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今日の筆洗

2022年01月04日 | Weblog

「可哀想(かわいそう)で一日ぢゆう涙止まらず」「気を変へようと思つても涙が流れて止まらない」−。内田百〓の随筆『ノラや』。涙の理由は飼い猫ノラの失踪である。頑固な人が泣いてばかりいる▼当時六十代後半。加齢とともに涙もろくなるのは大脳の機能低下で感情の抑制が難しくなるせいらしいが、そういう状態だったか▼わが身にも似た症状が出ている。とりわけ正月は涙もろくなる。たとえば夜の散歩。アパートの部屋の明かりが消えているのを見ればどなたの部屋かは知らぬが、今ごろは田舎の家族とにぎやかに過ごしているのだろうと勝手に想像して、涙が出そうになる。初詣でたまたま隣り合わせになった人が長い時間、手を合わせているのを見ても泣きそうになる▼箱根駅伝などはもう見ていられぬ。力を出し切った選手、そうでなかった選手。いずれにもこの日までの苦労を思い、鼻の奥の方がツンとしてくる。選手の家族を思えば、なおさらである▼年を取ると涙もろくなるのは経験によって共感力が強まるためという説もあるそうだ。うれしかったり、悲しかったりした自分の経験。何かを見ては、自分の記憶を重ね、感情が高まるらしい▼正月という懐かしく、人の幸いを祈りたくなる時間も人を涙もろくさせるか。この人も正月に泣いたらしい。<初夢に古郷を見て涙かな>一茶。さてと、本日は仕事始めである。