東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

感謝と謝罪とお願い

2013年09月30日 | インポート

Photo 3年前にアメリカ大使館を退職したガレットさんから「感謝と謝罪とお願い」という手紙が広島の田中利幸さんに届いた。宛先は「親愛なる日本へ」と書かれており、田中さんはすべての日本人に宛てられたものとして公開している。
 ガレットさんの感謝は、「日本の美と強さ、静寂さと活力、創造力と伝統に敬服している者」として「教育と経験」「外交官としての経歴を歩ませてくれた」ことだ。
 謝罪は、米国大使館職員として日本に理不尽な要求をしたこと。例えば、クラスター弾や劣化ウラン兵器を使用している米国を支持するよう日本に要求する任務を遂行してしまったことだ。そして、お願いは、以下のとおりである。

 日本には、アメリカが日本に要求することを、<受け入れる前に>2度、3度と熟考していただきたい。アメリカの良き友達でいてもらい、できるだけ多くの私たちの軍隊を本国に送り返して下さい。私たちは今までのような軍隊をもはや支えきれないのです。私たちの国では貧困者はますます貧困になっており、教育制度は遅れるばかりで、社会的生産基盤は崩壊しつつあります。私たちと協力して働きたいと言って下さい。ただし、次のような条件つきで。今や急速に破壊されつつある地球の自然体系を維持再生させることに私たちが貪欲になることで、自己規制するかあるいは力を発揮する道を見いだすこと。私たちの友達でいたいし、これまでの歴史で最も偉大な闘いの同盟国であり続けたいと言って下さい。その闘いとは、人間性を守り、目下、急速に進んでいる気候変動の猛襲から地球を守る闘いのことです。しかし、妄想に向かって武力を振り回して崩壊していく帝国の誤った冒険主義に巻き込まれないように気をつけて下さい。アメリカ帝国に取り憑いている真の危険は、気候変動、環境崩壊や急速に拡大しつつある国民の間の不平等です。にもかかわらず、これらの問題が、基本的には、アメリカ自体の敵である軍産政治金融複合体制の祭壇の上で犠牲にされてきたのです。
深い尊敬と親愛、そして感謝を込めて。
ダニエル・H・ガレット
元・米国務省外務局政務官、2008年-2010年日本における米国大使館2等書記官
http://www.japanfocus.org/events/view/192より転載)

 ガレットさんのような外交官は、きっと今もアメリカ大使館にいるだろうし米軍の中にもいるかもしれない。かつて、日本国憲法24条を起草したベアテさんのように。日米だけでなく、世界の平和と人々の幸せを考える人々と手を結びたい。
サンザシの実


原発被災から子どもを守れ署名!

2013年09月27日 | インポート

Photo
 甲状腺ガン患者が次々と明らかになる中、西尾正道さん(北海道がんセンター名誉院長、「いわき放射能測定室たらちね」顧問)は、無料甲状腺検査に関する政府への要請書を提出した。その内容は、

①全国の医療機関で無料の検査を受ける権利を証明する【被曝検査健康手帳】(仮称)を配布すること
②全国の医療機関に対して本検査の診療報酬の扱いを統一すること
③甲状腺エコー検査では、画像データを本人または保護者に渡すこと
④被曝検査の画像を含めた資料は、今後50年間保存義務とすること
⑤放射線の人体影響を科学的・医学的に分析し解明する調査・研究体制を構築すること。ホールボディカウンターや尿検査によるガンマ線のそくていとともに、アルファ線やベータ線も計測できる体制を整備すること
⑥被曝線量が高かった人に関しては、本人の要請があれば染色体検査ができるようにすること
⑦当面の対策として、ウクライナの基準に準じた移住措置(5msv/年以上の地域は強制移住)を行うこと

 どれも、科学者・医師として当然の要請であるが、どれ一つ実現していない。チェルノブイリ以上の健康被害の危機が迫っているというのにマスコミも取り上げないのはなぜだろうか?

