在民という立憲主義の原則を否定するものです。
 日本維新の会は綱領で「日本を孤立と軽蔑の対象に貶め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改定」との立場を明らかにしています。
 これらの動きは、憲法改正の是非の立場をこえて、立憲主義そのものの危機であると考えます。
 また、安倍政権では、沖縄県民の意向を無視した普天間基地移設問題のさらなる強行姿勢、脱原発方針のなし崩し的な変更、中国や韓国などアジア近隣諸国の反発に加えてアメリカやオーストラリアなども危惧する河野談話否定の動きなどなど、民主主義の根幹をくつがえしかねない情勢です。
 私たちはこうしたさまざまな動向に平和・人権・環境を重視する立場から国会や言論の場で検証と同時に提言を行うために、立憲フォーラムに、是非多くの議員の皆さんの参加をお願いいたします。
立憲フォーラム呼びかけ人
 阿部知子、江崎孝、大河原雅子、近藤昭一、篠原孝、武内則男、辻元清美、 那谷屋正義、松野信夫、水岡俊一、吉川元、吉田忠智
    (ガジュマル


奨学金が高利ローンと化している

2013年04月22日 | インポート
1 昨年9月愛知県の二人の大学生が声を上げて「愛知県 学費と奨学金を考える会」を立ち上げた。教員にも奨学金の世話になった人は多いと思うが、一昔前と違って、今奨学金は 高利ローンと化し大学生の肩に重くのしかかっている。
 この会のアピールを是非読んで、その実態を知って欲しい。
 今の日本において,学費と奨学金の問題は見過ごすことのできない問題になっています.学費が高騰したため,奨学金を利用する学生は50%を超え,奨学金の返還総額は500万円を超える人もいます.
 また就職氷河期と言われているように,雇用は一向に安定せず,大学を卒業したからといっても就職することができない場合や,採用されても非正規であることも多く,たとえ正規で採用されても,賃金が上がらない社会になっています.
 そんな中で・・・
 「 学費が高いから進学することができない 」
 「 奨学金の返済が怖いから奨学金が借りられない 」 
 「 就職できないから奨学金が返還できない 」
 「 収入が少なく奨学金が返還できない 」
 という声を多く聞くようになりました.
 さらに奨学金を借りている学生は在学中,返還の義務がないため,借金をしているという危機意識を持ちにくいことも問題になっています.
 このように,行政,親,学生自身にとっても数多くの問題を孕んでおり,またそれらに気づいていない,周知されていない,ということがこの 「 学費と奨学金問題 」 の昨今なのです.
 経済格差が教育格差になってはなりません.
 返済が怖くて奨学金を借りられず,夢を諦めるという
 本末転倒なことが起きている現状は,大変重大な問題です.
 奨学金が「学を奨める」という使命を失っている今をわたしたち学生の,市民の力で変えていかねばなりません.
 そう考えた2人の大学生から,この活動は始まりました.
 “ だれもが学べる社会をめざして,学費と奨学金の問題を改善していこう ”
 2012年9月1日 愛知県 学費と奨学金を考える会 はスタートしました.

     (マンサク



頼朝のしゃれこうべ

2013年04月19日 | インポート

Photo 縁日で香具師が「さぁさぁ、お立合い、ここにあるのは源頼朝公のしゃれこうべ。さぁ、お立合い!」

客:「頼朝公ってのは頭が大きいんで有名だが、ずいぶんちいせぇじゃねぇか」
香具師:「はい、ご幼少のしゃれこうべでございます」

 この小話は、友引寄席(うめだ勝之、幻冬舎ルネッサンス新書)からの引用。
 うめださんは、三升家 う勝 (みますや うかつ)という噺家。落語と冠婚葬祭(特に葬礼)満載のこの小冊子は、かつて本人が葬儀社で働いていた経験をもとに書かれている。
 棺を納めた輿を、大勢の人が担ぎ、葬列を組む。つまり神輿を担ぐことだ。それを、室内に入れたのが葬儀の祭壇の起源。大乗仏教は、世の中を大きな乗り物(輿)として考える。命あるものは、そこに乗り合わせた共同体という考え方。だから「よろん」は、輿論であって世論ではない。世論は、「せろん」だ。
四苦八苦の四苦は、病・老・死・生、生きることが正に苦である。
など、なかなか示唆に富む話が多い。
その本にこんなエピソードが紹介されている。

