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今日の筆洗

2019年10月24日 | Weblog

イソップによればアリはもともと人間だったらしい。この人間、農業に励むのはよいが、自分の収穫だけでは満足できず、他人のものまでくすね続ける。神はあまりの貪欲さに腹を立て、アリの姿に変えてしまったという。「だから今も畠(はたけ)を歩きまわって、他人の小麦や大麦を集めては、自分のために貯(たくわ)えている」(『イソップ寓話集』岩波文庫)▼有名な「アリとキリギリス」では冬に備え、夏の間も働くアリの勤勉さをほめていたが、こっちの話はアリにずいぶんと手厳しい▼南米産の猛毒を持つこのアリに対してもわが国にまで「領土」を広げようとする貪欲さを警戒したい。ヒアリである▼最近の東京港青海ふ頭での調査によって巣から五十匹以上の女王アリが確認されている。一部の女王アリは既に別の場所へと飛び立った可能性もあるという▼関係閣僚会議でヒアリの定着阻止に向けて、取り組みを強化する方針を確認したが、ゆめゆめ油断はできぬ。毒針で刺されればアナフィラキシーショックを引き起こす危険がある。それ以上に怖いのは農作物などへの被害で一九三〇年代に定着を許した米国では現在、年間六十億ドルを超える被害があると聞く。貪欲なのである▼カタカナだとさほど怖くないが、漢字で書けば、刺された痛みの強さから「火蟻」。油断すれば、燃え広がる怖い火と心得て、一刻も早く消火したい。

 
 

 


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