 昨年6月に成立した「子ども・被災者支援法」にもとづく「基本方針」は、1年2カ月経た8月30日にやっと「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的方針(案)」として示された。しかし内容は、放射線量による基準を定めることなく、支援地域を福島県浜通り・中通りの計33市町村に限定し、その他の周辺地域は準支援対象地域と格下げし、広範囲に見られるホットスポットなどは対象から外すなど、被災者の声を無視した極めて問題のあるものだ。
 東日本大震災で、今なお避難を強いられている人々は約30万人にのぼる。地震・津波の被害、原発事故の影響からの復旧・復興は、自治体の多忙、業者不足、資材不足、費用の高騰等によって見通しがたっていない。すべての被災者が抱える健康不安や生活不安、既に被っている被害の賠償請求権消滅への不安などを早期に解消することが必要なのは言うまでもない。
 東京教組は、「『原発事故子ども・支援者支援法』施策の早期具体化、及び、健康保障施策と生活保障施策の充実、損害賠償の時効不安解消の立法措置を求める請願」署名にとりくみはじめた。皆さんご協力を!
※署名送付先: 東京教組書記局
〒101-0003  東京都千代田区一ツ橋2-6-2 日本教育会館

署名用紙は、こちらからダウンロードできます。

メヒシバ


いのちの思想家・安藤昌益

2013年09月26日 | インポート

Photo 安藤昌益(1703-62)の研究者である石渡博明さんが、「いのちの思想家安藤昌益」(自然食通信社)を著した。昌益の全体像が概観できる最適な本だと思った。
 昌益の思想を原文で読む余裕も知識もないので、石渡さんに感謝である。
 日本の伝統文化とか和様などと、かまびすしいが、昌益に詳しい加藤周一さんが言うように、日本文化は「雑種的」であることは間違いなく、多文化共生文化こそ本来のあり方といっていい。ナショナル(ネイティブ)を純粋化するのではなく、歴史的過程で生み出してきたものを自らの文化として受け止め、その方向性、あり方として「思考」を重ねて行く姿勢が大切だと思う。
 その意味で、昌益の思想遍歴はまさに仏教(天竺)、儒教(唐)を乗り越え、神道の誤りを正しながら、日本の風土・地域に根ざした人々の生き方を探求している。そして今、明治以降の西欧文化・思想もふくめて超えていくべき対象だろう。
 自然とは、《ひと(自)りす(然)る》であり、。天と土(地)に直立する人が自由を得たと考える昌益は、直耕・直織(食・衣)が生きる基本だとする。
 昌益の著した「統道真伝」の「同じからざる故に吾れ有り…若し不同を嫌ひ全同を好み、全同を知らず不同を好む則は、真に非ず、皆、失(あやまり)なり」は、金子みすずの「みんな違ってみんないい」に通じると石渡さんはいう。
 昌益は、シャクシャインの戦い(1669年)を「夷人、私の罪に非ず」と評価したり、オランダがスペインから独立して共和国を築いた(1648年)ことを「万国中に勝れし清国(せいこく)」と喝破する国際派でもあった。
 契(かな)う論(門下・同人の会議)では、地域分権・自立更正・自然との共生を求め、すべてのものが直耕する世の中を目指すものであった。まさにESD(持続可能な開発のための教育)に最適な思想といえる。
 秋田(大館)が生んだ偉大な思想家、安藤昌益は、もっと評価されていい。大館市は、小林多喜二が生まれ、花岡平和記念館(中国人強制連行の資料館)もある一度訪れたい街だ。
 
