カゲロウの、ショクジ風景。

この店、で、料理、ガ、食べてみたいナ!
と、その程度、に、思っていただければ・・・。

ユノディエール

2014年07月23日 | 京都
「既視感にも似た、其の感慨。」

果たして何処の誰がモデルなのだろうか、等身大からすると三分の一程度の、コック・コートに身を包んだ青白い顔のオヤジ。そして、彼よりもう一回り小さなマシュマロ・マンが飾られている其のショウ・ウィンドウ。彼らの間の空間に配置されている緑の観葉植物は、実はアフリカ原産の、パンの木なのだという。添えられた説明書きがなければ先ずわからない其の実際に、己が放った冗句の解説をしてしまう、センスのないコメディアンを垣間見てしまう、そんな感覚こそ、京都人特有といわれる、イケズというものなのだろう、両隣の片割れが、本当のところはヨーロッパのタイヤ・メーカーがキャラクター、ビバンダムであることも勿論のこと承知してはいるのだけれど、先ずは瞬間的に、映画ゴースト・バスターズの巨大な破壊神を連想してしまう、其れというのは、やはり単に世代的なものなのだろうか。

イケているともいないとも、ナンとも判じ難い其のショウ・ウィンドウの在り方を、吟味するともなく暫し唖然としていると、一緒に佇む妻が、はちきれそうなお腹をした妊婦だからだろうか、おめでたいことになら何にでもあやかりたいとでも思ったのだろう、ココのパンは美味しいの?と、年配の女性が声をかけてくる。あ、わたしも初めてなんです。という返事だけで、何事か、ひとり納得したように、其のオバサンは其の場を立ち去って行った。此の謎かけの如きウィンドウでは、然もありなん。

そしてしかし、店内に所狭しと並ぶ其のパンの在り様というのは、表の珍妙なショウ・ウィンドウの謎かけが腑に落ちるどころか、果たして何の統一感をも見出だすことの出来ない程の多様性である。専門性の高い特殊なパンもあれば、意外なことに、ハンバーガーや、あまりに庶民的な惣菜パン、焼きそばパンまでもが其処にある。総じてパンが大好きで、偏った好みなどないという人物ならば、其のいずれをも、一度は戴いてみたいという気にさせられること請け合いで、結局は其の大小、価格も様々に、大量のパンをいそいそとかき集め、昨年の初夏に移り住んだ、ささやかな庭のある中古住宅へと持ち帰り、ほっこりと縁側で、順次戴くこととなる。

小さな店舗に詰め込まれた、あまりに幅広く、あまりに柔軟なパンの在り方。今はまだ、世間にあまりないカタチの在り方ではあるものの、もしかすると、実は此れこそが、理想の街のパン屋さんとしての在り方なのかも知れない。と、そう思わされなくもない。そんな既視感にも似た感慨を抱かされる、奇妙な其のパン屋の佇まいであった。

ユノディエールパン / 鞍馬口駅北大路駅
昼総合点★★★★ 4.0



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