最初はトルフィン本人の復讐劇の話。奴隷になってからはエイナルの話。そして今度はヒルドの復讐劇。
憎しみの連鎖を断ち切るにはどうすればよいのか。読者としては「トルフィンは良い奴だから許してやれよ」と勝手に思うが、当事者のヒルドにとっては許し難い存在。まだトルフィンのように改心して前に進もうとする人間なら妥協できるかもしれないが、人を虫けらのように殺して何とも思っていない人間を簡単に許せるだろうか。幸村先生がどのようなところに落としどころを持ってくるのか興味が尽きない。
人間が未来を変えることのできる唯一の方法は過去を変えることである。過去の憎しみを捨てて許すことでしか未来を変えることはできない。というような話をどこかで聞いたことがある。ここでも死んだ父と弓の師匠がトルフィンを「憎しみを捨てよ」と許すように諭している。この難しい命題をどこまで掘り下げられるのか、また、「真の戦士とは」というテーマにどうつながっていくのか楽しみです。