ヤマブドウ


没後15年、黒澤明監督のメッセージ

2013年09月25日 | インポート
Photo 20日の報道ステーションで「没後15年、黒澤明監督のメッセージ」が放映された。90年公開の黒澤明監督の『夢』は監督自身が見た夢を映画化したものだ。その中に『赤富士』という作品に原発が爆発し、逃げ惑う人々の姿が描かれている。黒澤監督の長男・久雄さん(67)は、父親の中で、原発や原子力問題は大きな位置を占めていたという。『夢』の製作に携わったスタッフや関係者が、今年で没後15年になる黒澤監督の原子力に対する考えを語った。 さらに、今回、埋もれていた黒澤監督直筆のノートを発見。そこには、黒澤監督の率直な思いが綴られていた。この映像は、YouTubeでみることができる。(http://www.youtube.com/watch?v=1BtNWZ9Q-20)
 黒澤監督の直筆ノート(1985~86年)には、こう綴られていた。
人間は間違いばかり起しているのに、
これだけは絶対間違いは起さないなんて
どうして云えるだろう。
それも、もし間違ったらおしまいだと云うのに、
どうしてそんな事が云えるんだろう。
高い木に登って、自分のまたがってる木の枝を
一生懸命切っている阿呆に似ているね。
猿は火を使わない。
火は自分達の手に負えない事を知ってるからだ。
ところが、人間は核を使い出した。
それが、自分達の手に負えないとは考えないらしい。
火山の爆発が手に負えないのわかっているのに
原子力発電所の爆発ならなんとかなると思ってるのは
どうかと思うね。
「原発は安全だ」
「危険なのは操作のミスで
原発そのものに危険はない」
「絶対ミスは犯さないから問題はない」
ってぬかした奴等許せない。
原子力発電が安全だなんて云っていた奴等は、
今、どうしてやがるんだろう。
そいつ等の顔が見たいね、全く!

 黒沢監督の夢が悲惨な現実になった今、それでも原発は安全とぬかす奴等の顔を私たちは目の当たりに見ることができる。

 もう一つ必見の番組を紹介する。
ETV特集「海の放射能に立ち向かった日本人~ビキニ事件と俊鶻丸(しゅんこつまる)~」
9月28日(土) 23:00~24:00
(再放送10/4(金)深夜24:45~25:45)
1954年3月1日、
 アメリカが太平洋ビキニ環礁で行った水爆実験で、日本のマグロはえ縄漁船・第五福竜丸が被ばくした。
 被害は水産物にも及び、日本各地の港では放射性物質に汚染されたマグロが相次いで水揚げされた。
 しかし、核実験を行ったアメリカは、放射性物質は海水で薄まるためすぐに無害になる、と主張した。
(帯広・400mベンチにのるエゾリス)


紙芝居プレゼンテーション(KP法)

2013年09月24日 | インポート
Photo 電子黒板やパワーポイントがIT教育として活用されているが、とても新鮮な紙芝居プレゼンテーションに出会い、授業でも是非使ってみたいと、その可能性を感じた。電子黒板やパワーポイントと違って、手作り感があり、紙芝居を操作しながら話す親近感がいい。
 実践しているのはキープ協会の川嶋直さん。内容は、ESDコーディネーターに必要な基本的なノウハウとなる4つチカラ(コミュニケーション・コーディネーション・ファシリテーション・ディレンクション)の解説だ。
興味のある方は、その動画をご覧になって、是非、授業にも活用してみてほしい。
-0.イントロダクション
-1.コミュニケーション
-2.コーディネーション
-3.ファシリテーション
-4.ディレクション
 ちなみに、ESDとは、国連が持続可能な開発のための教育の10年(2005~14年)と位置づけたとりくみだ。
 Education for Sustainable Developmentの頭文字をとって「ESD」。2002年のヨハネスブルグサミット(持続可能な開発に関する世界首脳会議)で、日本の市民と政府が共同提案し、第57回国連総会で実施が決議された。
 その推進機関であるユネスコは、「ESDの10年国際実施計画案」(第59回国連総会04年)を発表し、持続可能な開発の実現を人類が協力して追い求める中で、教育・学習が中心的な役割を果たすということについて、幅広い理解を得ることを呼びかけている。そのための、ネットワークと交流の推進、学習や啓発活動、指導と学習の質を向上、戦略を策定なども各国政府に要請している。
 これまでの大量生産・大量消費を中心に据えた「開発」は、ごみや公害により環境を悪化させ、地球資源の乱用により自然界の秩序を乱すばかりか、地域社会の荒廃を招き、さらには他の地域の貧困化を推し進めるなど、持続不可能な国際社会を産み出してしまった。
 これを克服するために、社会的公正の実現や自然環境との共生を重視した「持続可能な開発」の実現が人類の緊急の課題になっている。です。 「持続可能な開発」は、民主的で誰もが参加できる社会制度と、社会や環境への影響を考慮した経済制度を保障し、個々の文化の独自性を尊重しながら、人権の擁護、平和の構築、異文化理解の推進、健康の増進、自然資源の維持、災害の防止、貧困の軽減、企業責任の促進などを通じて、公正で豊かな未来を創るとりくみといえる。
ウド
 


