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今日の筆洗

2022年01月17日 | Weblog

<クギがないので、蹄鉄(ていてつ)ができない。蹄鉄がないので、馬が走れない。馬が走れないので、騎士が乗れない>▼十八世紀の英国の童謡集「マザーグース」の「クギがないので」。小さな出来事が連鎖していく。詩はこう続く。<騎士が乗れないので、戦争に勝てない。戦争に勝てないので、王国が滅びた>−▼クギがないどころではなく南太平洋の島国トンガの海底で起きた大規模な火山噴火である。約八千キロ離れているとはいえ、日本列島にもどんな影響が及ぶのか分からぬ以上、警戒するのは当然だろう。昨日の津波警報と注意報である▼当初、気象庁は津波の心配はないと言っていたが、十六日未明になって鹿児島県の奄美群島などに津波警報、日本列島の太平洋沿岸部全域に津波注意報を発令した。発令を伝える携帯電話の速報に驚いた方も多いだろう▼通常の津波とは異なり、予想が難しかったと聞く。一度は心配ないと言いながら、その後、警報を出した気象庁をからかうまい。危険がある以上、前言を翻すことをためらわず、半鐘をならしてもらわなければ、こちらが困る▼心配なのはトンガである。日本への高波は津波と言うより噴火の衝撃波による潮位の変化ではという指摘もある。それほどの衝撃波だったとすれば現地はいったいどんな状況になっているのか。陽気でぽっちゃりした方の多い美しい島国を案じる。


今日の筆洗

2022年01月15日 | Weblog
映画「仁義なき戦い」(一九七三年)の中に組のトップでありながら立場の弱い親分が出てくる。金子信雄さん演じる山守組長である▼指導力も人気もないので実権を握る組幹部(松方弘樹さん)からこうすごまれる。「あんたはわしらが担いでる御輿(みこし)やないの。御輿が勝手に歩けるいうんなら歩いてみいや」▼元首相の訃報に適切な書き出しとは思えぬが続ける。海部俊樹さんが亡くなった。九十一歳。宇野さんが醜聞で退陣した後、党内から祭り上げられる形で首相になった▼「御輿は軽い方がいい」。リクルート事件などで政治不信が高まる中、海部さんの清廉な印象が買われたのだが、党内での力はなく、御輿を担ぐ当時の竹下派の言うがままになっていたのは事実である。政治生命を懸けた政治改革関連法案が廃案となっても、衆院解散さえ許されなかった。当時の首相番だった身は見ていてもどかしかった▼だが、山守親分と重ねるのは間違っている。勝手には歩けなかったが、政治不信をなんとかしたいという信念の人であったとは信じる。担がれながらも少しでも自分の目指す方向へともがいた方だろう。当時、高い支持率を得たが、国民は政治浄化に向けた、その人のひたむきさを感じ取っていたのかもしれない▼軽かろうが、御輿になれた。今の自民党に海部さんほどのクリーンさで御輿になれる人が何人いるか。
 

 


今日の筆洗

2022年01月14日 | Weblog

お世話になっている花屋さんによると、今年の冬は寒いのだそうだ▼スイセンなどは必ず家の中に入れておくようにと教えてもらった。なるほど、そう言われてみれば、いつもの年より少し寒いような気もしてくる▼早いもので、この間、年が明けたと思ったら、もう「寒九」である。一月五日の寒の入りから九日目のことで、今年は昨日の十三日がその日だった。<寒の水飲み干す五臓六腑(ろっぷ)かな>細見綾子。寒の水の説明はいるまい。寒九に汲(く)んだ水は一年のうちで最も澄みきっていると伝えられ、服薬に用いるのがよいという。お酒や化粧水や紙すきなどにも「寒九の水」は欠かせなかった▼寒九にまつわる、もうひとつ、よく聞く言い伝えが、「寒九の雨」。この日、雨が降るとその年は豊作になると信じられていた。ただし、関東など太平洋側はこの時期は雨が少ないそうで、その分「寒九の雨」にありがたみを感じていたのかもしれない▼天の神さまにおまけしてもらって、雨ではなく、雪でも豊作の兆しとして認めてもらえないかとつまらぬことを考えてしまう。雨はないが、北陸や新潟などでは大雪である。風も強まっている。短時間で積雪が増える危険もある。こうなると「寒九」ではなく「寒苦」の方の漢字を当てたくなる▼「雪は豊年の瑞(しるし)」とはいうけれど北国にしんしんと降り積もる雪が心配である。春よ来い。


