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今日の筆洗

2017年10月25日 | Weblog

 アンデルセンの「裸の王様」の物語の核心部分は、その服が「愚か者には見えない布」でできていることだろう。無論、こずるい仕立屋の作戦なのだが、王様も家来も、愚か者と思われたくない一心で服が見えるふりをし続け、結句、正直な子どもに「王様は裸だ」と笑われる▼アンデルセンの仕立屋はうそつきだったが、これは正真正銘、身どもごときの愚かな人間には見えぬ布で仕立てられているのであるまいか。景気である▼きのうの東京株式市場。日経平均株価は、十六営業日連続の上昇で、高度成長期やバブル経済期の記録を抜いて、過去最長をさらに伸ばした。景気拡大は二〇一二年十二月以降続いており、その期間は、高度成長期の「いざなぎ景気」(一九六五~七〇年)に並び、超える勢いという。八月の有効求人倍率は一・五二倍。バブル期ピークを上回っている▼マクロ経済指標はこれで景気が良いと判断しないのは「愚か者」といわんばかりの良い数字が並ぶのではあるが、世の中に好景気の姿がどうにも見えぬ。触れぬ。「幽霊景気」と呼びたくなる▼上がらぬ給料、増えぬ可処分所得が景気拡大を実感させぬ最大の理由であることは明白である。幽霊を明確に浮かび上がらせる策がほしい▼景色の景に空気の気。見え、感じられて初めて景気であろう。そのうち、正直な子どもが笑いださぬか心配する。