58.変節
視点を幾つも持っていれば
瞳を幾個も備えていれば
きっと
八方を見渡せる
自在な観点が有れば
きっと
天地を俯瞰できる
multiな展望が有れば
きっと
幸福の方に近づける
誰もヒトは
無いものを強請りながら
月日を繰る生き物だが
百あるその一つをさえ
我が物に出来るか否かは
それぞれ相伝の資質や
欲望の多少や
己が懐に持つ想いや願いの
大きさや種類の質や
そこに注入する精神と気力の
希薄と濃厚さ加減に左右される
けれど
漠然と佇んでいては
何一つ有益は掴めないから
それだから僕らは
イノチの胎動を対象に
常時、変節してゆかねばならぬ