今日の筆洗

2022年01月13日 | Weblog

大空を飛び、優雅に地に舞い降りる鳥類なれど中には着地の苦手なのもいる。アホウドリである▼空からドタドタと地面に激突し転がるように着地する。一説によると滑稽なその名は不器用な着地の姿からきているそうだ▼豪快なひねり、そして正確で華麗な着地。その演技で世界を魅了した体操選手も最初はやはり、アホウドリのそれだったのかもしれない。二〇一二年ロンドン五輪、一六年リオデジャネイロ五輪の個人総合連覇など一時代を築いた内村航平が現役引退を決めた▼演技の美しさを世界から称賛された体操の「キング」に向かってアホウドリもあるまいが、小学校一年で出場した大会では緊張からか予定していたバック転さえできなかったそうだ。最下位。父親に叱られ、会場で泣いた。中三の時の全国中学校大会は四十二位。高校一年の全日本ジュニア選手権でのあん馬(十点満点)はわずか二点である▼その鳥は最初から飛べたわけではない。初めから着地を見事に決められたわけではない。振るわぬ成績から基本を徹底的に鍛えることで上を目指した。腐らず、休まず、ゆっくりとだが着実に力をつけ、世界の頂まで飛んだ。評価すべきは才能よりも、あきらめなかった意志の方なのだろう▼けがと闘った競技人生でもあった。傷ついた羽を休め、また別の世界へ飛んでいくのだろう。寂しいが、拍手で見送る。


今日の筆洗

2022年01月12日 | Weblog

中国の笑話集「笑府」にゾウを見て、ブタがあれほどの大きさであればよいのにと夢想する男が出てくる。もし、ブタがゾウの大きさならもっとたくさんの肉が手に入る。よくばりな上に考えても意味のない話である▼ゾウの大きさではなくてよかったというニュースだろう。米国でブタの心臓を人に移植する手術が成功したそうだ。ブタの心臓は人の心臓に似ており、大きさも具合がいいらしい▼ブタの心臓弁を人の心臓に利用する手術は以前から行われているが、今回のように心臓そのものを移植するのは世界初と聞く▼最大の問題はブタの心臓を移植した場合の人体の拒絶反応だったが、遺伝子操作によって拒絶が起こりにくいブタをつくり、これを使っているそうだ。現在のところ経過は順調と聞く。科学技術はここまで進歩しているのか▼人に捕まり、取り乱したブタをヒツジがたしなめるという話がイソップにある。ブタが反論する。「君らは毛を刈られるぐらいだけど、僕は肉を食べられてしまうんだ」。この上、その心臓まで利用される時代か▼少々、ブタが気の毒だが、深刻な臓器不足によって大勢の人が移植手術の長い列を作っている。順番待ちの途中で亡くなる方もいる。ブタの心臓が代わりに使える時代が来れば、列は短くなろう。ただし慎重に安全かどうかを見極めたい。どんな反応が出るかまだ分からぬ。 


今日の筆洗

2022年01月11日 | Weblog
世界で最も長い地名はニュージーランドにある丘の名だという。「Taumatawhakatangihangakoauauotamateapokaiwhenuakitanatahu」▼「タマテアという巨大な膝を持ち、山々に登り、のみ込み、土地食いと知られた男が愛する人のために笛を吹いた場所」。そんな意味のマオリ語らしい。丘の名を冠したサッカーチームがある。タウマタFC。フルネームで呼べば世界で最も長い名を持つスポーツチームの一つか▼足元にも及ばぬが、この名も相当長い。「NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安」。開幕したラグビーの新リーグ「リーグワン」に所属するチームの名である▼昨年までのトップリーグが衣替え。長い名は企業名、愛称、それに地域名を組み合わせているためだろう。新リーグのコンセプトは地域密着。シャイニングアークスでいえば、ホストタウンは浦安だが、その周辺地域からの集客も狙って「東京ベイ」を加えたか▼新リーグでは各チームが独立した事業主体となり、チケット収入などで運営するため、集客が大きなカギとなる。長いチーム名は呼びにくいが、観客を呼ぶ知恵と願いなのだろう▼コロナの影響で開幕節の二試合が中止になった。多難な船出となったが、日本ラグビーのため、新リーグの長い長い発展を祈る。
 

 


今日の筆洗

2022年01月08日 | Weblog

子どもに科学の面白さを伝える施設で「こだまパイプ」という名前の展示物を見たことがある▼音の速さを教える装置で、三十四メートルと十七メートルの二本の管が並ぶ。各管の前で声を出して反響音すなわち、こだまが聞こえるタイミングを比べると、三十四メートル管の方がわずかに遅い。音が管の先端に当たり、戻ってくるまでの距離が長いから。音速は空気中では時速千キロ以上になる▼これをはるかに超えるという「極超音速ミサイル」の開発を北朝鮮が進めているようだ。同国メディアが試験発射したと伝えた。韓国軍の分析でも、音速の五倍以上で飛んだらしい▼このミサイル、低高度を超高速で飛ぶうえ、変則的な軌道も描ける。迎撃は難しいという。こうした動向などを理由に、岸田政権は敵国内にある発射施設などを破壊する「敵基地攻撃能力」保有を視野に入れるが、従来の専守防衛からの転換ともいえ、反対世論は根強い▼一方で首相は拉致問題の解決にも意欲を示し「私自身、条件を付けずに金正恩(キムジョンウン)氏と直接向き合う決意だ」と語るが、北朝鮮は「解決済み」と繰り返すのみ。拉致、ミサイル、核…。いずれもいっこうに、解決の兆しが見えない▼気脈を通じるパイプがあるとも思えぬし、少なくとも、何か言えばこだまのように反応する相手でないことは確かであろう。知恵を絞って、手練手管にたけた隣国を動かしたい。