東日本大震災から3年が経過したが、学校再建など復興は未だ十分進んでいない。特に、東電福島第1原発事故による避難生活は長期化を余儀なくされ、子どもの健康被害への危惧も大きい。被災地の子どもの健康を守り、就学支援や教育条件整備など教育の機会均等を保障する「教育復興支援」のとりくみを継続する必要がある。
2013年7月の参院選で過半数を獲得し、衆参のねじれがなくなった安倍政権は、特定秘密保護法を強行採決し、靖国参拝をするなど国家主義的体質を明らかにした。そして、第1次安倍政権で改悪した06教育基本法を具現化するために、次々と教育内容・制度に対し政治的介入を行っている。
高校授業料無償化制度への所得制限導入、全国学力・学習状況調査の学校別成績の公表解禁、教科書検定基準の「改正」、道徳の「特別な教科」への格上げ、教育委員会制度を見直し首長の権限を強化する地教行法「改正」案の閣議決定、義務教育で使用する教科書の無償措置に関する法律の「改正」などが矢継ぎ早に行われた。来年度から使用される小学校社会科教科書において、竹島・尖閣諸島が日本固有の領土であると記述した教科書が急増したのは、政権の意向の先取りに他ならない。
教育の機会均等と中立性を損ない、子どもの序列化と競争を招く教育改悪に対しては、憲法と子どもの権利条約を対置し、現場の主体性と創造性を生かした子どもの ゆたかな学びにつながる教育活動をすすめることが重要である。組合が中心となった学習会や教研活動は大きな意味を持つ。
現場では、教職員の多忙化、超過勤務の常態化、健康不安が解消されない。学習指導要領完全実施による授業時数の増加に加えて、土曜授業の実施、長期休業の短縮や補習授業の強制、事務処理のパソコン化など教職員の負担はますます大きくなっている。管理職等によるパワハラも後を絶たず、精神疾患の原因の一つとなっている。高齢期雇用制度については、年金支給開始までの再任用原則全員採用が認められたが、そのためには、学校の労働安全衛生体制が整備され、定年後も安心して働き続けられる職場を作らなければならない。
私たちは本日ここに集い、真摯な討論の上、今年度の運動方針を確立した。「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンのもと、「戦争のできる国づくり」を許さず、平和と民主主義を守り、安心して働き続けられる職場を作っていこう。そのためには、共に力を合わせていく仲間が必要だ。私たち東京教組は全力で組織を拡大し、多くの仲間と連帯して共に運動を進めていこう。
以上宣言する。
2014年5月17日
東京都公立学校教職員組合 第38回定期大会
(アセビ)
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