 某大学教授が、「本を読まない奴は人間じゃない。ケダモノだ」と新聞紙上で言い放っていた。私の両親が本を読んでいるのを見た記憶がない。実際読まなかったのだと思う。二人ともすでに他界してしまったけれど、仮に健在でも、きっと息子の本すら読まなかっただろう。してみると私なんぞはケダモノの子ということになる。(中略)国の品格を心配する前に口の品格をお考え頂きたい。世の中には、本など読まなくたって真面目に実直に暮らしている人が大勢いらっしゃる。そしてそんな方々も、この社会を作り、守り、支え続けている一員であるのは論を俟たない。ああいった発言で幾多の尊厳を踏みつけるのが人間ならば、私はケダモノの子で満足だ。私の両親は、身贔屓を加えても教養があったとは言い難く、特に品行方正だったわけでもない。けれど、少なくとも弱者を貶めるような言動だけはしなかった。

 うめださんの、平気で差別発言をする品性のない学者に対する満腔の怒りが込められている。
           (ニシキウツギ


子どもの虐待と発達障害

2013年04月18日 | インポート
Photo
 あなたの学級に虐待されている子どもはいますか?
 虐待が発達障害(脳機能障害)を引き起こし、発達障害が虐待を誘発する。発達障害としての子どもの虐待の実態を、小児精神科医の杉山登志郎さんが、具体的な事例をもとに報告されている。「子ども虐待という第四の発達障害(杉山登志郎、学習研究社)」
 虐待は、世代間連鎖も考慮すべきで、杉山さんの親子の診療も有効であることがわかる。品川では、教育相談カウンセリングは、親子で行うのが原則だ。
 「反応性愛着障がい」という入り口を考えたとき「三つ子の魂百まで」が持つ意味の深さが、発達障害・虐待の予防を考える上で重要だ。
 また、解離という現象を示す子どもを多く見て来た経験からすると、小児精神科医の診療と家庭・学校を含む連携がいかに大切か痛感する。解離性同一性障害と複雑性PTSDが、子どもの虐待の終着駅だと杉山さんは表現しているが、学校現場の体験からもうなずける。
 杉山さんが指摘する、日本の社会・文化の変化と児童福祉の圧倒的な立ち後れが、社会の疲弊と低迷として顕著に現れている今の日本社会。その被害者として加虐・被虐、発達障害をとらえてもいいような現状である。児童相談所、児童養護施設も、その過酷な環境と職員の劣悪な労働環境の改善が喫緊の課題だ。
 児童憲章・2「すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもって育てられ、家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。」が達成されていないことを謝罪する杉山さんの態度に共感を覚える。
 少子化とペットの数の反比例と発達障害・虐待の増加に日本社会・文化の病弊を見て取ることができる。
    (ブラシノキ



政党に占拠された?!

2013年04月17日 | インポート
Photo_4「日本国民は、◯◯ に ◯◯ された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」言わずと知れた、憲法前文の冒頭である。◯にどのような文字が入るか、社会科のテストに出そうな問題であるが、正解は「正当」「選挙」である。
 しかし、司法の多くは、昨年12月の総選挙は、正当な選挙ではなく無効と断罪している。不正選挙の結果誕生した政権が憲法を勝手に変えようとしている。そうすると、◯の中に入ることばは、「日本国民は、政党占拠された国会」ということになる。こんな名答(迷答)が生徒からでないことを祈る。
    (セイヨウカラシナ


憲法は国家が守るもの

2013年04月16日 | インポート
Photo
 自民党の礒崎陽輔?参議院議員が「時々、憲法改正草案に対して、『立憲主義』を理解していないという意味不明の批判を頂きます。この言葉は、Wikipediaにも載っていますが、学生時代の憲法講義では聴いたことがありません。昔からある学説なのでしょうか。」とツイートした。
 国民の人権を守るために国家(統治者)を縛るための近代憲法の基本理念が「立憲主義」。その「立憲主義」を東大法学部出身の自民党議員が「聴いたことがありません」と言ってのけ、憲法学の常識に「昔からある学説なのでしょうか。」とつぶやいてしまう…驚きを通り越して唖然とする。
 しかも、彼は、自民党の憲法改正推進本部事務局次長・起草委員会事務局長だ。「国家が国民を支配するための道具としての憲法」にしようとする自民党の「憲法改正草案」を起草した者の「つぶやき」としても、せめて「立憲主義」ぐらいは知るべきだろう。
 小中学校の憲法学習が、いかに不十分だったかも思い知らされる、私たちの責任も重大だ。
 安倍政権が憲法をもてあそぶことは、飛行機に乗ったこともない人が操縦かんを握るようなもの。間違いなく乗客(国民)は、死にます!
(クワズイモ)


