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今日の筆洗

2023年10月20日 | Weblog

北海道のお土産「木彫りのクマ」発祥の地は道南の八雲(やくも)町。旧尾張藩士たちが明治以降に開拓した地で、入植者らの冬場の副業として始まったことは知られる。当時の尾張徳川家当主が欧州の民芸品をヒントに勧めた▼開拓ではこの獣に悩まされたよう。当時の奮闘を描く城山三郎の『冬の派閥』に「とうもろこし畠が、どこも荒らされただけでなく、馬が襲われて、殺された」と記される。クマ狩りをするアイヌは生態に詳しいが、彼らの助言でクマの通り道に仕掛けを作る場面もある▼開拓時代も遠くなった令和の世で、クマによる人身被害が続く。富山市の自宅敷地内で死亡したお年寄りは、状況からクマに襲われたらしい。何とも痛ましい。昨日は秋田県の住宅街で女子高生らが相次ぎ襲われけが人が出た▼各地の人身被害は本年度、計100人を超え過去最多ペース。クマがいる山中と市街地の緩衝地帯だった里山の衰退が背景との見方もあると聞く。木を切るなどして里山に住む人が減りクマが入りこんで市街地に近づいたようだ▼人がその領域を広げた開拓時代とは対照的。人口減時代の付き合い方を模索せねばなるまい▼入植者にクマの知識を授けたアイヌに「イヨマンテ」と呼ぶ儀式がある。クマを神と考え、捕らえたクマの霊を神の国に返す。森の強者と向きあうには、畏敬の念も忘れるなという教えなのだろう。


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