日本を訪れる外国人観光客の伸びに勢いが戻ってきた。日本政府観光局が20日発表した6月の訪日客数は198万5700人と前年同月を23.9%上回り、同月としては最高を記録。熊本地震で訪日を手控えていた韓国人客の増加などが追い風だが、1人当たり消費額は減少が続いている。
1~6月の上半期訪日客は前年同期比28.2%増となり、1171万人の過去最高を記録した。夏から秋にかけ訪日客が増える多客期を迎える。今のペースが続けば年間2500万人程度に達する可能性も出てきた。
6月は5カ月ぶりに伸び率が拡大した。けん引役の一つが、中国などからのクルーズ船の来航ラッシュだ。国土交通省によると、6月の外国船の寄港は156回と前年同月より77%も増えた、*この大部分が中国仕立てクルーズの中国人船客!
超大型の「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」が室蘭港や横浜港などに寄港し、4000人を超す観光客が市街地に買い物に繰り出す光景もみられた。
熊本地震の影響も和らいでいる。九州に近い韓国人の訪日客は5月にマイナスに転じたものの、6月は一転して38%増えた。台湾、香港、米国からの訪日客は単月として過去最高に上った。
訪日客の動向に詳しいJPモルガン証券の穴井宏和氏は「2020年東京五輪に向け都市整備などが進むため、長い目で見て訪日客増の流れは変わらない」と話す。
ただ、「爆買い」ともいわれた訪日客消費は勢いを欠く。観光庁が発表した4~6月の旅客1人あたり消費額は15万9930円と、前年同期に比べて9.9%減った。マイナスは1~3月に続き2期連続だ。客数は増えたため全体の消費額は7.2%増とプラスを維持したが、変調が鮮明だ。
*この変調は健全というべきであろう、
消費額全体の37%を占める中国人の慎重姿勢が目立つ。1人あたり消費額は約22万円と23%のマイナスだ。化粧品や香水の購入は増えているが、高額な家電製品は減少傾向を強めている。
4~6月は前年同期より10%以上円高・元安が進み、その分、日本での中国人の購買力が落ちた。中国が4月に個人輸入品にかかる税制を改正した影響も無視できない。
インバウンド消費が中国人頼みになっていた側面もある。4~6月は3603億円だった訪日客による買い物額のうち、中国人のシェアは55%に達した。
観光庁の田村明比古長官は20日の記者会見で、「特定の国の特定の状況に左右されない消費構造をつくりたい」と語った。体験型観光施設を充実させるなどして欧米を含む多様な国籍の訪日客を呼び込むことを目指す。*コトバだけはキレイ、だが、今年の下期、4割を占める中国人の伸びがなければ伸び率は1桁に落ちる、クルーズ船を増やす人口数は中国以外にはない、
政府は2020年に訪日客を4000万人に増やす目標を掲げており、クルーズ船に対応した港の整備などを進める方針だ。8月のリオデジャネイロ五輪では日本の観光地を紹介するブースを設けて日本の魅力をアピールする。*日経