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「山一族と海一族」35

2018年01月26日 | T.B.1998年

 裏一族の魔法。

 爆発。

「――――!!!」

 とっさに、アキラは陣を張る。

 山一族式紋章術。

 相殺。

 が、出来ない。

「視界を奪われるぞ!!」

 その言葉に、トーマは目を覆う。

 白煙。

 ふたりは衝撃を耐える。

「相手は他一族式紋章術だ」

 背中越しに、アキラが云う。

「山一族式では、相殺出来ない」
「無理か」
「強力過ぎる」

 トーマは、短剣を取り出す。

「お互い離れよう」

 強力な魔法なら、ふたりともやられる可能性がある。

「気を失っているカオリにも被害が」
「判っている」

 アキラは頷く。

「山一族式でも対抗出来ないわけじゃない」
 云う。
「いくつか陣を張ってみる」
「出来るのか?」
「大丈夫だ。トーマは、カオリのもとへ行けるか?」
「やってみる」

 ふたりは、同時に走り出す。

「別行動か。感がいいな」
「こちらは東一族式だ」
「生け贄を奪われるなよ!」
「海を押さえろ!!」

 裏一族も動く。

 アキラのもとへ、ふたり。
 山一族の格好をした者と、東一族の格好をした者。

「2対1だ」

 東一族の格好をした裏一族が、前に出る。

 アキラは、自身の弓を握る。
「紋章術……」
 相手の手の動きをよく見る。

 先ほどの紋章術からするに
 自身の紋章術では、単純に対抗出来ない。

 裏一族が指を差す。

「お前も、矢に毒を塗っているのか」
「何を云う!」

 アキラは矢を放つ。

 裏一族をかすめる。

「矢が得意なら、」

 裏一族が云う。

「お前の視界を奪うのが、手っ取り早い」

 ――光。

 背を向け、アキラは走る。
 強力な光を見れば、目は効かなくなる。
 
 その背に、もうひとりの裏一族が矢を放ってくる。

「気を付けろよ!」

「――っっ!!」

 アキラは走る。

 毒の矢が飛んでくる。

「逃げてばかりだな!」

 面白そうに、山と東の裏一族が笑う。

 アキラは矢を避ける。
 裏一族を見る。

 裏一族に、強力な魔法を使われたくはない。

「弓で勝負するのか! 魔法で勝負するのか!?」

 再度、矢。

 アキラは走る。

「終わらせよう」
 裏一族が云う。
「俺たちもこれ以上、力の消費は不要だ」
 もうひとりも頷く。

「見ろよ。これが東一族式、」

「いや、その前に……」

 アキラは肩で息をしながら、云う。

「お前、東一族式と云いながら、東一族出身じゃないだろう」
「…………!?」
「何を云う!?」

「東一族の出身なら、もっと戦えるはずだ」

 アキラは地面を見る。

 そこに

「紋章術の陣!?」
「まさか、逃げ回りながら!?」

「これぐらい、気付けないのか」

 大きく描かれた、紋章術の陣。

「さっき入り口で見た陣よりかは小さいだろうが、」
 アキラは云う。
「お前らは捕えてある」

「くっ!!」
「何を!!」

 紋章術の陣が光る。

 裏一族は倒れる。



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