ゆっくりと山登り

登山、写真、その他日々のことなど

徳本峠と上高地・焼岳 2013年7月 焼岳編

2013-07-21 17:27:03 | 北アルプス

2013年7月14日

三日目:

 

4時に起床、朝ご飯はカップヌードルであるが、

昨日キャンプ場の売店で購入しておいた生玉子一個を投入。

ほんのちょっぴり贅沢な気分。

 

テントの外に出ると、まだ薄暗い。空には雲がべったり。

雨具と飲み物、行動食、カメラをサブザックに入れて出発。

梓川沿いの道は早朝とあって人影もなく、

川の流れの音だけが続いている。

前方の焼岳はやはり雲をすっぽりかぶったままである。

 

・・・と同じ小梨平の方向から来た単独の男性一人、

抜きつ抜かれつで進んでいくと、西穂の登り口も過ぎてどうやら同じ目的地と推察。

声をかけようかと思っていたら、先方から先に

「焼岳ですよね~」と話しかけられた。

なかなかの健脚でいらっしゃるようで、すいすいと登山口のほうへ進むのを見送る。

 

 

林道を離れ、うっそうとした森の中をはじめは緩やかに、次第に傾斜がついていく山道を進む。

途中沢を横切るところで、さっきの単独さんが朝食中であった。

あいさつを交わして先に進む。

 

 

昨日の雨で、森の中はしっとりとしている。

予報通り、午前中は曇り空であるが雨にはなっていない。。

何とか山頂に着くまでは降らずにいてほしい。

 

 

道は次第に険しさを増す。

ところどころ梯子がかかる道をぐいぐい登っていくと

背後に岩壁を控えた灌木の道になる。

 

 

迫力のある岩の壁

ルートはあの先を巻いていくはずであるが・・・とよく見ると。

 

梯子が見えた。

 

この梯子の取り付きあたりは背後の展望が良いので一服。

上高地のU字谷が良く見える。

今日は霞沢岳もぎりぎり雲の底のあたり。

 

大正池も小さく見えている。

 

羊羹をかじっていると後ろから鈴の音、誰かが登ってきた。

先ほどの単独さん(以下、Aさんと呼ぶ)とは違う方(以下、Bさんと呼ぶ)でした。

ほどなくAさんも追いついてきた。

足の速そうなお二人に先に登っていただく。

写真はBさん

 

 この梯子の上の鎖場を二つほど通過すると

笹原の広がる中尾峠の鞍部が見えてきた。

開放的な気持ちの良い斜面、青空の元ならもっと気分が良いだろうに・・・

 

 

ここをひと登りすると焼岳小屋の前へ

こちらも徳本峠と同様、今どきの北アルプスの多くの山小屋と違って

小さく素朴な感じの小屋である。

 

 

 

早めに登ってきたためか、まだ小屋の前ものんびりした雰囲気。

ここでAさんBさんと合流。

この先は森林限界の上、

風があるしまだ雨は降っていないけれどいつ降ってきてもおかしくない様子なので雨具を着用。

Bさんなにやら足元を気にされているようだが、

どうやらビブラムソールがはがれてしまったらしい。

「しばらく靴を仕舞い込んだままだったんでね~」

ウレタンが加水分解してしまったようです。

それでもソールをザックの脇にくくりつけると

元気よく登って行かれました。

 

 

ここから小さなピークを越えていく

 

足元にウスユキソウ

 

 

こちらは後方、樹林の先は西穂高につながる稜線です。

 

 

展望台の小さなピークの向こうは、オトギリソウの群落がきれい。

 

近くの岩からはすでに暖かい蒸気が噴き出している。

 

ここから山頂までは真っ白なガスに囲まれて20~30m先は見えない世界。

 

 

溶岩ドームのごつごつした急斜面を標高差400mあまり、

ひたすら足を前に運ぶ。

 

やがて中の湯への分岐を分けると山頂はすぐそこ。

 

いよいよ硫化水素のにおいが濃く、

道端には噴出した硫黄が黄色く付着している。

 

山頂に到着、健脚のAさんBさんは先着してザックを下ろしていました。

お互いに写真を取り合ったりしてしばし休憩。

 

 

残念ながら展望は全くありません。

怪異な岩のシルエットが見えるだけ

 

 

チョコバーを口にしている間に体が風で冷えたので、

早々に下ることにします。

 

 

下っていくと、とうとう雨がぱらついてきました。

この後続々と登ってくる人とすれ違います。

悪天とはいえ、さすがに三連休の百名山です。

 

斜面の途中、サーっと雲が晴れてきました。

焼岳の荒々しい斜面が初めて見渡せます。

 

 

 

はるか下方に上高地の谷も見えてきました。

ちらっとでもこの風景を見ることができて良かった。

 

