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今日の筆洗

2023年03月07日 | Weblog

 マイルス・デイビスがトランペットを始めたのは十歳、チャーリー・パーカーがサクソフォンを買ってもらったのは十一歳だった▼音楽より漫画に夢中だった、その少年が本格的に楽器を手にしたのは十五歳。早いとはいえぬ。しかも母親に買ってもらったのはその後に身を立てるテナー・サックスではなくクラリネットだった。米ジャズの巨匠、サックス奏者で作曲家のウェイン・ショーターさんが亡くなった。八十九歳▼一九五九年、アート・ブレイキー率いるジャズ・メッセンジャーズに加入。マイルス・デイビス・クインテットなどを経てフュージョンの「ウェザー・リポート」の結成。経歴はジャズ黄金期の歴史そのものである▼当時妻だった日系女性をジャケット写真に使った「スピーク・ノー・イーヴル」(六六年)をあらためて聴く。強く、神秘的なソロに引き込まれる▼作曲法を身につけたのは高校時代の罰のおかげという。学校をサボった罰に校長が音楽理論の授業を強制的に受けさせたそうだ。それが実を結ぶのだから何が幸いするか分からぬ▼映画が公開中の漫画「BLUE GIANT」は日本の高校生がやはりサックスで世界を目指す話で、来る日も来る日も河原で練習を続ける。雪の中でも吹き続ける場面が印象的である。十五から巨匠に至るまでにショーターさん、いったいどれほど練習したことか。