変身
直ぐに!起きて!書け!と
命令調の信号が鼓膜を震わせて
忽ち僕は
闇を穿って
誰かの意思のままに従属する
誰がどこから何の用件で
発信してくるのか
そこに僕の
どんなシステムが関わっているのか
どんな動機が
僕を意のままに操るのか
何もわからない
もしかしたら
知らないでいる方が
知ろうとしない方が
そんな不可解を一つ
抱えたままでいることの方が
僕の都合にマッチしているのかも知れない
ともあれ僕は
忽ちにして眠りから醒め
胎内を貫いてゆく電文を
文字に起こしてゆく
一人の
typewriterに変身する