 

再び焼岳小屋の前に出ましたが、先ほどののんびりした感じとは打って変わって

あとから来た人が雨宿りをしていて小屋の前はぎっしり。

先を歩いていたBさん、とうとうもう片方のソールもはがれてしまいました。

これからの濡れた岩場と、ぬかるんだ斜面が心配です。

再び笹原の斜面を下っていく。

 

 

先ほどの梯子を超えて岩壁の横へ。

まだまだ登ってくる人がいて、梯子は渋滞していました。

 

Aさん、Bさんとしばらく一緒に進んでいましたが、

Bさんはソールがないとは思えないほど身軽に下ってゆきます。

 

Aさんはゆっくり行きますということで途中でお別れし、

Bさんと登山口まで一緒に下りました。

 

 

登山口戻ったのが10時半、このころは雨もやんでいました。

Bさんは沢渡に車を置いてきたということで、ここでお別れ。

私ものんびり小梨平に戻ります。

ここまでは人がいるといっても知れていましたが

さすがに田代の橋を超えると、一大観光地らしい大賑わい。

なんだか異次元に迷い込んだような・・・

 

小梨平に戻るとテントもほとんど乾いていました。

テントを撤収していると、Aさんも戻ってきました。

キャンプ場の風呂に入って食堂でお昼ごはん。

Aさんは山賊焼定食、私はカツカレー

もちろんその前に生ビールで乾杯。

カツカレーが出てくるのにちょっと時間がかかったけれど、、

とんかつが揚げたてのサクサクで、なかなか美味かった。

ここでAさんともお別れ、

ザックを背負ってバスターミナルに向かう。

河童橋のあたりからは、焼岳が見えていた。

 

 

今年は梅雨明けが早かったので、三連休には期待していたけれど、

残念な天候になってしまった。

それでも徳本峠の落ち着いた雰囲気、上高地の清流、初めて登った焼岳、

まずまず良い山旅ができたように思います。

 

おしまい

 

 

 

 

 


徳本峠と上高地・焼岳 2013年7月 上高地散策編

2013-07-20 14:22:36 | 北アルプス

2013年7月13日

二日目:

 

霞沢岳往復ということで前日は早めに寝たけれど、

強風にテントがしなる音で時折目が覚める。

未明には雨も降りだした。

せっかくの霞沢岳、こんな中を歩いても楽しくないなあと思うと

急激に気持ちがしぼんでしまい、

山頂往復はまたの機会とすることにした。

 

今日は一日上高地を散策するか、

ということでテントをたたみ昨日の道を引き返す。

 

峠の道はよく整備されているけれど

一か所沢を渡るところは、土が削られて歩きにくい。

橋が折れ曲がっているのもちょっと気持ち悪い。

 

 

サクサクとおりて今度は小梨平にベースを構えた。

 

 

時折強い風に気がゆれているけれど、峠よりは穏やかです。

 

昨日よりも雲は低く、明神岳も頭を隠している。

 

サブザックを背負って出発。

梓川の左岸をとおり明神橋から嘉門次小屋、明神池へ→右岸を通って河童橋を渡り田代橋、田代池へ→

再び右岸を河童橋まで戻るコースです。

 

ゆっくりと上高地の森を味わいながら歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明神館の前まで来ました。

さすがに今日は登山者も観光客も多い。

皆さん雨の中を槍へ穂高へと進んでいきます。

ここから奥宮参道へ。

 

 

明神橋

ここで再び雨脚が速くなる。

 

 

ということで嘉門次小屋で一服することに

 

 

まあ、今日は急ぐ旅ではなし、のんびり過ごすつもりです。

 

 

同席した4人組のご婦人方は、富山からいらしたとのこと。

乗鞍に行くつもりが、やはり天気が悪く上高地に方向転換したそうです。

しばし歓談ののちに腰を上げる。 

 

小屋の前の川に網をはって生簀にし、

ここでとったイワナを小屋の囲炉裏で焼いています。

 

ウェストンをはじめ、北アルプスの開拓者たちを先導した名案内人

嘉門次のレリーフ

 

さて、小屋を出て奥宮へ

明神池に入るには参拝料¥300です。

 

 

浅い池を除くと、尺サイズのイワナが悠々と泳いでいました。

ここにいる限りは釣られることもないでしょうから、のんびりしたもんです。

 

 

二ノ池へ

 

 

明神池を離れて今度は梓川の下流方向へ。

 

 

 

途中サルの群れが道端で毛づくろいなどしていた。

 

 

それにしても水の流れの爽やかなことよ。

 

 

 

湿原に出ました。

ここから見上げる六百山、堂々とそびえています。

奥の霞沢岳はやっぱり雲の中のようです。

 

 

 

河童橋から田代橋への道端にはモミジカラマツが群生していました。

 