校長名の公表問題について

2013年09月21日 | 受験・学校

今年度の学力テスト(学力学習状況調査)の実施についての文科省の通知文には、「調査結果の活用」として、次のように書かれている。

ア 各教育委員会,学校等においては,多面的な分析を行い,自らの教育及び教育施策の成果と課題を把握・検証し,保護者や地域住民の理解と協力のもとに適切に連携を図りながら,教育及び教育施策の改善に取り組むこと。
イ 各学校においては,調査結果を踏まえ,各児童生徒の全般的な学習状況の改善等に努めるとともに,自らの教育指導等の改善に向けて取り組むこと。
ウ 各教育委員会においては,調査結果を踏まえ,それぞれの役割と責任に応じて,学校における取組等に対して必要な支援等を行うなど,域内の教育及び教育施策の改善に向けた取組を進めること。
エ 文部科学省においては,児童生徒の学力や学習状況をきめ細かく把握・分析することにより,教育及び教育施策の成果と課題を検証し,その改善に取り組むこと。また,各教育委員会,学校等における取組に対して必要な支援等を行うなど,教育及び教育施策の改善に向けた全国的な取組を進めること。

さらに、「結果の公表について配慮すべきこと」として
調査結果については,本調査の目的を達成するため,自らの教育及び教育施策の改善,各児童生徒の全般的な学習状況の改善等につなげることが重要であることに留意し,適切に取り扱うものとする。その際,本調査により測定できるのは学力の特定の一部分であること,学校における教育活動の一側面に過ぎないことなどを踏まえるとともに,序列化や過度な競争につながらないよう十分配慮する。

これを読む限りにおいて、静岡県の川勝知事が「小学校国語Aの成績が全国平均以上だった県内小学校の校長86名の名前を公表した」ことは、通知からの逸脱ではないか?報道によれば、川勝知事は、ペナルティとして平均以下の学校の校長名を公表したかったと伝えられる。妥協の産物としての「平均以上の校長名の公表」となったのだろうが、「事前の連絡もなく、教育関係者からは、困惑の声が上がっている」と記事は書いている。

そもそも、「調査結果の活用」に自治体は入っていない。各教委と学校、文科省になっている。自治体は学校の設置者として「教育条件整備」をするのが、本来の役割のはずである。教育委員会が、分析をした後でそのとりくみへの支援をするべきであろう。

文科省もこの調査と学力の関係について「本調査により測定できるのは学力の特定の一部分であること」と書いているのだ。今回の知事の対応には、問題があるといわざるを得ないし、行政の長としては少なくともルールにのっとった冷静な判断が求められるはずである。公教育は、パフォーマンスをひけらかす場であってはならないと思うのだが。


とうとう「口元監視」まで

2013年09月20日 | 受験・学校

昨日(9月19日)の東京新聞朝刊に、次のような記事が出ていた。

大阪府教育委員会が、前府立学校に対し、教職員が入学式や卒業式で実際に国歌斉唱しているかを教頭ら管理職が目視して確認し、校長が府教委に報告するよう求める通知を出していたことが、18日分かった。

なんともはや、である。
この国は、「人権を尊重する」ということが、刻々と失われている、同時に憲法が本当に危ういのだと思う。
記事は、書いている。「府立高校時代に教職員の口の動きをチェックして論議を呼んだ中原徹教育長の意向を踏まえた。」
教育長も公務員であるはずだから、「拳法尊重擁護義務」もあるはずだ。しかし、そんなことは全く関係がないようだ。さらに、教育委員会制度は「合議制」で、「合議」によって物事が決定されることになってる。だれも異論を唱えなかったのだろうか?
ここからは推測だが、結局のところ、教育長の意向を踏まえた事務局が通知を出し、教育委員会では「通知を出しました」ということが報告・承認される、ということなのではないか。

この通知が、何をもたらすか?一番の被害者は、生徒たちであることは間違いない。また、こうしたことがまかり通るならば、次に「口元監視」をされるのは、誰になるのだろう。