金によろめかない豊かさ

2013年04月15日 | インポート
Photo_2内田樹さん(思想家・武道家)と高橋源一郎さん(作家)、渋谷陽一さん(編集者)の鼎談に祝島に感動した話が出てくる。30年間原発を作らせない、養老院がいらない生活システムを持つ民主主義の島。その会話の一部を紹介する。
内田:基本は10億8000万円(漁業補償金)を供託したっていうことだよね。結局、日本の成長論者たちとかグローバリストの最大の難点っていうのはさ、すべての人間は金で動くって思ってるでしょ?金で動かないところに人間の個性があるんだけどね。
高橋:うん。おもしろかったのは、祝島では、30年前に町長が原発を認めてね、祝島の漁協のトップも認めたら、リコールしちゃったんだ、漁協のトップを。
渋谷:すごいね。本当に民主主義なんだね。
高橋:それ以降はまったく、「お金はいらない」ってことで通してる。
渋谷:うん。ただ、普通はさ、やっぱりお金はほしいから…。
内田:いやあ、ほしくないと思うよ。
渋谷:俺はほしいと思う、普通の人は。だから「ほしくないよね?それでいいよね?」って言っちゃうと、そこで負けると思う。
高橋:お金がいらないって条件があったと思うんだよね、祝島には。
渋谷:そうそう、そういうことだよね。
高橋:その条件がない、もともと、農業も漁業も弱いし産業もない、それこそ原発が来ないと暮らせないようなところだと…。
渋谷:となると、どうしても、金はすごいパワーを持ってしまうよね。
内田:だから、原発の立地条件って、貧しいところを狙い撃ちするわけだからね。そこでなんで祝島ががんばれるかっていうと、歴史がある、文化がある、こっちのほうが豊かなんだっていうプライドがあるからでしょ。ほかの地方では反対運動が維持できずに、祝島でできたっていうのは、たぶんその豊かさの違いだよね。
高橋:うん。つまり、お金とは別種の豊かさを持ってるから、お金の豊かさを持ってこられても、「それのどこがいいの?」って言える。
内田:そう。貧しいっていうのはさ、お金がないことじゃない。お金の前でよろめいてしまうのが貧しいっていうことだと思うよ。札束見せられても「それが何か?」って言える、それが豊かってことなんじゃないの?
 軽妙な会話の中に、「今必要なのは社会のOSの書き換え。」「記号ではなく人間の身体性。」など示唆に富む文明論が詰まっている。一読をお薦めする。
「どんどん沈む日本を それでも愛せますか?」(ロッキング・オン発行)
(ジンベイザメとコバンザメ)



夢に消えたジュリア

2013年04月12日 | インポート

Photo
 サザンの「夢に消えたジュリア」は桑田佳祐の作詞だが、「あたあジュリア」の伝説を意識したと本人も語っている。東京都の神津島では、5月の第3日曜日に「ジュリア祭」が盛大に行われる。
 おたあジュリアは、豊臣秀吉の朝鮮侵略で小西行長に連れてこられた朝鮮の女性。関ヶ原の闘いで小西が破れ処刑された後、徳川家康の大奥に仕えた。その後のキリシタン禁教令で、ジュリアも信仰を捨てるようせまられまるが、「神の教えを捨てるくらいなら死を選ぶ」と決意は揺るがず、島流しが決まり大島、新島をへて神津島へと流刑された。ジュリアは島の人々のために薬草の知識を活用したり、きびしい島の暮らしをともにして、島民や流刑囚を励ましたため、今でも島民に慕われている。家康は、朝鮮と和睦するため朝鮮通信使を迎え、秀吉の侵略で拉致された朝鮮人を帰還させましたが、数万人のうち7500人ほどしか帰国できなかったようです。おたあジュリアは、その後、大阪に行ったという文献も残されている。
北海道新聞小学生新聞のでも「おたあジュリア」を紹介している。教材としても参考になる。
       (オオアラセイトウ)


