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今日の筆洗

2017年07月30日 | Weblog

 打ち上げ花火の三尺玉は直径約九十センチ。約六百メートルの高さまで上がり、大輪は九百メートルにまで広がるという▼井上ひさしさんの『京伝店の煙草(たばこ)入れ』に、現在でも大物の三尺玉の打ち上げに挑む江戸の「鍵屋」の職人が登場する。「暗い夜を真っ昼間にしてみせる。それが出来たら死んでもいい」▼職人の三尺玉には暗い世間をあっと言わせ、楽しませたいという願いや職人の意地が詰まっていたが、この「飛翔(ひしょう)体」の中身は身勝手な野望と、脅して交渉を有利にしたいという曲がった計算でぎっしりである。隅田川の花火大会の前夜というのも何となく気分の悪い、北朝鮮が発射した弾道ミサイルである。平和あっての花火である▼米国防総省は大陸間弾道ミサイル(ICBM)と断定した。四日に続いて今年十一回目の発射。花火の掛け声といえば、「玉屋ーっ」だが、世界は「弾やーっ」「またやーっ」と嘆くしかないのか▼約四十五分間と前回よりも長く飛んでいる。高角度のロフテッド軌道ではなく通常高度で発射した場合、米国中西部、東部に届く射程一万キロ超に達した可能性がある。いよいよ弾の届く銃を突きつけられる米国も黙ってはいまい。緊張が一層高まる▼<玉屋が取り持つ縁かいな>。端唄の文句じゃないけれど、花火見物で深まる恋路があってもミサイル脅迫に将来も未来もないことに、あの国はなぜ気づかぬ。