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今日の筆洗

2017年11月20日 | Weblog

 「なんだい、この鰻(うなぎ)は三年、舌の上にのっけてもとろっとなんてこないよ」「このお新香(しんこ)、よくこれだけ薄く切れたもんだねえ。薄くて立ってられないから、お新香同士が力を合わせ、支えている。見ていて、涙ぐましいよ」▼落語の「鰻の幇間(たいこ)」。幇間(ほうかん)の一八、さる客に鰻をごちそうになる気でいたが、逃げられてしまい、お代をすべて払わされるはめに。腹を立て、つい鰻屋に八つ当たりし文句を並べ立てる▼こんな文句なら、鰻屋の方も、あとで思い出し、笑ってしまうかもしれぬが、こっちの文句や行為に笑いはなかろう。スーパーやコンビニなど接客の現場に客側の悪質なクレームが目立ち、社会問題となっている▼暴言やクレームの繰り返し、威嚇。中には土下座を求める人までいる。労働組合「UAゼンセン」の調査によると、客からの迷惑行為を受けた経験のある店員やスタッフは全体の約七割。驚くべき数字で店員への強いストレスとなっている▼「お客様は神様です」-。三波春夫さんの有名なセリフは観客を前に歌う神聖な気持ちを表現していると聞く。あくまで自分の心構えであって、それを客の方が持ち出して、「オレは神様だ」と振る舞えば、世の中うまく回るはずもない▼今、必要なせりふは「お客様は人間です。店員も人間です」か。同じ人間。こっちの方が、お互いに優しくなれる気がするが。

 

幇間 ほうかん

 

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

幇間
ほうかん

 
太鼓持ち,末社ともいう。男芸者のこと。酒席遊客座興を見せ,遊興とりもちをする。吉原に限り太夫と呼ばれた。

古今亭志ん朝 鰻の幇間