ヴィム・ベンダース監督の映画を久しぶりに観た。「ベルリン天使の詩」や「パリテキサス」を撮った監督が、日本を舞台に日本人俳優で映画を撮るとどうなるのか。
ストーリーらしいストーリーは無い。主人公の平山の日常が淡々と描かれる。トイレ掃除を生業とし、朝起きてからの一連の動作の描写が幾度となく繰り返される。ここで思い出したのがお気に入りの「夏至」というトラン・アン・ユン監督したベトナム映画。朝の様子が繰り返されヴェルヴェットアンダーグラウンドの Pale Blue Eyes(PERFECTDAYSでも使われていた)が効果的に使われている。タイトルのPERFECTDAYSもルー・リードの曲名からとっているのであろう。音楽が重要なアイテムになっているのは間違いない。冒頭のアニマルズ「朝日の当たる家」でガツンとやられる。この曲に関しては劇中後半でサプライズあり。
日常の描写の繰り返し。毎日全く同じようで同じでない、ほんの少しのチョットした出来事の積み重ねを見せることで「平山」という人間を掘り下げていき、彼が観客の旧知の友のような錯覚を呼び起こす。「知る」こと=「好き」になるということを昔どこかで書いたと思うが、ここではまさにそれが表現されていた。いつの間にか平山に感情移入してしまっているという具合に。
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