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今日の筆洗

2023年02月01日 | Weblog

駐留米軍基地が近い地域では優れたロックミュージシャンが育つという伝説があった。一九六〇、七〇年代の話である。思い浮かぶのは「ゴールデン・カップス」などを生んだ横浜や「紫」の沖縄か▼理由は米軍の軍人や家族向けのラジオを聞くためだという。ラジオから流れてくる最新の音楽や往年のブルースに幼いころから、触れる。やがて自分もギターを持つようになる。無論、基地があってよかったという話ではない▼米軍板付基地。福岡県にかつてあった基地は七二年に撤収し、日本に返還されている。少年は板付基地のラジオで音楽を学んだ。ある日、聞いたこともない音を耳にする。バンドの名は「ビーロル」。衝撃を受け、エレキギターを入手し、やがて世に出る。シーナ&ロケッツのギタリスト鮎川誠さんが亡くなった。七十四歳▼長身にメガネ。細身の風貌とは裏腹に太く、ブルースに裏打ちされた攻撃的なフレーズ。様子のよさの際だったプレーだった▼東京進出は二〇一五年に亡くなった妻シーナさんの父親の後押しだった。「あんたがギターのうまいことは知っとるばい。でも福岡おってちやほやされたちゃあ、わしの娘が幸せになるか」(『証言!日本のロック』)。ロックというよりどこか浪花節なエピソードに時代を思う▼さて、「ビーロル」とは。もちろん、英リバプール出身のあの四人組である。


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