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今日の筆洗

2020年11月03日 | Weblog
 <江戸っ子は五月(さつき)の鯉(こい)の吹き流し/口先ばかりではらわたはなし>。かつての江戸っ子のきっぷを表した文句で、口では荒っぽいことを言っていても腹の中はさっぱりしているという意味だろう。半面、粘りや土性っ骨には欠ける江戸っ子の弱さも浮かんでくる▼大阪の人の気性はどうだろう。こんな川柳があった。<気張らんとまあぼちぼちにいきまひょか>。どなたの川柳かといえば、大阪出身の作家、田辺聖子さん。焦らず、着実に一歩一歩という人が多いのか。物事の判断に慎重で大きな変化を好まぬ大阪人も少し見えてくる▼投票結果は荒療治より<まあぼちぼちにいきまひょか>という判断なのだろう。大阪市を廃止し四特別区に再編する「大阪都構想」の賛否を問う住民投票。反対が賛成を上回り、否決された▼二〇一五年の住民投票に続く二度目のノーではさすがに都構想も店じまいか。その僅差は大阪市民が賛否を悩み抜いた末の結果にちがいない▼都構想で府と市の二重行政による弊害や財政の無駄を取り除く。その理想は分かるが、コストはむしろ増えないか。やってみなければ分からぬ都構想への期待より「ほんまでっか」の疑問が最後は上回ったのかもしれぬ▼大阪を二分した闘いのしこりが心配である。決着はついた。大阪人にはシャクだろうが、ぜひとも江戸っ子の「はらわたはなし」でいきまひょか。