 

田代橋から森の中の木道を辿り田代池の湿原へ

この辺りは観光客も多く、木道のすれ違いが大変。

湿原ではワタスゲがゆれていました。

 

 

 

再び田代橋を渡りウェストンの碑へ

 

 

ここに来るのも1987年の穂高-槍縦走以来です。

ずいぶんご無沙汰しておりました。

 

 

 

再び喧噪の河童橋を超えて小梨平に帰ってきました。

 

 

ここのキャンプ場の食堂で

 

 

ここのキャンプ場の管理センターには

食堂、売店、お風呂など完備しています。

売店には、飲み物や加工食品はもちろん、肉、野菜、卵、納豆!まで売っている。

生活用品もいろいろそろっていて、お金さえあればしばらく滞在しても困らないかんじ。

 

雨もやんだようで梓川のほとりに出てみる。

岳沢の向こうの穂高の峰はずっと雲の中。

 

ガッツリ山に登るのもいいけれど、こうして一日のんびりするのもまた良し。

(歳ですかね・・・

 

明日の予報は午前中は曇り。

小梨平から焼岳往復の予定。明日こそ頂上に立つぞ!

 

つづく

 


徳本峠と上高地・焼岳 2013年7月 徳本峠編

2013-07-20 14:14:40 | 北アルプス

2013年7月12日

今回は霞沢岳に、焼岳、

どちらも北アルプス南部の山の中では登り残していて、機会をうかがっていた山です。

カミさんとの連休の自動車争奪戦に敗れたため、今回は電車です。

「どうせ下山してからビールが飲みたくなるんだからちょうどいいじゃない」という言葉に

反論できない・・・

当初は島々谷からの徳本峠越えを考えていたんですが、

今回は安直な上高地からのアプローチに切り替えました。

 

ということで12日の朝のスーパーあずさに乗って、松本からバスに乗り換え上高地へ。

お約束の河童橋と穂高

 

まだ連休前日ということでそれほどでもありませんでしたが、

明日からは混雑するんだろうな~。

 

それにしても西穂はかろうじて見えていますが奥穂の向こうは雲の中。

梅雨明け後にあれだけ天気が良かったのに、三連休にかけて下り坂とは・・・

 

それでも青空の六百山を見上げ、明神への道を進む。

 

川の流れが気持ち良い。

そういえば夏の上高地は何年振りだろう。

ブログを始めてから、2月と5月の連休は来ているんだけれど

盛夏の上高地は本当に久しぶりだと気が付いた。

 

 

てくてく歩いて間もなく明神へ

 

 

 

上流には長壁山から蝶ヶ岳への尾根がのびている。

 

 

後方は西穂高

 

 

上空の雲の流れは速い。夕立が来るかもしれない。

その前に峠に着くといいな。

 

 

この季節、上高地の花は少ないけれど、モミジカラマツはあちこちに

線香花火のような花を咲かせていた。

 

 

峠道の分岐です。

 

ここからしばらくは、車も通れる(もちろん一般車は入ってこれませんが)幅広い道が続く。

 

 

 

センジュガンピ

 

標高1600mぐらい、ここいらのサンカヨウは実になっていました。

 

 

 

木の橋を渡ると細い山道になります。

 

それでもよく整備された道は歩きやすい。

少しずつ斜度を上げながら峠に近づいていく。

 

 

 

 

谷間深くに入り最後の水場。

峠のそばには水は無いようなので、ここで水を3L補給。

 

 

だいぶ高度を上げてきました。

 

 

主稜線の縦走路と合流。

峠はもう間近です。

 

・・・到着。

峠の小屋はこじんまりとしたたたずまい。

 

 

さっそく小屋の前にテントを設営。

 

 

小屋の前でまったりと食事。

今回、カップヌードルライスを導入。箱はかさばるので、ビニール袋に入れ替えてきたけど、

コッヘルでも簡単に作れるし、なかなかイケる。

 

 

しばし風景を眺めながらウィスキーなどちびちびやっていると

小屋から出てきたおばさんに、コンサートがあるから

ぜひ来てくださいと声をかけられた。

 

ランプのともる小屋、新しい木の感触もさっぱりとしていい感じです。

 

 

やがて宿泊客が集まってビオラダガンバの演奏が始まった。

曲目はいろいろあって、どれも山小屋の雰囲気になじんで良い気分になれたけれど

自分の好きなバッハの無伴奏チェロ1番のプレリュードが流れた時はちょっとジーンときた。

山の中で触れる古楽器の音色に、宿泊客一同じっくり聞き入る

望外の良いひと時でした。

 

 

夕日を拝みに外に出てみたけれど、やっぱり雲が多い。

どうやら明日は雨になりそうだ・・・

 

 

続く

 


