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今日の筆洗

2024年01月09日 | Weblog
 明治時代のベストセラー、スマイルズの『西国立志編』の中にこんな小咄(こばなし)が出てくる。よく教育された子どもにある人が尋ねる。「さっき、誰も見ていなかったのに、どうして梨をポケットに隠さなかったのかい?」▼子どもはこう答える。「いいえ、誰も見ていなかったわけではないのです。私自身が見ていました。私は自分が不正を行うところを見たくなかったのです」▼「見たくなかったのです」とこの議員は思わなかったか。自民党安倍派の政治資金パーティーを巡る政治資金規正法違反事件で東京地検特捜部は池田佳隆衆院議員(比例東海)とその政策秘書を同法違反(虚偽記載)の容疑で逮捕した▼派閥から多額のキックバックを受けながら政治資金収支報告書に記載しなければ法に触れることは政治家なら常識だろう。「大丈夫なのか」という後ろめたさはあったはずで、自分の不埒(ふらち)を認識しながらも梨をポケットに入れてしまったと言わざるを得まい▼あの子どものように、「私自身が見ている」と不正を退けられなかったのは派閥の習慣として裏金づくりが当たり前になっていた部分もあるのだろう。このあたりをたださなければ、党の刷新なぞあり得ない▼<ウス壁にづんづと寒が入りにけり>一茶。同様の虚偽記載はこの議員に限らぬ。「寒の入り」どころか支持の壁が薄くなった自民党を猛吹雪が襲っている。