カゲロウの、ショクジ風景。

この店、で、料理、ガ、食べてみたいナ!
と、その程度、に、思っていただければ・・・。

霜月

2016年04月15日 | 京都
「Kooks(変り種)。」

ささやかな庭に面した自宅の縁側で、のどかな春の陽射しの中、満足気な微笑を浮かべる幼子の姿を見ている、其れだけで、今のすべてが報われたような心持ちになれるのだから、其の存在というのは他の何ものにも代えがたく、愛おしい。

まだ男でも女でもなく、もしかすると人ですらない其の神の子は、心底嬉しいと感じられる、そんな時にのみ、其の喜びを偽ることなく表現する。

コハクと呼ばれる其の和菓子、薄く張った氷のような表面をひと口齧ると、パリパリと小さな音が己が歯を通じて歯茎に感じられる、其のような気がする。そしてあるかなきかの瞬間に、まるで水を噛んでいるかような柔らかな内部に到達し、其の微妙な味わいに再度驚かされるのだ。ほのかな甘さはむしろ爽やかで、微かに後に残る山椒の風味は此れ一概ではなく、紛れもなく稀有である。

幼子の期待に満ちた其の顔は、ひと口噛んで驚きに変わり、瞬時に笑みが面に満ちる。然もありなん、離乳食を口にしてまだ二ヶ年にも満たないのだから、もちろんのこと初めての食感であり、つまり其れは初めて味わう喜びなのだ。

むしろ良い意味で人間くさいとさえ感じられる幼子の其の表情に、或る種の感慨と安堵を抱きつつ、程々に長らく生きてきて、しかし同じく初めての其の食感を体験した自分という存在は、果たしてどのような顔で其の驚くべき和菓子に応えられただろうかと、此れもまた或る種の複雑な感慨に耽ることに、なる。

霜月和菓子 / 北山駅北大路駅
昼総合点★★★☆☆ 3.5



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