詳しい内容はわかりませんが、つまりはキャンペーンのようなものだと思います。たとえ一時的であっても、また直接電話をかけなくても、この関心の高い時に、さらにこの問題に焦点を当てる効果はあるでしょう。
このところの飲酒運転撲滅運動はマスコミを巻き込み、かなり大掛かりで、相当な成果を上げたと聞きます。いじめ問題にしても、いじめをしている子どもの中には、悪いことだという自覚にかけたまま、加わっている人もかなりいると思いますので、それが犯罪行為だと知らせる良い機会ではないでしょうか。
親や学校の先生が、自分の子どもや、生徒たちに話をする機会になればなぁ~と思います。これがきっかけで、たとえそれが、わざわざ電話相談をするほどでもない、小さないじめであっても、子どもがそれに気付き、いじめがなくなれば、生徒は救われます。
という訳で、そのニュースを聞きましたので、予定を変更し、小学生でも読める、いじめを扱った良書をご紹介しましょう。麻布中学入試の国語でも出題された一冊です。
本書には、表題の『信さん』と『遥い町』という2作品が収められていますが、どちらも印象深い物語です。
『信さん』の方のストーリーを紹介しちゃいましょう。
場面は福岡の炭鉱の町。すでに結婚し子供もいる“私”が、仕事ついでに、ふと一人で、帰郷し、母親と世間話をしながら、小学生時代を振り返ります。
“信さん”は、“私”の二歳上、子どものいない親戚の家に養子にもらわれてきたのですが、その後、妹が生まれます。何となくその家族から、疎まれる存在になった信さんは、荒れ、街で知らないものがいないほどのワルになってしまいます。
ある日、私が、他の学校の生徒たちにいじめられているところに偶然、信さんがいて、助けてくれます。その折、近くを通った巡査が勘違いし、信さんを叱りますが、私とその母親は、警官に事実を訴えます。
それがきっかけとなり、信さんは、私と母親には、素直に心を開くようになっていきます。 やがて時が経ち、養父が亡くなってしまったため、信さんも最愛の妹を進学させるために稼ぐのだといって、まじめに仕事に打ち込みます。
そして、より条件の良い仕事を求めて故郷を離れる決意をした信さんの運命は…、という話です。
もう一作、『遥い町』では、“私”とは仲が良いものの、いつもいじめられてしまう朝鮮人の友だち、ヨンくんとの物語です。こちらは、ストーリーは書きませんが、やはり最後が印象深く、きっとお子さんの心に残ると思います。
どちらの話も、とても切ないのですが、出てくる人物が、みな精一杯生きており、感覚的には、『東京タワー(リリー・フランキー)』で描かれていた故郷とだぶります。
大人たちが生きていくことになりふり構っていられない厳しい経済状況のなか、多感な子どもたちが、成長したのち、自分や他人の人生を振り返るという点では同じですね。
短くて、すらすら読めるような文なのですが、子どもたちに何か考えさせるのではないか、そんな作品ですから、多くの方にお薦めしたい一冊です。
http://tokkun.net/jump.htm
『信さん』 辻内智貴
小学館:112P:1155円
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「できましたら、これからも時々お付き合いいただければうれしいです」とのコメントをいただき感謝しています。
pcの向こう側にあるウェブが、自分の新しいコミュニケーションの場になっていくことが新鮮な感じがします。
今後のお付き合いのほど、よろしくお願いします。
本当に。他にひどいTBは山ほど来ます(笑)。
こちらこそよろしくお願いします。
『ラストシネマ』『青空のルーレット』『野の風』など氏の作品は全部読みました。心が温かくなります。残念なのは作品数がやや少ない点でしょうか。どんどん精力的に書いて欲しいです。(と、勝手ながら望んでいます)
(それまで見ていて下さいよ(笑))