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「西一族と巧」12

2020年02月21日 | T.B.1996年
 占い師は、机に並ぶ、占いの道具を見る。

 先ほど、この店を去った者の、結果だ。

 占い師が使う道具。
 けれども、これは、補助的なものに過ぎない。
 この占い師は、魔法と云う自身の力で、未来を見る。

「巧は、……」

 占い師は呟く。

「一族の中で立場がある」

 狩りが出来る。

 出来るだけではない、成果を出している。
 皆をまとめる力もある。

 慕われ

 西一族として、申し分ない日々。

「でも」

 この先

 遠くない、先、に

 それらは、失うのだろう。

 周りがどう思うかは、判らない。
 でも、自身が一番、失ったと、思うのだ。

 残るものは

「自身の優しさ、だけ」

 占い師は目を閉じる。

 それでも

「あなたがそれらをすべて受け止めるのなら、この先もやっていけるのですよ」

 まだ、しばらくは、

 変わらない、日々。

 狩りをし、
 その日を暮らし、

 ただ、同じ日々が、続く。


 動いたのは、その数年後。





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