2013年7月14日
三日目:
4時に起床、朝ご飯はカップヌードルであるが、
昨日キャンプ場の売店で購入しておいた生玉子一個を投入。
ほんのちょっぴり贅沢な気分。
テントの外に出ると、まだ薄暗い。空には雲がべったり。
雨具と飲み物、行動食、カメラをサブザックに入れて出発。
梓川沿いの道は早朝とあって人影もなく、
川の流れの音だけが続いている。
前方の焼岳はやはり雲をすっぽりかぶったままである。
・・・と同じ小梨平の方向から来た単独の男性一人、
抜きつ抜かれつで進んでいくと、西穂の登り口も過ぎてどうやら同じ目的地と推察。
声をかけようかと思っていたら、先方から先に
「焼岳ですよね~」と話しかけられた。
なかなかの健脚でいらっしゃるようで、すいすいと登山口のほうへ進むのを見送る。
林道を離れ、うっそうとした森の中をはじめは緩やかに、次第に傾斜がついていく山道を進む。
途中沢を横切るところで、さっきの単独さんが朝食中であった。
あいさつを交わして先に進む。
昨日の雨で、森の中はしっとりとしている。
予報通り、午前中は曇り空であるが雨にはなっていない。。
何とか山頂に着くまでは降らずにいてほしい。
道は次第に険しさを増す。
ところどころ梯子がかかる道をぐいぐい登っていくと
背後に岩壁を控えた灌木の道になる。
迫力のある岩の壁
ルートはあの先を巻いていくはずであるが・・・とよく見ると。
梯子が見えた。
この梯子の取り付きあたりは背後の展望が良いので一服。
上高地のU字谷が良く見える。
今日は霞沢岳もぎりぎり雲の底のあたり。
大正池も小さく見えている。
羊羹をかじっていると後ろから鈴の音、誰かが登ってきた。
先ほどの単独さん(以下、Aさんと呼ぶ)とは違う方(以下、Bさんと呼ぶ)でした。
ほどなくAさんも追いついてきた。
足の速そうなお二人に先に登っていただく。
写真はBさん
この梯子の上の鎖場を二つほど通過すると
笹原の広がる中尾峠の鞍部が見えてきた。
開放的な気持ちの良い斜面、青空の元ならもっと気分が良いだろうに・・・
ここをひと登りすると焼岳小屋の前へ
こちらも徳本峠と同様、今どきの北アルプスの多くの山小屋と違って
小さく素朴な感じの小屋である。
早めに登ってきたためか、まだ小屋の前ものんびりした雰囲気。
ここでAさんBさんと合流。
この先は森林限界の上、
風があるしまだ雨は降っていないけれどいつ降ってきてもおかしくない様子なので雨具を着用。
Bさんなにやら足元を気にされているようだが、
どうやらビブラムソールがはがれてしまったらしい。
「しばらく靴を仕舞い込んだままだったんでね~」
ウレタンが加水分解してしまったようです。
それでもソールをザックの脇にくくりつけると
元気よく登って行かれました。
ここから小さなピークを越えていく
足元にウスユキソウ
こちらは後方、樹林の先は西穂高につながる稜線です。
展望台の小さなピークの向こうは、オトギリソウの群落がきれい。
近くの岩からはすでに暖かい蒸気が噴き出している。
ここから山頂までは真っ白なガスに囲まれて20~30m先は見えない世界。
溶岩ドームのごつごつした急斜面を標高差400mあまり、
ひたすら足を前に運ぶ。
やがて中の湯への分岐を分けると山頂はすぐそこ。
いよいよ硫化水素のにおいが濃く、
道端には噴出した硫黄が黄色く付着している。
山頂に到着、健脚のAさんBさんは先着してザックを下ろしていました。
お互いに写真を取り合ったりしてしばし休憩。
残念ながら展望は全くありません。
怪異な岩のシルエットが見えるだけ
チョコバーを口にしている間に体が風で冷えたので、
早々に下ることにします。
下っていくと、とうとう雨がぱらついてきました。
この後続々と登ってくる人とすれ違います。
悪天とはいえ、さすがに三連休の百名山です。
斜面の途中、サーっと雲が晴れてきました。
焼岳の荒々しい斜面が初めて見渡せます。
はるか下方に上高地の谷も見えてきました。
ちらっとでもこの風景を見ることができて良かった。
再び焼岳小屋の前に出ましたが、先ほどののんびりした感じとは打って変わって
あとから来た人が雨宿りをしていて小屋の前はぎっしり。
先を歩いていたBさん、とうとうもう片方のソールもはがれてしまいました。
これからの濡れた岩場と、ぬかるんだ斜面が心配です。
再び笹原の斜面を下っていく。
先ほどの梯子を超えて岩壁の横へ。
まだまだ登ってくる人がいて、梯子は渋滞していました。
Aさん、Bさんとしばらく一緒に進んでいましたが、
Bさんはソールがないとは思えないほど身軽に下ってゆきます。
Aさんはゆっくり行きますということで途中でお別れし、
Bさんと登山口まで一緒に下りました。
登山口戻ったのが10時半、このころは雨もやんでいました。
Bさんは沢渡に車を置いてきたということで、ここでお別れ。
私ものんびり小梨平に戻ります。
ここまでは人がいるといっても知れていましたが
さすがに田代の橋を超えると、一大観光地らしい大賑わい。
なんだか異次元に迷い込んだような・・・
小梨平に戻るとテントもほとんど乾いていました。
テントを撤収していると、Aさんも戻ってきました。
キャンプ場の風呂に入って食堂でお昼ごはん。
Aさんは山賊焼定食、私はカツカレー
もちろんその前に生ビールで乾杯。
カツカレーが出てくるのにちょっと時間がかかったけれど、、
とんかつが揚げたてのサクサクで、なかなか美味かった。
ここでAさんともお別れ、
ザックを背負ってバスターミナルに向かう。
河童橋のあたりからは、焼岳が見えていた。
今年は梅雨明けが早かったので、三連休には期待していたけれど、
残念な天候になってしまった。
それでも徳本峠の落ち着いた雰囲気、上高地の清流、初めて登った焼岳、
まずまず良い山旅ができたように思います。
おしまい