カゲロウの、ショクジ風景。

この店、で、料理、ガ、食べてみたいナ!
と、その程度、に、思っていただければ・・・。

京都和久傳

2013年01月25日 | 京都
「鰤と鯛、しかも粕汁と茶漬け。」

其の特殊な強い風味を内包している魚だからこそ、鰤や鯛というのはむしろある種の嗜好品に強く執着する人たちにとっては特別な海鮮として重宝されている、其れは勿論のことである。

だがしかし其の癖のある風味、まさに其れこそが、其れが故の生臭さとしか感じられない、そんな味覚の持ち主というのも実際世の中少なくはない、いや、もしかすると現実其れがむしろ多数派ですらあるかも知れない。

そして実際のところ其の風味というのは、焼き物であれば兎も角、煮炊き物ともなるとさらに増幅され、ましてや汁物ともなると其の食材以外の全てのものに其の特殊な風味が浸透してしまい、苦手であった場合あえて除けて食べるということすら出来なくなってしまう、そんな苦い思いというのは、特に変則的な風味を楽しむということを知らない幼少時など、世の誰しもが体験しているであろうことに疑いはない。

実際特に其の手の料理が苦手であったカゲロウにとって、そんな中でも殊更に粕汁という料理は鬼門中の鬼門であったのではあるけれど、この日、京都和久傳の日替わりで供された件の鰤の粕汁、そして鯛茶漬けというのは、其の手の魚の苦手な者にとってすら其の風味の内包する好くないところを全く感じさせない、しかし何処かまさに其の風味をほのかに感じさせるという、素晴らしく絶妙な調理を施されたものであった、流石である。

京都和久傳懐石・会席料理 / 京都駅九条駅東寺駅
昼総合点★★★★ 4.0


クワモンペ

2013年01月18日 | 兵庫
「クァモン・ペ」

此の御店の名前というのは、意味不明ながらもやはりフレンチ・テイストに「クァモン・ペ」とでも読むべきなのだろうか、いや、外でもないピザ屋なのだから発音もイタリアンであるべきなのか、いずれにせよ、気付いてしまえば鍬とモンペをもじったものにしか聞こえない、其れはあえて言うまでもない。

ところで果たしてモンペという存在が何処まで世の中に通じる衣類であるのか、其処のところもまた疑問ではあるのだが、其れは兎も角、其の店名に相応しく、篠山の市街地からは程遠い田園地帯、そんな立地に辿り着かんが為に、ナビのない車、しかも地図なしで到着しようという目論見、其れ自体が甘かった。

事前にうろ覚えした地名を示す其の信号を南に折れて幾らか車を走らせてはみるものの、其れらしい施設は辺りに見当たらず、仕方なく幹線にまで戻って再び別の交差点を曲がってみたりもするけれど、やはり其処には辿り着けない。

諦めて、控えておいた其の番号に電話し、曲がるべき交差点を御店の人に教えてもらってみると、どうやらやはり最初の角で正解だったようで、もう少し自分の勘を信じて我慢して走っていれば、其の店は折り返してしまった地点のすぐ先だったのではあるけれど、やはり到着してみたところで山の入り口であるとしか思えない其の立地というのは、来る人がおよそ諦めてしまう、そんな絶妙の地点である、其れはきっと誰しもにとって。

だが、そんな場処にもかかわらず連日大人気であると評判の此の御店、そこそこ新しいこともあって寂れた風情など欠片もなく、まるでカラフルなアトラクションの国のような其の建物の印象というのは、実際如何にもファミリー向けであるかのようでいて、しかし入り口の扉の張り紙には、行儀の悪いお子様は入店ご遠慮くださいとの表示があり、其の凛とした経営姿勢、此の建物にして其の潔さは其の時点で少々感嘆の念さえ抱かせる。

そしてその本気度合いというのは勿論のこと料理にも現れていて、所謂大衆向けの無難なピザではなく、風味も素材も真面目で本格的な其の出来に、誰しもがわざわざ来てよかったと満足し、納得させられること請け合いである。

クワトロフォルマッジのブルーチーズ、其の容赦ない風味と塩気はおよそ抱いていた期待、其れ以上で、ちょっと万人向けとは思えない強い味覚であり、そして、サービス・メニュウ、マルゲリータのトマト・ペーストでさえ、幾分かの水分を感じさせる其の瑞々しさである。

更に特筆すべきは其の生地で、物足りないともしょっぱ過ぎるとも感じさせない其の塩加減というのは、これぞまさに絶妙な塩梅と言っていい、そんなさり気ない程好さを当然のように誇示している。

