日本貨物鉄道(JR貨物)は約300億円を投じて日本最大級の大型物流施設を新設する。東京貨物ターミナル駅構内(東京・品川)の一部を再開発し、2棟で延べ床面積が計22万平方メートルの物流施設にする。鉄道輸送を活用する企業には利用頻度などに応じて賃料を最大1割強割り引くなど、トラック輸送に比べ環境負荷の低い鉄道輸送への切り替えを促す。
ターミナル駅南側の荷さばき施設や事務所などがある敷地面積10万7000平方メートルを再開発する。敷地内に地上5階建ての物流棟2棟を建設する。2015年度に着工、20年度の開業を目指す。商品の保管だけでなく、仕分けや梱包作業のほか、各階にトラックを駐車できるようにして荷物の積み下ろしの時間を短縮できるようにする。21年秋に完成する延べ床16万1千m2は三井不動産に運営を委託する、
JR貨物は全国6カ所で物流施設を運営し、ターミナル駅構内では10棟を構えているが、いずれも特定企業の専用施設。新施設は複数企業の入居を想定した「マルチテナント型」として提供する。
国内貨物輸送の9割はトラックが担う。ただ最近ではインターネット通販の需要が急増、トラック運転手の不足が深刻化している。配送の遅延を懸念する荷主も増えてきており、食品・飲料や機械などのメーカーでは鉄道輸送を活用する動きが広がっている。鉄道輸送の利用頻度や荷物の数量に応じて賃料を割り引き、鉄道輸送への切り替えに弾みをつける。