カゲロウの、ショクジ風景。

この店、で、料理、ガ、食べてみたいナ!
と、その程度、に、思っていただければ・・・。

おかる

2014年05月01日 | 京都
「出汁丼。」

随分と以前のこと、知人宅の乳幼児(男児)が、兎に角、味噌汁を好み、がぶがぶと小児用カップに何杯も呑むのだと言うようなことを、何気ない雑談の中で聞き、結構驚かされたという経験がある。味噌汁などというと、一見、如何にも和風のやさしい風味であるかのように、イメージ思えなくもないのではあるけれど、実際のところ、其の料理は多分に容赦のない塩分を含んでいる。其のような飲食物を、幼児ががぶ呑みしてもよいものなのだろうかと、其の時、反射的に感じずにはおれなかったものの、知人宅には知人宅の遣り方というものがあるのだろうと己に内心言い聞かせ、一拍間をおいて、無難に「へー、そうなんや」と、言葉を濁しておきはした。

だが、其のことが今になっても、ふとした拍子に脳裏に甦り、気にかかる。やはりあの時、ちょっとひと言、否定的なニュアンスで以って、何か一家言、述べておくべきだったのではないだろうかと思い直すことが、今になってもちょくちょくある。出汁の旨味に紛れてはいるけれど、過分に摂れば、其れは決して身体に善くはないのだと、当の幼児自身に判ろう筈もない。其れは断固、周りの大人が止めなくてどうするのだと。

其のような場合と、同じことなのか、どうなのか、酒によって酩酊し、およそまともな判断力というものを消失してしまった人間というのは、たとえ大人であってさえ、呑み屋街のラーメン屋などにおいては、其の塩分たっぷりのスープを全飲してしまうことなど、少なくはないという。其れでも、ラーメンというのは高カロリー、そして高塩分の権化であるという知識、其れ故に、頭の片隅には其の危険性がちらついてはいるだろう。だが、其れが、柔和なイメージの和食であるということになった場合、其の雰囲気、そして、出汁に紛れた口当たりの好さから、明朝の体調をも構わぬ、闇雲な暴飲暴食に陥り勝ちとなること、まるで味噌汁をがぶ呑みする乳幼児の如しであるのは、言うまでもない。

何しろ、椎茸出汁の旨味たっぷりの此の丼、と言うよりも、椎茸出汁の風味、其れしか感じられない此の旨味の塊を前にして、酩酊し、今や意識朦朧となってしまった人物が、其の少なくはないであろう塩分の危険性など、意識出来よう筈もない。

あまりにも商品の回転が早過ぎるのであろう、まだしっとりと馴染み切ってはおらず、まるで、良くも悪くも学生食堂で供される丼物のような風味の此の店の料理が、アルコールを嗜むことなく、素面で戴いた場合、旨いのか、不味いのか、むしろ、取り立てて、どうということもない、ありきたりなものなのか、其のようなことは、平らげたという満足感、其れさえ味わわせてもらえるならば、宵の祇園を幼児のような千鳥足で彷徨う酔っ払いにとっては、全く以って、どうでもいいことなのであろう。

おかるうどん / 祇園四条駅河原町駅三条京阪駅
夜総合点★★★☆☆ 3.5