TPPが教職員共済を狙っている

2013年04月11日 | インポート

Photo
 9日のNHKの報道によると、TPPをめぐる日本とアメリカとの間の事前協議は、
①日本は保険分野で公正な競争の原則を守る。
②アメリカは自動車で当分の間関税の引き下げは見送る。
③食品の安全基準などは各国の主体性を尊重することを前提に引き続き協議を進める。
④日本の農産物の関税には一定の配慮をする
ことを改めて確認し、今週中に同意が得られる見通しだという。
 つまり、①アメリカの保険はどんどん日本に入れる、②アメリカの自動車には関税をかけて保護する、④日本の農産物の関税は「一定の配慮」で日本の農業が守られるか不透明ということだ。
 さて、保険だが、アメリカの狙いは、日本のかんぽと共済制度だ。
教職員共済は、生命保険、損害保険を扱っているが、非営利であるために、教職員の加入者に有利になっている。これがアフラックなどアメリカの保険会社の邪魔になると「公正」の名の下に、非営利、加入者有利の制度を攻撃できることになる。農協共済、生協、全労済などの保険も攻撃の対象になる。
私たちの先輩が営々と築いた教職員共済制度をTPPから守れるかどうか、これからが正念場だ。
   (ホトケノザ


ワッカ・ナイ

2013年04月10日 | インポート
Img_5084 千葉県の八街(やちまた)は、明治の初めに失業した武士の救済と食糧増産を図るために始めた北総開発で開墾されたところだ。
 明治2年、北総台地の西側の初富(はつとみ、鎌ヶ谷市)から始まり、二和(ふたわ、船橋市)、三咲(みさき、船橋市)、豊四季(とよしき、柏市)、五香(ごこう、松戸市)、六実(むつみ、松戸市)、七栄(ななえ、富里市)、八街(やちまた、八街市)、九美上(くみあげ、香取市)、十倉(とくら、富里市)と続く。つまり、開墾した順番に地名をつけた訳だ。それにしても、ただ数字を並べて北総1区、2区などとしなかったところがいい。開墾した地域の発展を祈り数字だけでない字をつけた人々の気持ちが伝わってくる。でも、十倉の後が十余一(とよいち、白井市)、十余二(とよふた、柏市)、十余三(とよみ、成田市・多古町)とつけたところは情けない。数値化、効率化への歴史の過渡期を思わせる。その十余三に成田空港がつくられた。
 地名には歴史や由来があるが、アイヌ民族の地名は自然と人々の営みによってつけられた。例えば、稚内は、「冷たい飲み水の沢」を意味する「ヤム・ワッカ・ナイ」。漢字の当て字で、その意味は失われてしまったが、地名で、そこに美味しくて冷たい水があることを共有していた。
 地名を無味乾燥な数字にしてしまっても、地元では昔の町名で町会を名乗っているところが多いのも頷ける。
 ところで東京教組書記局のある神保町は、旗本・神保長治の屋敷(三省堂のあたり)があったことに由来する。


モラルハラスメント

2013年04月09日 | インポート

6
 パワハラは、欧米では、モラルハラスメントといい、日本の「いじめ」に近い概念として、「精神的嫌がらせ」と訳される。
 フランスの労働法では、「いかなる労働者も、その権利と尊厳に損害をもたらし、その肉体的又は精神的健康を失わせ、または結果的にそうした悪化を招くようなモラル・ハラスメントを繰り返し受けることがあってはならない」と規定。こうした行為を「受けたり、受けることを拒否した理由として、またはそれについて証言・口外したことを理由として、制裁を受けたり、解雇されたり、報酬、訓練、再就職斡旋、配置、資格、等級分類、昇進、配置転換、契約の更新などにおいて、直接又は間接に差別的な措置を適用されることがあってはならない」とした(労働法典第122-49条)。基本理念は、職場でも健康と個人の尊厳は守られねばならない。それは、譲渡不可能な基本的人権であるという理念に基づく。
 フランスの法学者ロイック・ルルージュさんは、企業ににとって「労働者が健康で休まない方が利益になると、昨年から経営者要請のエリート校でモラハラ予防の重要性が教育され始めました。また、別の意味で中学でも教えるようになりました。子どものうちから、人権を尊重する労働条件を学び考えるのはとても良いことです。」と語っている。日本の学校でも、ぜひ実践すべきだろう。
東京教組の授業実践も役立つと思うので紹介する。
未来の私-よりかからない生き方を求めて-
       (キズイセン・黄水仙