カゲロウの、ショクジ風景。

この店、で、料理、ガ、食べてみたいナ!
と、その程度、に、思っていただければ・・・。

橋政

2014年06月29日 | 京都
「骨太トンカツ。」

其れは勿論のこと比喩的表現であって、実際のところ現物の骨付きであるという訳ではない。けれど、其れでも其のトンカツは、まさに骨太であった。そう言いたくなる程に、がっしりとした、食べ応え、噛み応えのあるトンカツであった。

ジュウシィで柔らかい、そんな類のシズル感を期待されることも少なくはない、というよりは、むしろ期待されることが大勢である、所謂トンカツという料理ではあるけれど、此のトンカツは、捉え様によっては、此れはちょっと、こんがり揚がり過ぎなのではないかと訝る人がいたとして、其の感想も、わからないでもない。

あまり眼にすることのない、魅入ってしまうような分厚い肉塊の片側から、カウンターの目前にて切り分けられた其の一切れ。意外と短時間でさっと揚げられた、粗い衣に包まれた其の褐色の香ばし気な代物に、余計な汁気はおよそ感じられず、だがしかし、過度に乾いている訳では勿論ない。豚肉にしてはめずらしく、太い肉の繊維を其の食感に仄かに感じさせるのであるけれど、其れは勿論、筋の処理の問題などではない。私見ではあるものの、もしかすると此の店独自の熟成法があるのだろうか。

長時間かけて低温で揚げた、噛まずとも飲み込めてしまうようなものではない、かっちりとした、輪郭のあるトンカツ、だからこそ、絶妙な噛み応えを感じ、今しっかりと肉を食べているのだということを、あえて此処では実感することが出来る。己が内の野性を目覚めさせる、此れは、そんな類のトンカツなのだ。

漆喰の、土蔵の様な風情を感じさせる小奇麗な店舗の横手には、わりに幅の広い用水路があり、其処には何十匹もの大きな鯉が群れている。どうやら餌付けされているらしい其の鯉たちは、まさか養殖されているという訳ではないのだろうけれども、そこはかとなく、何となく、此の店の骨太なトンカツと、其の豪快さにおいて相通ずる趣を、感じさせなくもないのであった。

橋政とんかつ / 西舞鶴駅
夜総合点★★★★ 4.0



コメントを投稿