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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『つながりの科学』 小田垣孝

2006年04月18日 | 科学

パーコレーションという物理の分野をご存知でしょうか?大学入試の英単語としては「ろ過」と覚えるのですが、ここでは『つながりの研究』のことです。

コーヒーを抽出する時に、お湯がコーヒー豆の間を通り抜けて行く(percolate)わけですが、いったいどのくらい隙間が空いていればお湯が下まで「つながる」のか?あるいはビンゴゲームで一列につながる時、いったい全体の何%が空いた時につながる確率が高いのか、伝染病は一体どういう条件の下で広まっていくのか、うわさは?流行は?などなどありとあらゆる形態の「つながり」を研究する学問です。 

これを研究するとさまざまな非常におもしろいことがわかってきます。説明に図と数式を用いますのでここでは結論だけ大雑把にいいますと、(これはとっぴな話で恐縮ですが)ランダムに点が存在するある広がりの中で端から端までつなげようとする時、一つの接点から平均どのくらいの接点があれば可能なのかを求めると、一つあたりたった4.5で良いのです。

これは例えば、私たちは世界中の誰とでも、平均で一人が4.5人の知り合いを持っていればつながるということを意味します。あのブッシュとでも、イチローとでも知り合いをたどっていくとつながっているはずなのです。信じられますか? 

それ以外にいろいろなところでこのことが生かされる可能性があるのです。物理だけでなく、医療にも、都市計画にも、統計や社会現象の分析にもです。そして何より世界規模のつながりを有するインターネットがあります。他に比べて新しい学問領域で、大発展する可能性のある分野ではないでしょうか。専門書もまだ少ないようです。本書は非常にわかりやすく、導入としては最適ではないでしょうか。

http://tokkun.net/jump.htm

つながりの科学―パーコレーション

裳華房

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