カゲロウの、ショクジ風景。

この店、で、料理、ガ、食べてみたいナ!
と、その程度、に、思っていただければ・・・。

順徳

2013年11月28日 | 兵庫
「ビーフシチュー丼、再び。」

此の店の御品書には、「牛シチュー丼」とある其のメニュウ、神戸の中華において稀になくはない品であると耳にしてはいたものの、以前一度だけ戴いたことのある、あの店以来、長らく其れを眼にすることはなく、此れが二度目の遭遇である、多分、おそらく、記憶が確かであるならば。

そして以前見た其の姿というのは、然程食欲をそそるビジュアルではなかったというのが正直なところではあるものの、今回の其れというのは、一見して見目麗しく、ビビッドに艶やか、そして斬新であるとさえ言い得る其の無造作な盛り付け具合である。

既に老舗と言っていい佇まいの此の御店ではあるものの、此処で提供される諸々の料理の在り方というのは、むしろ昨今話題の油そばや台湾まぜそばなどに見受けられる、そんな類の新鮮味を感じさせる潔い装いですらある。

温故知新というのとは其の意味合い的に多少の齟齬はあろうけれども、新しいものを追いかけるばかりでは出会うことの叶わない、意外な目新しさというのも、世の中、実は少なくはない、其のようである。

順徳広東料理 / 元町駅(阪神)元町駅(JR)旧居留地・大丸前駅
夜総合点★★★★ 4.5


ダイコクバーガー

2013年11月18日 | 京都
「ブレンデッド・バーガー。」

其のハンバーガー、ミツバチと銘打つからには勿論のこと其れはハチミツ入りのバーガーであり、グルメ・バーガーと呼ばれるからには勿論のこと其れは所謂パテと言うよりもハンバーグであり、つまり此処では、ハンバーグにハチミツを滴らせ、其れをパンズで挟んだ料理を戴くことになる、其処には何の語弊も生じようはない、其れは其のままの実際であり、此れでいいのだ。

其のパテは、かなりねっとりとした食感で、何ならハンバーグとして単体で戴いてもまったく不足はない、其れくらいに好く出来ていて、其のハチミツというのも同じくねっとりと濃厚で、強い甘味の其の中に、雰囲気ほのかな苦味を何処か感じさせる、しっかりとした品質である。

味覚的には相容れないものであるかのように思われるであろう、此の両者ではあるけれど、眉を顰めたりするなかれ、実は其れらがひとつになると、ちょっと他では見ることの出来ない深みと厚みを其の風味の中に現出させることになるのだ、驚いたことに。

普段の食事を戴く、其の時よりも、少々意識的に長く咀嚼してみて、やっと其処にハーモニーを見出だすことが叶う、其のような料理というのも、稀に存在する、そんなことも、世の中なくはないのである。

ダイコクバーガーハンバーガー / 亀岡駅
昼総合点★★★☆☆ 3.5


美也樹

2013年11月11日 | 山梨
「富士の吉田に、ある、うどん。」

折角だから、吉田うどんを食べてみたいと述べてみたところ、富士吉田市から小一時間程度の里で生まれ育った其の友人は、あぁ、吉田のうどんねぇ、と、そんなものは名物ですらないといった調子で其の否定的見解を言下に匂わせた。

なるほど、多少の経験からしてみても、名物に旨いものなしとの説には確かに一理ある、だが、たとえ其れが何であれ、例外というものは必ずあるというのもやはり真実で、結局其れは、自分の眼と耳、そして舌で確かめてみる他はなく、おそらくはもう当分訪れることのないであろう、此処、山梨を訪れて、其のうどんを試してみないというのは、必ずや後々に悔恨を残す、むしろ愚かな判断であることは深く考えるまでもない。

そしてやはり、此処、美也樹の吉田うどんは其の例外にぴたりと当て嵌まり、此れは、吉田うどんという名物であるから旨い筈、というのではなく、真っ平らに、ひとつの料理として、ラジカルに其の旨さを現している、そう感じられる代物であった。

勿論のこと、再度の旨さを期待して、此の一軒では済まさず他も梯子をしてはみたものの、其処では、なるほど、此れが其の友人の言う、吉田のうどんなのだなと、其れは其れで納得させられる、其のような代物ではあった、やはり、其の友人の言うことにも一理なくはない、其れは致し方のないことではあるのだろう。

美也樹うどん / 富士急ハイランド駅
昼総合点★★★★ 4.0


とんかつ 力

2013年11月03日 | 山梨
「色彩。」

美味しさというものの概念の中で、食感、噛み応えという要素がはっきりと意識されたのは、果たしていつ頃のことだっただろう、おそらく其れは遠いむかしのことではない、実際個人的に強く其れを感じるようになったのは、きっと此処数年のことでしかない、正直其のように思える次第である。

そして、此の鳥もつ煮の醍醐味というのは、実際のところ、其の様々な部位の内包する食感にこそあるのではないかと個人的には思われるのであるが、其処のところ、世間的評価基準としては、どのような風潮であるのだろう。

緑の野菜とキンカンの鮮やかな黄色によって、非常に見栄えのする外観を呈してはいる此の鳥もつ煮ではあるけれど、煮込まれた各部位というのは同じく飴色一色でしかなく、だがしかし、其の食感は各々様々なのである、其のひと欠片を噛みしめる都度に、へぇ、とか、ほぅ、とか、内心に、時には小さく声に出して感心し、納得させられる、其処にちょっとした稀有な楽しさを見出だすことが出来る。

ただ平均的に其の風味と満腹感を味わいたいということであるならば、たとえば其の部位が単にささ身であっても其れで充分ではあるのだろう、だがしかし、多種多様でまちまちの其の食感こそが、此の鳥もつ煮でしか味わえない魅力であり、醍醐味であるような、其のように思われるのである。

とんかつ 力とんかつ / 甲府駅金手駅
夜総合点★★★★ 4.0