当教室では、毎月発行しているメルマガで、講師の方々が、生徒や親ごさんへお薦めの本を紹介しています。
先月は 『厚さ1センチ(10ミリ)以下の本』 を特集し、大変好評でした。
12月号では、他人に薦めるというより、 ご自分の “心に残った忘れられない一冊” ということで特集をしました。講師によって、紹介の仕方も長さもバラバラなのですが、大変興味深い本が並んだと思いますのでご紹介します。
私だけでなく、他の講師も多くおりますので、書いた方の名前はふせておきますが、すべて当教室の講師陣が書いたものです。
こういう本に夢中になると塾講師になるらしいです(笑)。 おもしろいと思いますよ。ではどうぞ。
【竜馬がゆく】 司馬遼太郎 著 (文春文庫 全八巻 各620円)
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明治維新の原動力として活躍した坂本竜馬の生涯を描いた歴史小説。著者の幅広い知識と鋭い表現力で、気がつけばこの世界に引き込まれるはず。幕末という激動の時代、誰もが固執した考えをする中、独特の感性で時代の先を見据えていた竜馬の生き方は、この本を読んだ人の心にきっと何か響かせてくれるでしょう。
どのような志を持ち、自分の人生を生きていくのか…。この先大人になり社会へ羽ばたいていく前に、この本と出会っておくのも良いと思います。
【日本人の生き方】 会田雄次 著(講談社 525円)
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本は人に貸すとなかなか返ってきませんね。本書は結局3回買っています。最初に読んだのはまだ大学生時代でした。私が受験で使った社会の科目は、倫社・政経でしたので、歴史や地理はまったく知らないまま大学生になったのですが、本書を読んですぐにそれを悔やみました。
自分が日本人であるとはどういうことか、歴史的背景抜きの英語の知識だけではどうしようもない、国際人などとんでもないとつくづく思い知らされた一冊です。大げさに言えば、自分のアイデンティティーを確認した本ということになるでしょうか。
【ペスト大流行—ヨーロッパ中世の崩壊】 村上陽一郎 著(岩波新書735円)
歴史を語ろうとする者なら誰も、今日の立場からの解釈は可能な限り抑制し、できる限り過去の時代そのものに肉迫しようと努めるものですが、私達が「同時代人」たり得ない以上、自らの設定した座標軸にしたがって、過去が今日の状況に対して持つ因果関係をもっぱら問うといった過ちを犯す危険は常にあります。
本書の著者は、科学の歴史を、人間が「より真実へと」近づいていく過程と見なす事に対し、常に批判的な立場から数多くの業績を残してきましたが、本書でも中世の西欧で3000万人の命を奪い、封建社会を根底から揺り動かしたペストの大流行について、無知ゆえに深刻な事態を招いたといった安易な視点を禁じ、未曾有の事態に直面した当時の西欧世界の知的枠組み、さらには伝染病が招く人心の動揺、社会の混乱といった二次的惨禍に至るまでを克明に描き出しています。
ところでペストがまさに最盛期を迎え、手の尽くしようもなくヨーロッパが滅亡の危機に瀕していたとき、ペストの伝播源であったクマネズミの天敵ドブネズミの大群が突然ヴォルガ河を西に向かって移動していったという実話をご存知でしょうか?
【錦繍】 宮本輝 著 (新潮文庫 460円)
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著者は私が好きな作家の一人で、多くの作品を読みました。その中で本書は大人向けの内容としては心に強く残った一冊であり、名作と言えるかもしれません。手紙のやり取りだけで話が進みます。言葉の美しさも感じられる素晴らしい本です。
【灘中の数学学習法】 庄義和・幸田芳則 著(日本放送出版協会 672円)
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灘中の数学学習法ということで、どれほどのものか興味があり手にとってみました。もちろん、灘中に通っている生徒の吸収力・レベルが高いということもあるのですが、これほどまでのスピードでカリキュラムを消化しているとは思わなかったです。
中学の段階で高校生の内容を扱えるのは、カリキュラムがしっかりしているからでしょう。普通の一般公立中学との差は大きくなるいっぽうだと感じました。また付録として、定期テストの問題と答え・使用している本などが上げられており、この一冊で日本トップクラスの数学教育を見せ付けられた感じがします。
【出口のない海】 横山秀夫 著 (講談社文庫 620円)
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大好きな野球と恋人を投げ打って戦争へ。任務は生きて帰れる可能性ゼロの人間魚雷。潜水艦ごと敵に突っ込むという極限の恐怖の中でも、主人公は崇高な反戦メッセージを伝えてくれます。
【歴史の方程式】 マーク・ブキャナン 著 (早川書房 2425円)
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歴史的な大事件や大事故が起こるたびに思い出すのが本書です。地震や台風などによる惨禍は、どうしようもありませんし、誰も阪神大震災は防ぐことができたとは考えないでしょう。しかし人やその集まりである国家が引き起こす紛争や戦争、あるいは不注意による事故ならば無くすことができる、またはそうすべきだと考えます。
ところが、現実の社会では、事故も戦争もなくなりませんし、ありえないと思われることが、実は次々に起こっています。自然災害も人が引き起こすものも実は似た法則(方程式)で起こっていて、そのカギはべき乗にあると主張する一冊です。
最新の物理の知見と歴史をミックスさせた非常に刺激的な一冊でした。
以上です。
http://tokkun.net/jump.htm (当教室HPへ)
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