今日という日は

2013年09月18日 | 国際・政治

 今日9月18日は何の日だと聞かれて、「え?」と答えに詰まる人は、もはや少なくないのではなかろうか。かくいう私もすっかり忘れていたが、今をさかのぼること81年前の今日、1931年9月18日に、「柳条湖事件」がおきていたのだ。
 高校生の頃には、「柳条溝事件」と習ったような記憶があるが定かではない。この名前についてもいわくがあるらしいが、それはともかく、柳条湖事件である。
 時は1931年9月18日、ところは現在の中国東北部(旧満州)の奉天(現在の瀋陽市)近くの柳条湖付近で、南満州鉄道(満鉄)の線路が爆破されたのである。(といっても、爆発はとても小規模なものだったという。)当時満州に駐留していた「関東軍」は、爆破を中国軍の犯行としたが、実際には、関東軍の自作自演であった。これを口実に、関東軍は、奉天、長春、安東、鳳凰城などで軍事行動を開始し、満鉄沿線の都市を占領した。翌1932年には日本の傀儡政権である「満州国」を発足させている。つまり9月18日は、いわゆる「満州事変」の始まりであり、1945年の破滅の道へのスタートでもあったわけである。
 この時、当時のマスメディア(新聞とラジオ)は、号外や臨時ニュースとしてこの事件を伝えた。恐ろしいのは、当時の市民が、この関東軍の行動を熱狂的に支持したということだ。もちろん、自作自演の謀略だったことは、露ほども知らされることはなかったが、「満州を占領せよ」「なめられたらあかん」「大いに膺懲(成敗してこらすこと)すべきだ」などの意見が、紙面を飾ったらしい。勇ましい言説による熱狂は、冷静な議論や判断を奪っていたのだろう。関東軍の自作自演は、やがて自縄自縛の泥沼へ変わることになる。
 政府が「集団的自衛権」の行使を容認しようかという現在、80余年前の出来事をふりかえり歴史に向き合うことが、私たちに求められていることはまちがいない。
 


「育休復帰応援セミナー」を開催

2013年09月17日 | インポート

Img_2099 東京教組では、昨年に引き続き「育休復帰応援セミナー」を開催した。育休から職場に復帰する方たちがたくさん参加された。参加者からは、「3年間育休をとり,職場の状況もわからないままの復帰になりそうだったので,経験者からのお話はとても参考になりました。」「復帰後は不安がいっぱいで、仕事と育児をいかに効率よくと思っていますが、そのためには制度を上手に使わせてもらおうと思っています。今日はすごく制度の使い方のイメージがつきました。」など、職場復帰に対する不安がとても大きかったことが語られましたが、「権利の事など分からない事がたくさんあったのでとても勉強になりました。復帰できるかなぁ…と不安な毎日でしたが、応援してくださる諸先輩や同じ不安を持つ方がいる事がわかり、<きっと復帰できる!!>という気持ちに変わってきました。」「不安に対し対処するべきことがわかり復帰に向け前進する指針となった」など、セミナーの参加によって仕事と子育てを両立する気持ちを持っていただけたようだ。

さて、作家で安倍政権の教育再生実行会議のメンバーの一人でもある曽野綾子氏が「週刊現代」(8月31日号)に寄稿した内容が、波紋を広げている。「何でも会社のせいにする甘ったれた女子社員たちへ~私の違和感」という曽野氏の寄稿は、「マタハラとかセクハラとか、汚い表現ですね」、「彼女たちは会社に産休制度を要求なさる。しかし、あれは会社にしてみれば、本当に迷惑千万な制度だと思いますよ」と、労働基準法65条に明記された産休制度を否定するかのような主張を展開しているからだ。

曽野氏は、「本来赤ちゃんは母親が、収入を減らしてでも家で育てるもの」と持論を主張し、「子どもができたら、共働きをしないと生活が苦しくなってしまう、という心配は出てくるでしょうね。この考え方が、私とは少し違うんです」「私たちが若くして子育てをしたころは、みんな貧乏暮らしをするものでした」「本来、子どもができたら自分勝手なことに使えるお金が減るのは当然なんです」と書く。また、「経済の単位である会社には、男も女もない」とし、赤ちゃんが発熱したのを理由に、母親社員が早退するのを毎度快く送り出せる会社ばかりではないと指摘する。 そのうえで、「女性は赤ちゃんが生まれたら、いったん退職してもらう。そして、何年か子育てをし、子どもが大きくなったら、また再就職できる道を確保すればいいんです。(中略)会社に迷惑をかけてまで、なぜ女性は会社を辞めたがらないのでしょうか」という。

