タイガースファンの作家、小川洋子さんは阪神側に適時打や本塁打が飛び出し、球場の大型スクリーンでそれが再生されている場合はスクリーンではなく観客席の方を見るそうだ▼何万もの人が喜びを共有している。「この人も、この人も皆、うれしそうだなあ」。そう思えば勝利の喜びとは別に「人間へのいとしい気持ちが込み上げてくる」と書いていた(『犬のしっぽを撫(な)でながら』)▼小川さんの言葉がよく分かる。テレビ中継に映るファンの顔を見ていれば、タイガースファンではなくともうれしくなる。日本シリーズ第7戦。タイガースがバファローズ投手陣を打ち崩し、好ゲーム続きのシリーズを制した。笑っている人がいる。喜びのあまり、試合終了前から泣いている人がいる▼不安定な世界情勢や物価高など持ち出したくもないが、そんな憂いや心配もひととき忘れ、ただただタイガースの優勝を祈っている。格差も考え方の違いもそこにはなく、タイガースのために声を合わせ、喜びあう。そういうファンの共鳴を見るのがなんともうれしいし、野球の力をあらためて知る▼38年ぶりの日本一。長い年月である。自分の38年を振り返り、あるいは虎ファンだった今は亡き、家族や友を思い出している方もいるだろう。おめでとうを伝えたくなる▼それにしても強かった。おそらく、次の日本一まで38年はかかるまい。
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