徳本峠と上高地・焼岳 2013年7月 速報

2013-07-15 20:21:32 | 北アルプス

2013年7月12日~14日

梅雨明け後の晴天も息切れして不安定な天候の連休となりました。

北アルプスの二つの山を狙って出かけましたが、一勝一敗

一勝は焼岳、一敗は霞沢岳

12日に徳本峠まで上がって天泊したのだけれど

翌日の風雨に気持ちが萎えて、その日は上高地に降りて観光。

14日も良いコンディションではなかったけれど、

ガスと雨の中、焼岳には登ってきました。

 

 

焼岳の下り斜面、

しばし雲が途切れて・・・

 

 

焼岳の登りの途中から霞沢岳

またいつか登りに行こう

 

 

上高地、梓川の清流には癒されます。

 

 

 

田代池

 

 

明神池から明神岳を望む

 

 

今週も昼夜忙しいので本編はいつになることやら・・・

 


雁ヶ腹摺山・姥子山 2013年7月

2013-07-08 22:35:38 | 奥多摩・奥秩父・その周辺

2013年7月7日

七夕の日は猛暑となりました。

久々の山登り、富士山が見える山に行こうと思っていましたので、

前回、天気が悪くてまったく展望のなかった雁ヶ腹摺山・姥子山に行くことにしました。

 

 

午後早い時間に戻りたい用事があったので、4時半に家を出て中央高速へ

正面に見える山々を見れば、奥多摩、丹沢は姿が見えるものの富士山は雲の中。

この時はまだ先行きが心配でした。

小金沢林道を走るころには青空が広がってましたが、風もあって時折雲が流れてきます。

大峠には車が3台ほど先着してました。

 

 

森の道を歩き始めます。

 

 

 

 

 

 

尾根の南側に回り込んだあたりで日が差してきました。

 

 

明るい広葉樹の森に日が差すとコントラストが強いまだら模様の世界

 

 

そういえばもう7月、新緑も超えて緑もすっかり濃くなっています。

 

 

南側の尾根を登っていく途中で、景色が開けました!

 

 

滝子山から三つ峠、御坂山塊のあたりはまだ雲をかぶっていますが、

この様子ならいずれ晴れていくでしょう。

 

城壁のような岩が見えると、山頂は近い

 

森を抜けて頂上直下の草原に出ました。

 

 

まぶしい日差しの中、後方を振り返れば富士山

いい感じに風景に溶け込んでいます。

 

 

山頂に到着

案の定、ここまで誰にも会うことなく

山頂も独り占め

 

 

ようやくここからの富士山を見ることができました。

 

 

 

さてここから姥子山へは山登りならぬ山下りです。

森の中を標高差300mあまり

途中岩がごろごろしたところもあれば、

 

ゆったりとした尾根道もあり

 

尾根を横切る林道に出たところでシモツケ

緑色ばかりだったので、ピンク色が一層鮮やかに感じられる。

 

林道を超えて小さなピークを超えると、最後は岩稜になり姥子だけの山頂に出ました。

看板の向こうは雁ヶ腹摺山

 

北側こそ木にさえぎられていますが、

西側から南、東に広がる風景は、本峰の雁ヶ腹摺山をしのぐほどの解放感です。

 

 

 

丹沢から道志、奥多摩南部の山々

 

しかしさすがに暑い!

強い日差しに照りつけられ、水分をたっぷり補給して、

元来た道を引き返す。

 

登りですが木陰なのと比較的風が通るので

何とかしのげます。

 

再び雁ヶ腹摺山へ

青い空に白い雲、緑濃い森と草原の向こうに蒼い富士山

絵にかいたような風景に満足

 

まだ十時ですが、朝が早かったのでここでお食事

まずはこれ!

 

 

・・・でいつものカップめん

 

 

富士山を見ながら麺をすすっていると

ザックの上に来訪者あり

 

再び草原を下ってゆきます。

 

 

下りの尾根から黒岳

 

 

大峠に帰ってきました。

 

 

 

秀麗富嶽十二景と言いながらピークの数は19あります。

1番 雁ヶ腹摺山 姥子山
2番 牛奥ノ雁ヶ腹摺山 小金沢山
3番 大蔵高丸 ハマイバ丸 
4番 滝子山 笹子雁ヶ腹摺山
5番 奈良倉山
6番 扇山
7番 百蔵山
8番 岩殿山 お伊勢山
9番 高畑山 倉岳山
10番 九鬼山
11番 高川山
12番 本社ヶ丸 清八山
 
 
 まだ登ったことのないのは5番の奈良倉山と8番のお伊勢山、9番の九鬼山ですが
6番扇山と9番高畑山、倉岳山は富士山の写真が残っていない。
 
今年の秋~冬にでも撮りに行こう。