まさに開いた口がふさがらないとはこのことだ。育休復帰応援セミナーを終え、別室で待つお子さんの笑顔に迎えられ、働き続ける勇気を持った明るい表情で帰る参加者の姿のなんと清々しいことか。


東電さえ「真意を照会」する安倍首相の説明

2013年09月13日 | インポート

アルゼンチン・ブエノスアイレスで行われた国際オリンピック委員会(IOC)総会の五輪招致プレゼンテーションで、福島第1原発の汚染水問題をめぐり、安倍首相が、「状況はコントロールされている」「汚染水による影響は、福島第一原発の港湾内の0.3平方キロメートル範囲内で完全にブロックされている」と説明したことについて、「違和感」を覚えた国民は少なくないだろう。さらに、唖然とし、あきれた方も多かったのではないか。

9日に開かれた東京電力の記者会見でも、報道陣から首相発言を裏付けるデータを求める質問が相次いだが、担当者は「一日も早く(状況を)安定させたい」と応じた上で、政府に真意を照会したことを明らかにするなど、認識の違いを見せている。1日約400トンの地下水が壊れた原子炉建屋に流れ込むことで汚染水は増え続けている。地上タンクからは約300トンの高濃度汚染水が漏れ、一部は、海に直接つながる排水溝を経由して港湾外に流出した可能性がある。東京電力まかせで充分な対策をとってこなかった政府、コストカットで不十分な対策しかしてこなかった東京電力。トラブルが相次ぐなかで、いったい何をさして「状況はコントロールされている」と言えたのか。経済産業省幹部でさえ「何をコントロールというかは難しいが、技術的に『完全にブロック』とは言えないのは確かだ」と言っている。

1月の全国教研集会全体会で記念講演をされた内田樹さんのblogに「9月3日のNature のEditorialに福島原発からの汚染水漏洩への日本政府および東電の対応について、つよい不信感を表明する編集委員からのコメントが掲載された。」と科学雑誌「ネイチャー」の記事が紹介されている。日本政府の行動の遅さと、情報公開のおそまつさを指摘する厳しい内容だ。記事は「Nuclear error」と題され、「日本はもっと世界に助けを求めるべきだ」という副題がついている。福島第一原発事故の事故は東京電力の手に負えないほどのものとした上で、政府が先頭に立って対応するということを決めた時期が遅すぎると非難している。また、漏れた汚染水の放射線量が、最初に報道されていた状況よりも18倍も高かったことや、報道が遅れたこと、監視体制の甘さなどを挙げ、情報に精通した海外の専門家に助けを求めるべきと助言している。内田さんは、「自然科学のジャーナルが一国の政府の政策についてここまできびしい言葉を連ねるのは例外的なことである。東電と安倍政府がどれほど国際社会から信頼されていないか、私たちは知らされていない。」といっている。

R0013438_2  その前日の9月2日、日本外国特派員協会で記者会見を持った原子力規制委員会の田中俊一委員長が「福島第一原発は現在も不安定な状況にある。事故は収束した段階ではない。今後ともさまざまなことが起こりうる状態」と「収束宣言」を否定した上で、「汚染水の放出もやむなし」とする持論を繰り返した際、元スイス大使の村田光平氏が「電力会社と一国家だけでは解決できないことを世界に知らせるべきだ。総理直轄下に事故対策本部と国際タスクフォースを設置するべきだ」と迫っている。ネイチャーや村田光平氏の指摘を受けるまでもなく、一刻も早く日本だけでは解決できないことを世界に訴えるべきだろう。記者会見終了後、村田元大使は次のように語ったという。「世界が(汚染水問題に)どんどん目覚めている。こんな時にオリンピックをやったら、日本の恥だ。(事故処理は)国際協力なしにやってゆけない。(問題は)これからさらに表面化してくる。その際の国際世論は凄いものになる」。


