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今日の筆洗

2019年08月24日 | Weblog
 大事なのは、こちら側の必死の思いを察知されないことだという。さらに相手も得になると思わせること。<はったり>も重要で…。でかい不動産取引を成功させるための極意である。説いているのは米国のトランプ大統領だ▼不動産王として財をなし、一九八〇年代に書かれた『トランプ自伝』は、政治手法の出どころを感じさせて、興味深い。自身の取引の能力と<天賦の才>をたいそう誇ってもいる。<私にとっては取引が芸術だ…それも大きければ大きいほどいい…スリルと喜びを感じる>▼その才能が目覚めたと思わせる出来事である。世界最大の島、デンマーク領のグリーンランドの買収に意欲を示したという。ジョークとも思われていたが、本気らしいと分かった▼米国には歴史に残る不動産取引がいくつかある。十九世紀のフランスからのルイジアナ購入とロシアからのアラスカ購入だ。大きいほど燃えるという不動産王も意識しているかもしれない▼資源があって、戦略上も価値があるというグリーンランドの購入は米国が冷戦初期に極秘に持ち掛けた歴史があるそうだが、時代は変わっている。現代では武力による国境の変更と同様に非常識だろう▼大統領はデンマーク首相の「ばかげている」の言葉に怒り、同国訪問を取りやめた。あきらめたのか、極意にあるような駆け引きなのか。政治家らしからぬ騒ぎだ。

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