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今日の筆洗

2023年11月08日 | Weblog
 暮らしに困った老いた武士が家に伝わる仏像を屑屋(くずや)さんに売る。これを屑屋さんから買ったのが若い武士。仏像を磨くと中から大金が出てきた。知らずに売ったのだろうと、この金を元の持ち主に返すよう屑屋さんに頼む。落語の「井戸の茶碗(ちゃわん)」である▼この金を老武士は受け取らない。仏像は売ったのだからもはや金も自分のものではない。困った屑屋さんは若い武士にあなたが受け取ってと頼むが、この武士ももらわない。自分が買ったのは仏像であって中の金ではない。貧にあっても道理を通す2人の態度。聞いていて気分がいい▼暮らし向きは決して楽ではない今の世にも裏のありそうな金は受け取りたくないと考える人が大勢いらっしゃるとみえる。話は岸田政権である。所得税減税を打ち出したが、支持率は上がらず、むしろ下げた。防衛増税の先送りも効果がない▼税を下げると言えば国民の気を引きそうなもので、岸田さんの狙いも、そこにあるのだが、逆効果とは不思議な現象といえる▼有権者には減税の中身への不満や財政上の心配もあるか。それよりも次の総選挙をにらみ、減税によって支持率を買おうとする首相の性根が見透かされてもいるのだろう▼「へん、ばかにすんない」。安く見られた気分の国民が腹を立てるのも無理はない。岸田さん、金でも人心をつかめぬほど信頼を失ったか。危険水域である。
 
 

 


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