「1人の子ども、1人の教師、1冊の本、1本のペンでも世界を変えられる」

2013年09月12日 | インポート

「ペンは剣よりも強し」という言葉がある。ブルワー・リットンの戯曲『リシュリュー』にある「The pen is mightier than the sword.」の訳と言われる。一般的には「文章で表現される思想は世論を動かし、武力以上に強い力を発揮する」と解されている。

一人の少女が、このことを力強く訴え続けている。女性が教育を受ける権利を訴え、昨年、パキスタンでイスラム過激派に銃撃されて頭に大けがをした16歳の少女、マララ・ユスフザイさんの国連での演説は、多くの人々に感銘を与えた。抜粋して紹介しよう。

?「2012年10月9日、タリバンは私の額の左側を銃で撃ちました。私の友人も撃たれました。彼らは銃弾で私たちを黙らせようと考えたのです。でも失敗しました。私たちが沈黙したそのとき、数えきれないほどの声が上がったのです。テロリストたちは私たちの目的を変更させ、志を阻止しようと考えたのでしょう。しかし、私の人生で変わったものは何一つありません。次のものを除いて、です。私の中で弱さ、恐怖、絶望が死にました。強さ、力、そして勇気が生まれたのです。私はこれまでと変わらず「マララ」のままです。そして、私の志もまったく変わりません。私の希望も、夢もまったく変わっていないのです。」
「<ペンは剣よりも強し>ということわざがあります。これは真実です。過激派は本とペンを恐れます。教育の力が彼らを恐れさせます。彼らは女性を恐れています。女性の声の力が彼らを恐れさせるのです。」R0013432_3
「親愛なる少年少女のみなさん、私たちは今もなお何百万人もの人たちが貧困、不当な扱い、そして無学に苦しめられていることを忘れてはいけません。何百万人もの子どもたちが学校に行っていないことを忘れてはいけません。少女たち、少年たちが明るい、平和な未を手に取り、ペンを握りましょう。それが私たちにとってもっとも強力な武器なのです。1人の子ども、1人の教師、1冊の本、そして1本のペン、それで世界を変えられます。教育こそがただ一つの解決策です。」

日教組は、「国際連帯カンパ」で「アフガニスタン初等教育改善事業」(シャンティ国際ボランティア会SVA)、「アフガニスタン難民教育支援」(特定非営利活動法人国連UNHCR協会)、「インド児童労働撤廃プロジェクト」(特定非営利活動法人ACE)など、子どもたちの教育を受ける権利を支援しています。
 


年金・退職金削減に消費税のトリプルパンチ

2013年09月11日 | インポート
Photo 定年退職をひかえた教職員にとって退職金の削減や年金切り下げは、退職後の生活設計を左右する重大な関心事だ。
 年金は、今年の10月から3年間で2.5%切り下げる法律が、昨年11月成立した。今年10月に1%引き下げで年間約3万6000円減。2015年の4月には、2.5%引き下げで年間約9万1000円減になる。退職金も2015年は、今より130万円以上減額になる。
 消費税が導入されるとデフレ脱却(=物価高)との合わせ技で高齢者の生活を直撃する。
 しかも、今年度の退職者から年金支給年齢が61歳になるため働かなければ1年間は無収入になってしまう。
 超過勤務が一般企業の2倍にもなる過重労働、このままでは燃え尽きてしまうと退職を心待ちにしている教職員も1年間は働かなければ食べていけない。
 来年度の再任用についての募集は始まるが、東京都はフルタイムだけにすると主張し、短時間勤務や非常勤教員の制度を存続するかどうかまだ明らかにしていない。組合は、再任用の短時間勤務や非常勤教員制度の存続と待遇の改善を要求して交渉中である。
 退職を予定している皆さんも、東京都と組合との交渉は眼が離せない。
セイバンンモロコシ


美輪明宏さんのいじめ論

2013年09月10日 | インポート
Photo
前回、紹介した「子ども応援便り」の美輪明宏さんのインタビュー記事。
紅白で「ヨイトマケの歌」を歌った時、「いじめっ子の醜さ」も伝えたくて、思いっきりいじわるで嫌らしい表情をしてみせました。と語る美輪さんは、
実際に、いじめっ子は劣等感の塊です。それを隠そうとしておとなしい子をいじめる傾向があります。いじめる行為は、世界中に「私は人をねたみ、そねみ、ひがむ、醜い心の持ち主です」と宣言しているのと同じなのです。教職員や保護者は、それをことあるごとに伝え、子どもたちがいじめの現場で、「あなた最低の人間ね」と言えるようにするのです。