釜焼き特有の疎らな焦げも、其処にはっきりとした香ばしさを加味していて、幾らか食べ進んでもありがちな味の単調さを感じさせない、風味のトリックを思わせる貴重な存在感を見せている。

給仕の彼女もこの店にとてもマッチした素朴な雰囲気で、非常に気の利く其の立ち居振る舞い、此の立地にして其の人気、然もありなんと納得させられた、そんな次第である。

クワモンペピザ / 篠山市その他)
夜総合点★★★★ 4.0


2013年01月11日 | 京都
「新たな、息吹。」

此の店の開店は昨年の初夏であるとのこと、そしてカゲロウが訪れたのは其の年の暮れで、いずれも春の訪れとは程遠い其の季節にもかかわらず、その風情というのは何処となく新しい息吹を想わせる、そんな小さな力強さを感じさせるものだった。

国道27号線からは此処よりさらに奥まった立地にある、蒸し蕎麦を食べさせるというめずらしい店に行く途中、偶然に見つけた道沿いの看板によって其の存在を知ることになった、ただ其れだけのことに過ぎなかったこの新しい古民家カフェに、まさか其の雰囲気以外に期待できるものがあろうとは、正直カゲロウは思いも寄らなかった。

とりあえず一休みするのに甘いものをと思い注文した其のガトーショコラには、しっとりとした重みがあり、行き過ぎない、程好い、しかし濃密な甘さがあり、其れは惜しみない手間と造り手の思い入れが感じられるものだった。

清潔感のあるシンプルな土間はコンクリートそのままで、天井がとても高い造りであるにもかかわらず、其の店内はこの季節であってもおよそ冷気を感じさせない。

其れが最新の空調機器によるものなのか、ただ其の雰囲気によるものなのか、其処のところは少々不思議なくらいではあるけれど、此処にそんな作用があるということ、其れが肝心なのであって、其の効果はどちらのものであっても一向に構わない。

此れだけのケーキを出せるカフェのオムライスやカレーというのがどれ程のものであるのか、次回の訪問に期待が膨らむばかりではあるけれど、実は己の心の内にある其の期待感こそが、此の店の佇まいをしてカゲロウに春の息吹を想わせた、もしかするとそうなのかも知れない。

カフェ / 梅迫駅淵垣駅山家駅
昼総合点★★★★ 4.0


風輪里

2013年01月04日 | 兵庫
「懐かしく、初めての、カオス。」

きっと嘗ては別の店だった、おそらくはそんな建物なのだろう、
田舎の幹線沿いによくあるドライブ・インそのままの造りの其の饂飩屋は、

何故にこうもファンシー・ショップ染みた風情の名前となったのであろうか、

そして何故に同じ篠山市内に、あえて同じ読みを強要する無理な名前の和食料理店が、
おそらくは何の関係もないであろうにもかかわらず存在するのか、

其れらの謎というのは、おそらくきっと追及したところで深い理由など何もない、

そんなあっけらかんとした佇まいを、田畑、そして野山の中に晒しているのが、
此の「ふわり」という讃岐饂飩を提供する不思議な店舗なのだ。

単なる饂飩専門店としては、かなりの広さを誇る其の店内は、一見する以上に、
さらに広い座敷が其の奥に存在するようであるが、其れより何より、

朝取り野菜と同じ土俵で、比較的大型のバイクであるアメリカンが販売されている!
其のことに、どうしようもなく、驚きと笑いを禁じ得ない。

もちろんのこと、遣りたいように遣る為にこそ、独立した個人店を営んでいるのであるから、
どんな造りの店で何を売ろうが、そもそも自由なのではあるけれど、

少なくとも其処に既存の価値感、統一感というようなものは存在し得ない。

肝心の饂飩は、比較的腰のある擬似的讃岐饂飩の類ではあるけれども、
本場讃岐のような、饂飩そのものに個性を感じさせるようなものではなく、

出汁やトッピングによって一体化した風味を得るタイプであるように思われる。

そして得てしてそういう類の店舗というのは、所謂オシャレ系であることが多いように思える、
そうなのではあるけれど、まるで昔の駅の待合室のような此の店の風情というのが、

其処に存在する、あらゆるちぐはぐな要素というのを優しく許容し、呑み込んでしまっている、

其処こそが、何だか仄かに可笑しな此の店の在り方をも許せてしまえるような、
そんな気持ちにさせられてしまう、とても大きな要因であるのだろう。

風輪里うどん / 篠山市その他)
昼総合点★★★★ 4.0