と語り、上から目線の「ねばならぬ」になりがちな「道徳」より「想像力」を育む芸術系の時間をもっと増やすことが必要だと思うと力説する。
 いじめの温床は、相手の痛みがわからない想像力の欠如から生まれるとともに、子ども同士、子どもと教職員の信頼関係の欠如もその原因であると思う。いじめられていることを言い出せない子どもたちは、いじめに気づかない教職員に信頼を寄せていない。教職員の想像力も問われている。いじめに気づき、正面からいじめと向き合うことを美輪さんは訴えている。
ハギ



子ども応援便り

2013年09月09日 | インポート

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 日教組も加入している子どもたちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会(PTA、教育委員会、教職員組合など23団体で構成)が「子ども応援便り」というタブロイド判の新聞を発行している。

 最新号は、剛力彩芽さんのインタビュー記事「何事もやってみなければわからない、気になったらまずはチャレンジ」。
 そして、見開きの特集は、誌上座談会「経済格差が生む教育格差の現状」で「約75%の保護者が経済格差が子どもの学力格差に影響していると回答」(社会応援ネットワーク調べ)、「貧困するひとり親世帯。母子家庭の約5割は非正規職、平均収入は181万円!」(厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」他)、「日本の教育支出の私費負担の割合は、31.9%。OECD各国平均の約2倍!(OECD)」の資料をもとに東京の定時制高校教諭、大阪の小学校教諭、教育ライターの朝比奈なをさんが対談している。
 教育の機会均等を実現するために、経済格差が教育格差につながらないよう国も社会もバックアップするべきだと、それぞれの立場で力説している。

 巻末は、美輪明宏さんへのインタビュー記事。イジメの問題についても熱く語っているが、次のブログにまわす。
 この「子ども応援便り」も近日中に各学校に届く、是非一度目を通して欲しい。


最高裁判所の解釈改憲

2013年09月06日 | インポート

Saikousaibansyo01
 9月5日、「君が代」不起立で処分された10人の最高裁判決があった。
 金築裁判長から「主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人らの負担とする」の一言で、5人の裁判官は退廷。ものの1分で終わった。
 判決文も身もふたもないもので、
「1.上告理由のうち憲法19条違反を言う部分について」と題し、
「原審の適法に確定した事実関係の下において、本件職務命令が憲法19条に違反するものでないことは、当裁判所大法廷判決の趣旨に徴して明らかというべきである。」
「2.その余の上告理由について」と題し、
「論旨は、違憲及び理由の不備をいうが、その実質は事実誤認若しくは単なる法令違反をいうもの又はその前提を欠くものであって」
「よって、裁判官全員一致の意見で、主文の通り判決する。」
たったこれだけ。補足意見も反対意見もなかった。
 判決後の記者会見で吉峯弁護士は、
「起立斉唱行為が思想及び良心の自由の間接的な制約となることを認めつつ、思想及び良心の問題を『必要性及び合理性』という緩い基準で、しかも何の説明もせずに用い、判断することは憲法学会ではありえないこと。厳格な基準を用いることが通説だ。司法が政府に追随するがゆえに、結論先にありきの判決なのだ。」と批判した。
 今、自民党は「日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。」とする憲法草案を提案している。
 しかし、1999年「国旗国歌法」が成立した当時、小渕首相は、「国旗の掲揚等に関し、義務付けを行うことは考えておりません」と答弁。有馬文部大臣も「教員に対しても無理やりに口をこじあける、これは許されないと思います」と強制しないことを明言している。
 国旗・国歌法の制定時に官房長官を務めていた野中広務は「起立せなんだら処罰するなんてやり方は権力者のおごり。教職員を処分してまで従わせようというのは、国旗・国歌法の制定に尽力した者として残念です」と述べている(2011/6/28朝日新聞)。
 最高裁の判決は、憲法19条(思想・良心の自由)をなし崩す解釈改憲判決だと言ったら言い過ぎだろうか。